8.作家と書籍と出版の関係性を考える

 前項でも述べた通り、「書籍化」や「出版社」というものは、かつて、作品を世に送り届ける上で必要不可欠でした。しかし、現代においては必ずしもそうではなくなっています。例えば作品を多くの人に届けるだけであれば、投稿サイトなどが存在する。なんなら個人サイトで公開しても(理論上は)大丈夫です。


 それに加えて、「書籍化」というものが権威的である理由には「利益が得られる」という部分があります。これもまた一作者が、多くの読者からお金を貰うという事が理論上不可能で、だからこそ「書籍」として販売して、利益の一部を作者が貰うという形(それ以外にもいくつかの形がありますが)を取っていたのです。ところが既に上げた「カクヨム」の取り組みの他、今は作家に対して投げ銭をする、というシステムはそこまで珍しくありません。


 こうなってくると、作家と書籍、それから出版の関係性は大きく変わってきます。以前は作家の書いた作品を、出版社を通して書籍化して、多くの人に買ってもらい、それを利益として作家に還元していく。これがほぼ唯一に近いシステムでした。


 しかし、このシステムは当然色々な問題があります。作家がどれだけ凄い作品を書いていたとしても、出版社がそれを出版しなければ収益はゼロですし、読む側からしても、書籍を買う以外の形では作家にお金を渡せません。書籍を買う程ではないんだけど、好きだという気持ちをお金として返還するシステムが無い。これに関してはカクヨムも件の取り組みに関するページで以下のように書いています。


 これまで小説の執筆によって収益を得るには書籍を出版してその印税を受取るという方法が一般的で、書籍を出版できるかどうか、1か0かの世界だったと思います。今回の取り組みはこれまでの書籍化を否定するものではなく、1と0の間に新しい段階を設け、創作活動の間口を広げることで書籍についてもこれまで以上に拡大させ、創作活動全体を盛り上げていければと思っています。(URL:https://kakuyomu.jp/info/entry/kakuyomu_mid-term_plan


 これはまさにその通りかなという感じで、収益に関しても作家のレベル(というのが良いのかは分かりませんが)に応じて変化していくという事でしょう。



【ざっくりポイントまとめ】

・かつては書籍を売る以外の収益方法が乏しかった。

・しかし現代では収益方法が多様化出来る。

・書籍化や収益化も、0か1かではない形を模索するのがいいのではないか。

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