第47話 14歳の約束
鈴木「穂香ちょっと、こっち来い。あいつらの言うことは、真に受けなくていいからな。」
穂香「でも三角関係って……。お兄ちゃんは、あの人たちのことどう思ってるの?」
鈴木「どうって……。まぁそのあれだ。」
穂香「はっきり答えて。やっぱり付き合ってるの? もしかしてだけど――、穂香との10年前の約束覚えてない?」
鈴木「10年前の……約束?!」
穂香「うん、とっても大事な約束!」
鈴木「そう言われると……。何かを忘れているような……。」
穂香「ひどい!」
鈴木「どんな内容の約束をしたんだっけ? すぐに思い出せそうにないんだ。教えてくれないか?」
穂香「あぁぁあショックが大きすぎて、血の気が……。」
鈴木「お、おいっ! 大丈夫か? しっかりしろ。(意識を失って倒れそうになる穂香を抱き寄せる。穂香の顔色がどんどん赤くなっていく。)」
穂香「お兄ちゃん……ち、近い。」
鈴木「お前、鼻血まで!」
穂香「(14歳の誕生日が来たら、付き合ってくれるって約束したよね。私は、ずっとずっと楽しみに待ってたんだよ。どんなイケメンからの告白も断り、お兄ちゃんとの関係を――待ってたの。誕生日は、3日後。すっごく楽しみ。お兄ちゃんと付き合って、あんなことやそんなこと――いろいろしたい――。)」
鈴木「鼻血が吹き出たぞ!! しっかりしろ!」
穂香「だ、大丈夫! もう大丈夫だから……。」
鈴木「それなら、良かった。それより、子供の頃の約束って、俺何を約束したんだ?」
穂香「その前に、確認! お兄ちゃんは約束を守ってくれる人だよね?」
鈴木「約束のひとつやふたつくらい! 兄として、守る! 任せとけって!」
穂香「じゃ言うよ。良く聞いてね! ……お兄ちゃんが私と交わした約束って言うのは……。」
鈴木「うん。なんだ?」
穂香「14歳の誕生日が来たら、私と付き合ってくれるって! そう約束したんだよ!!!」
鈴木「ええええええええええ!!!!(……そんな約束を! 全く記憶がない。何気ない日常のワンシーンだったのだろう。しかし、約束を破る。それは兄として、いいや男として如何なものだろうか。だが10年前と比べると、穂香だって成長しているし、なんといっても胸も出ている。つまり可愛い女の子なわけで……。パニックで返答できない。)」
明彩「おーい! 女の子2人をいつまで待たせんのよ? 私、ウォータースライダーしたい!」
穂香「……お兄ちゃん、あの人たちが呼んでる……。」
鈴木「お、おう。穂香も一緒にウォータースライダーするか?(ふぅ〜。良かったぁ。これでなんとか、ごまかせたか。)」
穂香「ぅん。(絶対にお兄ちゃんは、私と付き合う! もし付き合っている人がいてもそれは別れてもらう! だって約束したもん!)」
鈴木「(明彩さんと涼葉さんの待つ方向に歩き出すと、後ろから穂香が腕を掴んできた。急に……どうしたのだろう? まぁ初めて会う上級生で、しかもキラキラと眩しい光を放つ美人が2人も。さすがに、あんなのを見せつけられたら、緊張するのが普通だろう。)」
涼葉「お兄ちゃん好きの下克上。あれは、宣戦布告。」
明彩「や、やっぱりそうだよねぇ。あんなに可愛い妹さんがいたら私なんかじゃ、相手にならないよね。ってアホか!!! 妹と恋愛! 信じられん。鈴木君だってそんな恋愛は望んでないはず!」
涼葉「明彩、妖魔は禁止。」
明彩「私の妖魔なんか、なんの役にも立つわけないでしょ。涼葉のかまいたちで、なんとかしなさいよ!」
涼葉「血のプールになる。」
明彩「それは、ダメ!」
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