55.硬化魔法で硬化した扇子は剣より強い

今度はダンスのステップの要領で相手の攻撃をかわし、すぐに扇子で相手を突く。突かれた相手は吹っ飛ばされたり、呻き声をあげその場に倒れる。


「あれは……扇子に硬化魔法を使用してる……?彼女は地属性魔法の使い手なのか……?」


うん。カイン王子半分正解ね。確かに私は扇子に硬化魔法をかけている。けど、私は正確には地属性魔法の使い手じゃないけどね。


「はい!おね……マダム・A様は本当に凄い方なんです!私の憧れなんです!」


私の可愛い可愛い天使のアリーがそう言った。うん。アリーはマダム・Aが憧れなのか……若干複雑ね……


「くそう……!?」


ブドウ子爵のお供の1人が私に向かって剣を振り下ろしてきた。が、私は普通にその剣を硬化した剣で受け止める。すると……


バキンッ!!


「んなぁ……!?」


お供が持っていた剣がポキリと折れてしまった。あっ……ちょっと硬化させ過ぎたかしら……


「随分とナマクラな剣を使ってらっしゃるのね。それでは私と踊れなくてよ」


私はそう言って硬化させ過ぎた事を誤魔化し、お供の顔面を扇子で突いた。お供はそれを受け気絶し、その場に倒れこんだ。


さて、どうやらこれでブドウ子爵のお供は全員倒したわね……後は……私はギロリとブドウ子爵を睨む。と、ブドウ子爵は顔を恐怖で引きつらせ、その場にへたり込んだ。その顔は涙と鼻水で酷く歪んでいた。私はそんなブドウ子爵の様子を気にも留めずに、ブドウ子爵の前に歩み寄る。


「ヒイィ……!?来るなぁ〜……!?来るなぁ〜……!!?」


う〜ん……まるで人を化け物みたいな目で見てるわね……別にこの程度の奴にどう思われても構わないんだけど、言うべき事は言っておかなくちゃね。私はブドウ子爵に悠然と近づき……


ザスンッ!!


ブドウ子爵の足元付近の地面に、硬化した扇子を突き刺した。


「我々はお客様として来ていただけれるなら、王族でも貴族でも平民でも歓迎して受け入れますわ。しかし、このノイエル町にいる方々を傷つけるというのであれば……容赦いたしませんから覚えておいてくださいませ」


私はそう言って突き刺していた扇子を抜いて、ブドウ子爵から離れて行った。恐らく、彼は私の最後に言った言葉を覚えていないであろう。何故なら、彼は扇子を突き刺した時、白目で口に泡を吹いて気絶していたから……


それを観戦していたギャラリーから私への歓声と拍手がわき起こる。私はそれに手を振って応え、急いで着替える為に「パルフェリア」の控え室まで戻って行った。



その後……ブドウ子爵とそのお供達は捕まり牢屋に入れられた。どうやら、今回の件はブドウ子爵の独断専行による暴走で、パインアップル子爵全体で関わった事ではないらしく、パインアップル家が取り潰しになる事態だけは避けられたようである。

そして、私ことマダム・Aはあの立ち回りの影響で更に人気がうなぎのぼりになり、あの時、マダム・Aのいくつか撮られた写真がもの凄い値段で取り引きされているらしい。色々複雑だ……。ただ、それは全部1人の人物が買い占めたらしいが。一体誰なんだろうかそのもの好きは……


こうして、ノイエル町のちょっとしたトラブルは終結したが、私自身の問題はまだ何一つ解決した訳じゃない。


そう。もうすぐ春がやってくる。運命の学園生活の日が……


私達姉妹を巻き込むその運命の日はもうすぐそこまで迫ってきていた……

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