6.妹の為にも稼ぎます!その2

私はノイエル町のスイーツ店「パルフェリア」の前にいた。店の前には物凄い人だかりである。流石はノイエル町の有名スイーツ店である。

列に並ぶ事数時間……ようやく私の順番が回ってきた。


「いらっしゃいま……」


店員は私を見て笑顔のまま固まった。そして、「少々お待ちくださいませ!」と言って、奥の方へ引っ込んで行った。う〜ん……特別対応されたら正体がバレるからやめてほしいんだけどなぁ〜……

数分後、店員と一緒にやって来たのはここのパティシエ兼店長であるノエルだ。突然、有名パティシエの登場にどよめきが起きた。まぁ、当然だろう……なんせノエルは、ウィンガル王国でかつて開催されてスイーツ大会でぶっちぎりの優勝を果たした人物だからだ。


「お客様。お騒がせして申し訳ありません。少々皆様の顔が見たくて出てきました。皆様はごゆるりと私の作りしスイーツをお楽しみくださいませ」


ノエルがそう言うと、客のみんなは納得したように、会話を再び開始したり、ケーキ選びに夢中になった。


「うまい対応だけど、いきなりあなたが来たらお客様がビックリしちゃうからやめてほしいのだけど……」


「そう思うのなら事前に連絡してください。ここの店員はあなたの正体を知ってるんですから……」


「それは悪かったと思ってるわよ。今日は来る予定はなかったのだけど妹にお土産を買う約束をしてしまったものだからね〜」


私がそう言うとノエルは苦笑を浮かべた。

この娘、ノエル=バーシンはかつて、ノイエル町がスラム街だった頃に教会でご飯が食べられない子達の為にスイーツを作って子供達に配って歩いていた。

私は、そのスイーツ作りの腕を見込み、彼女をうちのお抱えパティシエに推薦し、うちのパティシエに色々技術指導受けた後、「マダムA」の名前を使い、彼女にノイエル町に作ったスイーツ店を任せた。

最初こそ、元スラム街の出身の者が作るスイーツなどと言われ、蔑まれたりしたが、彼女はウィンガル王国にはない「チョコ」や「チーズ」を使ったケーキを披露し、ウィンガルスイーツ大会でぶっちぎりの優勝を果たし、「パルフェリア」はウィンガル王国でも一二を争う有名なスイーツ店になった。


まぁ、その「チョコ」と「チーズ」を開発したのが私だ。前世の知識で「チョコ」と「チーズ」のことを知っていた私は、早速カカオの木を発見し、カカオの実を採取。そして、乳牛も何匹か確保して牛乳も確保した。

が、問題は「チョコ」と「チーズ」の作り方まで、流石の私でも分からなかった。けれど実は、遥か海を越えた東方の国では「チョコ」と「チーズ」を作ってる事を知った。が、片道だけで2、3週間もかかるので、ウィンガル王国とその東方の国は交流がなく、「チョコ」と「チーズ」を作るやり方が伝わっていなかった。

しかし、私はとある方法で、片道2、3週間かかる道のりを、片道2、3時間に大幅短縮することが出来た。なので、私はその東方の国の優しい人から「チョコ」や「チーズ」の作り方を教わり、それをノイエル町の人々に伝えて、このノイエル町で「チョコ」と「チーズ」の生産に成功したのだ。


「それで、悪いんだけど妹にお土産を用意したいのだけど……」


「でしたら、こちらを。新商品の抹茶ケーキです」


ノエルはそう言って私に抹茶ケーキが入ってると思われる箱を私に渡した。ちなみに、この「抹茶」も東方からの技術を私が譲り受け、その「抹茶」を使ったケーキを作ってとノエルに指示したら本当に作った物である。ノエルはスイーツ作りの天才ね……私……実はすごい人を見つけたのでは……?


そんな事を少し考えたが、このお土産を渡しとびっきりの笑顔をみせてくれる妹の姿を想像し、私は次の目的地に向かった。

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