72.水着じゃなければいい姉妹愛のシーンです
「ちょっ!?アリー!?何て格好で外に出てきてるの!?襲われたらどうするの!?男はみんな狼なのよ!!?」
「いや、それをお前が言う……」と、言いたげな目で、ヒエンとレイカとキョウカが見てくるが、私はそれをキッパリ無視してアリーに近づく。
「そんな事はどうでもいいんです!!」
「いや!?どうでもよくないんだけどぉ!!?」
「どうでもいいんです!!それより!お姉様!また死のうとか考えてましたよね!?」
うぐっ……!?最近私の妹はだんだん鋭くなってきた気がする……
「だって……お化け嫌いな事だけじゃなく……溺れてうなぎ犬みたいな顔までアリーに見られて……私は……」
「そのうなぎ犬というのはよく分かりませんけど、私はどんな顔をしたお姉様でも大好きですから」
私の言葉に、アリーはキッパリとそう返してくる。でも、私はまだその言葉を信用出来ないところがあって、視線を彷徨わせていると……
「だったら……お姉様は今、私がこんな水着姿でお姉様を追った私をはしたない痴女だと幻滅なさいますか?」
「そんな訳ないでしょ!?アリーに幻滅しないわ!それに……それは私のせいでもあるし……」
私はキッパリと否定する。うん。一応自分のせいでアリーがこんな格好で追ってきてしまったという自覚はありますよ。
「だったら、私も同じです。どんなお姉様でも幻滅したりしません。それとも……お姉様は私の言葉は信用出来ませんか?」
あぁ……ズルいなぁ〜……アリーは……そんな目でそんな事を言われたら……私は首を横に振るしかないじゃない……それを見たアリーはニッコリと笑った。
「ありがとうございます。お姉様。それと……お姉様、もしもまだお姉様が泳ぐのが上手くなりたいと思ってらっしゃるなら、私と一緒に泳ぎの練習をしませんか?」
アリーは唐突にそんな提案をしてくる。それは……いい加減私もトラウマを克服して、まともに泳げるようにはなりたいけど……
「私も何かお姉様ねお役に立ちたいのです!私が手取り足取り腰と……コホン!とにかく!お姉様に教えていきますので!安心してください!」
アリーにここまで言われたら……正直姉として教えてもらうというのはアレだけど……
「その……それじゃあ……お願いしてもいい……?」
「はい!もちろんです!」
私の返答に喜んでるアリーには申し訳ないのだけど、私がこの時思ったのは……
(やったわ!これで合法的にアリーの水着姿が何度も拝める!)
だった。
「やったわ!これでお姉様の水着姿が合法的に拝める!」
ん?なんかアリーから妙な言葉が漏れた気がするけれど……気のせいかしら?
こうして、私はひょんなことからアリーに水泳指導してもらえる事になり、私達はお互いに手を取り合って微笑み合った。
「あのぉ〜……お嬢様方……」
「仲がいいのは分かりましたから……」
「そろそろ服を着た方がいいですよ〜」
ヒエンとレイカとキョウカに最もなツッコミを受け、私達姉妹は、3人が用意してくれたタオルに包まれながら、更衣室へと戻り、着替えた後は……もちろん2人揃って先生に怒られてしまった……
「それにしても……お姉様が溺れた姿に悪口を言った方はどこのどなたなんでしょう……こんなお姉様に悪口を言うなんてその方には天罰がくだるでしょう」
怒られてる最中にアリーがそう漏らした気がするけれど、多分これも気のせいね。
ちなみに、アリーの指導のおかげもあって私は犬かきで10mぐらい泳げるようにはなった。
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