87.このバカ皇子は本当にバカなんですね。ハイ。分かりました。殺します。

私の私の私のそれはもう目に入れても痛くない可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い……(以下超絶長くなるので省略)妹のアリーの手の甲に何の断りもなくキスしやがったバカ。うん。決めた。死刑。

しかし、そんな私の不穏な気配を察したヒエンとレイカとキョウカが私を取り押さえにかかった。


「ちょっ!?あんた達何するの!!?」


「落ち着いてください!アンナ様!彼に手を出すのはマズいです!」


「彼はグランズール帝国の第2皇子!バルカス皇子です!」


「だから、ここは王子に対応をお任せしましょうね〜」


知るか!?バルカスだかバカ皇子だか知らないけど!私の妹に勝手にキスするなんて極刑ものよ!死刑よ!絶対にぶち殺す!!

しかし、三人はもの凄い連携で私を鎖で縛り、更には私に猿轡まで付ける。キョウカ曰く


「アンナ様なら口から火とか毒とか吐き出してもおかしくないですから」


だそうだ。って!?私は怪獣か!!?いや、やろうと思えば出来なくないけど……


「バルカス皇子。流石に無礼ではないですか?私の婚約者に軽々しくキスをするなど……」


カイン王子がアリーを庇うように立ち上がり、バカ皇子を睨みつけてそう言う。その横にはヴァン王子も並んでバカ皇子を睨みつける。

あっ、チラッと今バカ皇子のはるか後方でお父様が暴れてるのを国の騎士団が数十人がかりで取り押さえてるわ……もう何人かボロボロだけど……仕方なしにライアット様も取り押さえてるのに参加なさってるわね……


「おぉ!これはこれは!カイン王子の婚約者でしたか!これは失礼しました。素直に謝罪致します」


まるで芝居がかったような仕草で謝罪するバカ皇子。なんか正式名違うと思うけど、こんな奴バカ皇子でいいわね。うん。


「……分かっていただけたならそれでいいです」


カイン王子は軽く溜息をついてそう言った。おい!もっとガツンといきなさいよ!カイン王子!国の立場とかあるんでしょうけど!貴方の惚れた人が勝手に手の甲とはいえキスせれたのよ!?もっと言う事があるでしょう!!?


「おぉ!そうだ!我が帝国とそちらの王国!今後もよりよい関係を築く為に提案があるのですが!」


このバカ皇子からの提案……すこぶる嫌な予感しかしない……


「カイン王子とその婚約者様、お2人の婚約を解消してください」


『はぁ!!?』


「そして、そちらのご令嬢は私の花嫁として貰い受ける。そうすれば、帝国とこのウィンドガル王国の関係は安泰!素晴らしい案だとは思いませんか!?」


このバカ皇子は本当にバカなんですね。ハイ。分かりました。殺します。

しかし、そんな私を察知したメイド3人によって私は身動きをとる事が出来ない!ちょっ!?いい加減離して!?私にあのバカを殺させなさい!!!


「……お断りします。例え両国の関係の悪化に繋がっても、アリー嬢を譲る気は一切ありません」


カイン王子がハッキリとバカ皇子にそう告げた。おっ!カイン王子!いいわよ!よく言った!少しは見直したわよ!


「……そうですか。いい話だと思ったんですが……残念です」


全然残念そうじゃない顔でそう言うバカ皇子は、それだけ言ってパーティー会場へ向かって行った。

アリーに惚れる気持ちは分からなくはないけど!あんたはお断りよ!龍の巣のボスにでもなってから出直してきたなさい!


「騒がしくなったが、皆!パーティーを存分に楽しんでくれ!」


バカ皇子の騒ぎのせいで、パーティー会場がざわついていたので、アスラン陛下がそれを何とかする為に立ち上がりそう言った。

流石は鶴の一声ならぬ、王様の一声。そのアスラン陛下の一声で、再びパーティーはいつものように再開された。本当に……あのバカ皇子のせいでいい迷惑だわ……全く……


私はまだ怒りが冷め切れないが、とりあえずバカ皇子が去った事で冷静さを取り戻した。うん。まぁ、殺すのは流石にマズいから、あのバカ皇子を一発ぶん殴れる方法を部屋で考えておきましょう。















「う〜ん!やはりあのカイン王子の婚約者!アリー嬢だったかな?彼女こそ私の運命の人だ!是非、私の妃として迎え入れたい!」


バルカス皇子はそう言った。これが、誰かに見られたら即報告される案件だったが、残念ながらここは人気のない廊下であった。どうやら、この皇子も流石にそこまでバカではないらしい。


「バルカス皇子。その願い。お手伝いしましょうか?」


「ん?君は……?」


「バルカス皇子様に名乗るほどの者ではありません。バルカス皇子様の想いを叶えたいという親切な令嬢とでも思ってくださいませ」


そう言って完璧な淑女の礼をして現れたのは……………エリザベス・マグダエル公爵令嬢だった。

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