83.この胸に芽生えた熱い感情

ヒエンとレイカに早口で今日は1人っきりにして欲しいと伝え、私は勢いよくホテルの自分の部屋の扉を閉める。


あの時、もっと言わなくちゃいけない事があったはずだった。無理をしてまで私を助けようとしたお姉様を叱る言葉や、それでも助けてくれたお姉様に感謝の言葉とか……

けど、それら全部、お姉様の唇が私の唇に触れたという事実で吹き飛んでしまった。


私は思わず自分の唇を指でなぞる。


この唇に……お姉様の唇が……


「ッ!!?」


そう思った瞬間、ドクン!と胸が高鳴ったのを感じ、扉に背を当ててズルズルと引きずるようにその場に座り込む。


心臓がドクドクと脈打ってるのが分かる。前に悪夢を見た時にも同じように脈打ったけれど、あの時とは全く違う。嫌な痛みを全く感じず、むしろ甘くトロけるような何かが私を包み込んでいた。


「お姉様……」


最愛のお姉様の名前を呟くと、また更に胸が高鳴ってくるのを感じる。その高鳴りは、最早自分の意思でどうにか出来ない。


「これは……この感情は……一体……?」


私は高鳴る胸を抑えながらそう呟いた。



翌日、私はなるべく普段通りを装うと必死になったけれど、最初はお姉様の顔を見る度に胸が高鳴って、思わずしどろもどろな会話になってしまっていた。

これではいけない。これではまたお姉様に心配をかけてしまうと、私は私自身にそう強く言い聞かせる事で、ようやくお姉様と普段通りに接する事が出来るようになった。



けれど、この胸に芽生えた熱い感情が消える事はなく、むしろ、激しく燃え上がっていた……

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