第48話 三角の想い
鈴木「(ウォータースライダーを9回。女子たちの肌が水を弾いて、それはキラキラとした時間だったのだが……。俺は、三半規管が弱いのを忘れていた。すっげぇー気持ち悪い! こっそりトイレで嘔吐して、それから、ひとりでベンチに座っていると、明彩さんが隣にやってきた。水着が太陽の光を反射して眩しい。それに、なんで水着だとこんなにも可愛いく見えるんだ? 絶対にこいつは、自分自身が美人だと自覚のあるタイプだろうな。嫌味のように胸は出ているし、足と腰回りはすらっとしている。)」
明彩「おーい。ネギ男。」
鈴木「誰がネギじゃーー!!!」
明彩「もうせっかくみんなで楽しんでるのに! 大丈夫なの?」
鈴木「さすがに限界。気持ち悪りぃ。」
明彩「そう。まぁあんたらしんだけどさ。」
鈴木「(そう言えばこいつって、なんで俺にこんなに絡んでくるんだ??? 席替えの日から突然。それまで関わったことなんてなかったのに……。)ひとつ聞いていいか?」
明彩「なに? 私ネギの栽培の方法なら、知らないわよ。」
鈴木「そんなもん、興味ねえぇわ!」
明彩「じゃなに? 涼葉のスリーサイズなら、教えられないけど!」
鈴木「(……先ほどから涼葉さんの水着姿ばかり、目で追っていたのがバレてたのか? いやいや、そんなことより話を元に戻さないと。)お前ってさ……。(やべっ。お前とか呼んでしまった……。まぁいいか。)俺のこと……。(好きなのか? 俺たち妙に恋人っぽいって言うか。涼葉さんからは、二股するように言われたし。でも、こいつからは付き合う、とかそんな約束してない。まぁ廃墟ビルであんな体験したわけだし……。考えただけで顔が赤くなる……。あれ以来、俺たちの関係ってなんか変な感じなんだよなぁ。はっきり知りたいって言うか。その、俺のこと本当はどう思ってるんだろう? 俺はその……、涼葉さんが一番気になる。大人しくて可愛い。キスしたってのもあるのかもしれないけど、涼葉さんとだったら、付き合いたい!)」
明彩「なによ? はっきり言いなさいよ!」
鈴木「えぇっと……その。俺のこと……、どう思ってんのかなぁって……。」
明彩「ドキッ! そ、そりゃまぁ仲良くしてあげてるのは、隣席だから仕方ないっていうか……。隣席なんだから、当然でしょ!」
鈴木「隣席だからってそんな義務ないだろ?!」
明彩「うっさい! ・・・馬鹿。」
鈴木「なんで、頬赤くなってんだよ?」
明彩「なってない! てかさ、私のこと見ても、なにも思い出さないわけ?」
鈴木「・・・は。思い出す? なにが?」
明彩「昔のこととか……。」
鈴木「……昔のこと?」
明彩「そう昔…………。」
鈴木「うぅうん。昔って言われてもなぁ。全く思い出せん。妹と14歳の誕生日がきたら付き合う約束もしてたらしんだけど、覚えてなかった……。」
明彩「――はあ! 妹と付き合う? あんたまじでそれ言ってんの?! ばっかじゃない! ――てかこの際だから教えといてあげるけど、――私たち昔、付き合ってたの、覚えてないの?」
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