51.ようやく満を持してマダム・Aの登場です

私こと、マダム・Aの登場に場が騒然となる。それもそのはずだ。今まで謎多き人物が現れたんだから驚くのも無理はない。おまけに、衣装は以前「シーカーブランド」でそこまで露出が少なかったドレスを着ていて、顔は演劇の黒子がカブるような覆面をしているのだ。更に、そんな私に追従するように、同じ黒子の覆面を被ったメイドがいる。このメイドはもちろんキョウカだ。


「あれが噂のマダム・A……」


「なんて凛とした佇まいなのかしら……」


「最早、彼女のあの覆面も気にならないわ……むしろ、あの覆面こそが彼女の魅力を引き立てている要素にすらなってるわ……」


「しかも!かなりのナイスバディ!くぅ〜!?やりた……ぐべらぁ!!?」


周りの反応はかなり上々ね。いつもの私とはえらい違いで若干悲しくなるわね……というか、最後にエロそうな男性が何か言う前に魔力弾ぶつけられて気絶したんだけど……誰がやったの?私ですら気づかなかったんだけど……この覆面のせいで見えなかったのかしら?

っと……今はそんなエロい男性の事よりも、目の前の問題を片付けてしまいましょう。


「カイン王子様方に、他のお客様もお待たせして申し訳ありませんでした。すぐに席にご案内いたしますわ」


「すぐに席にだと?おい!その覆面のせいで周りが見えてないのか!?まさか他の客と相席しろって言うんじゃないだろうな!!?」


私の言葉にブドウ子爵は早速噛み付いてきた。


「もちろん。そんな事は言いませんわ。あちらをご覧くださいませ」


私が指を指したのは店外。店の外にはいくつかのテーブルとイスを設置した。私はブドウ子爵と王子が言い合ってる間に、簡易なオープンテラスカフェを設置したのである。


「ノイエル町の街並みを堪能しながら美味しいケーキを食べていただける。最高の場をお楽しみください」


突如として出来た簡易のオープンテラスカフェに早速お客様方が反応する。


「屋敷の庭でティータイムはよくするけれど、街並みを見ながらティータイムなんて初めてね」


「いいなぁ〜!私もあの席でケーキ食べたかったな!」


「くぅ〜!やっぱりマダム・A様最高だ!今夜俺といっ……くべはぁ!!?」


お客様の反応は皆好評のようである。最後にまた復帰したエロそうな男性客が何か言いかけ、また魔力弾をくらって気絶したけれど、また誰が放ったか分からなかったわ……覆面もっと見やすい物に変えるべきかしら?


「おい!?ちょっと待て!?そんな勝手なマネをしていいと思ってるのか!!?」


私が覆面について色々頭を巡らせていたら、再びブドウ子爵がくってかかってきた。


「ここはステインローズ伯爵家の領地だ!店内でならともかく!店外ですぐに商売を始めるにはステインローズ伯爵様の許可がいるはずだ!ですよね!?アリー様!」


ブドウ子爵の言ってる事は間違いではない。そもそも、このウィンドガル王国にオープンテラスカフェが出来ないのはそこに理由がある。

お店内で何かを始めるのには基本問題ない。もちろん、領主の許可とそれ相応の税金を納めていればであるが。しかし、店外で何かを始める場合、新たに領地の許可と、新たな税金を納める必要が出てくる。故に、その発想へと至る人がなかなか出ない。


そう。普通ならば……


「ブドウ子爵様。特に問題はございませんよ」


「えっ!?」


妹のエンジェリックヒーリングスマイルな言葉を受けて、驚き固まるブドウ子爵。そんなブドウ子爵に私は2枚の紙を突きつけた。

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