52.重要な紙2つに親バカ具合を感じさせます
ブドウ子爵は2つの紙を見て驚愕していた。主に一つの紙に注目していた。
「そ……!?その書状は……!?王印……!!?」
ブドウ子爵の言葉に周りは騒然となったが、1番ギョッとしていたのはカイン王子とヴァン王子である。慌てて2人も私が見せた紙を確認する。
「これは……確かに王家の紋章を象った印……しかも父上の直筆のサインまで……」
「しかも……内容は……ステインローズ伯爵領の一部であるノイエル町は、全てマダム・Aの所有とする……これは、父上が直々にノイエル町の所有権をマダム・Aが持つの認めたという書状だな……」
「なっ……!!?」
内容まで確認していなかったのか、ブドウ子爵はヴァン王子の言葉に驚愕する。
「ちなみに、もう一つの書状はノイエル町の所有権を全てマダム・Aに譲渡すると、我が父アルフ・ステインローズが直々に書いてマダム・Aに送ったものですわ」
アリーがニッコリ笑顔でそう言った。ブドウ子爵は最早驚きで言葉が出なくなっていた。
そう。私がこのノイエル町を興して数ヶ月した後に、ノイエル町に2通の書状が届いた。それがこの書状である。
最初は、結構親バカなお父様だから、私にプレゼント感覚で土地を与えてる?つまり、私がマダム・Aとバレてる?と疑ったが、特に何も言わないお父様とお母様を見て、私の考えすぎだったと結論を出した。
「さて、この書状でも分かる通り。このノイエル町は私に所有権があります。つまり、今から店外にテーブルやイスを設置して商売を始めても問題はないのです。ご理解いただけましたか?」
私はブドウ子爵に向きなおってそう言った。ブドウ子爵はしばし黙っていたが……
「……るさい……」
「はい?」
「うるさいうるさいうるさい!!!悪いの全てこの店とこの町なんだ!この店さえなければ!私の店の売上が下がる事はなかったんだ!者共!こんな店!潰してしまえ!!」
ブドウ子爵がそう言うと、ブドウ子爵が連れて来た者達がやっと出番かとニタニタと笑っていた。
この人達……もしかしてすごくバカ?ここで騒ぎなんか起こしたら、王子様いる手前どんな処罰が下されるか分からないのに……むしろ、私達は完全に被害者の立場になって、あなた達から慰謝料毟り取れる立場になるのに……
私は思わず溜息をついた。別に暴れさせても問題ないけど、バカ達のせいでお客様や特にアリーが傷つく可能性は排除しなければならない。面倒だけれど……やるしかないわね……
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