54.魔法闘技舞踏

私には2人の師と言える人がいる。1人は私に「魔法闘技マジックアーツ」を教えてくれたマクバーン。そして、もう1人は私の淑女の嗜みを教えてくれた、ステインローズ家の執事長のセバス。


セバスは他のステインローズ家の従者達とは違い、アリーも私にも分け隔てなく淑女としての作法をみっちり叩きこんでくれた。特に、ダンスは念入りに叩きこまれた。セバス曰く……


「ダンスとは淑女の格闘技のようなものですぞ」


と、そう言われて私はそれを受けて開眼した。




「凄い!?まるで踊ってるように華麗に剣をかわしているわ!?」


「しかも!ステップは乱れる事なく上品だわ!?」


「くぅ〜!マダム・A様!俺の熱い欲望も踊るようにたぎ……ぐほぉ!?ぐへぇ!?ぐばあぁ!!?」


周りのギャラリーから感嘆の溜息が漏れる。最後のまたエロそうな男性が復活して何か言いかけたけど、また魔力弾大量にぶつけられて吹っ飛んだわね〜。まぁ、今はエロそうな男性よりもダンスに集中しましょ。


私が開眼したのは「魔法闘技マジックアーツ」とダンスの動きを取り入れた、その名も「魔法闘技舞踏マジックアーツダンス」である。

普通に「魔法闘技マジックアーツ」で戦っても強いのだが、そこにダンスの動きを取り入れる事で、ステップを使い、最小限の動きで攻撃をかわすことが可能になったのである。

これにより、ブドウ子爵達は息も絶え絶えの状態だが、私は余裕綽々の状態でダンスの構えをとっている。


「もうお終いですの?まだ始まった数分というのに……」


「うぐっ……!?」


ブドウ子爵のお供達は疲労困憊ながらも、私の挑発に怒りを感じたのか剣を構えてきた。ふぅ〜……本当にまだ始まって数分だけど……


「どうやらお疲れのようですから、そろそろダンスも終幕といたしましょうか」


私はそう言うと、ダンスの構えをとりつつも、ある物を取り出していた。


それは…………扇子だ。

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