31.せっかくの誕生日なのだから願ってみたらいいと思う

こいつの発言にはいつも驚かせてばかりだが、深刻な顔して妹と一緒に出かけた事ない発言をしたのだから、思わず王族らしくないすっとんきょうな声をあげても仕方ないと思う……


「お嬢様!?大丈夫ですか!!?」


と、どう声をかけるべきか迷ってるところに、彼女の専属メイドが現れた。

影から自分の護衛をしてるとはなんとなく聞かさせていたが、まさかこんな完璧に気配を消していたなんて……このメイドは一体何者なんだ?


と、メイドに注目していたが、どっから取り出したのか、彼女がナイフを取り出して自分の首に当てようとしたので、メイドと俺が慌てて止めた。


「ちょっ!?お前!?何やってるんだ!!?」


「そうですよ!そういう痛い事は私にしてください!!」


「いや!?それも違うだろう!!?」


何やらメイドと噛み合わない会話をしてしまったが、とりあえず彼女の手に持ったナイフを回収した。


「どうして……どうして死なせてくれないんですか!!?」


「いや!?普通に死なせる訳ないだろう!?頼むから落ち着いてくれ!!?」


「これが落ち着いていられますか!?私は……妹に嫌われてる事も知らないまま……妹に多少でも好かれてると勘違いしていたなんて……恥ずかしくて……死にたい……」


なんだかいつも勝気な態度をとる彼女とは違い、ものすごくマイナス思考になる彼女。

しかし……妹から嫌われてる?まさか……アリー嬢は俺や兄やグランに、最近やって来たという義弟との会話はいつも姉自慢だというのに……しかも、その姿がやたらと愛らしいので思わず見惚れ、彼女への嫉妬心を少し抱いてしまうほどだ。だから、到底嫌われてるとは思えないんだが……


「いや……それはお前の誤解なのでは……?」


「誤解な訳ないじゃないですか!?私達は今まで!1度も!姉妹仲良く2人で出かけた事がないんですよ!?」


「いや……しかし……お前達は伯爵家だし、色々と都合が噛み合わない事だってあるし……」


「王族であるあなた達2人が一緒に出かけた経験があるのに!!?」


これは何を言っても聞かなさそうだ……さて、どう説得すべきか悩んでると……


「だったらお嬢様。確かめてみてはいかがでしょうか?」


さっきから黙っていたメイドが何やら発言し始めた。どうやら何か考えがあるようなので俺はメイドの言葉に耳を傾ける事にした。


「確かめるって……何を……?」


「だから、お嬢様が本当にアリー様に嫌われてるかですよ。直接確かめてみてはいかがでしょうか?」


「いやいやいや!!?ムリムリムリ!!?もし嫌いですってハッキリ言われたら……生きていける自信が……」


それを想像したのか真っ白になる彼女。想像だけでコレなら、現実で言われたらどうなるか……まぁ、言われないだろうが……


「だったら、アリー様の誕生日という事は、お嬢様の誕生日という事でもありますよね?」


「そりゃあ……双子だからね……それがどうしたのよ……?」


「だったら、その誕生パーティーで、アリー様と一緒に出かけたいとおねだりしてみてはいかがでしょうか?」


『えっ!?』


思わず俺と彼女で声が重なってしまった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます