第17話 『大事件の預言を聞かされる』

 

 魔法学院に通い始めたイセリアには生まれて初めて同年代の友達が出来た。


 友達の名前はアルティーナと言い、魔法学院に通う同級生としてトップクラスの実力を持った生徒だったのだが……。


「ほほほっ! 今日こそわたくしが勝たせていただきますわよ、イセリアさん!」


「……うん、頑張って」


 ちょっと――いや、かなり高飛車でエリート意識が目立つ少女だった。


 イセリアに他に友達が出来ない理由は――察してあげるのが大人の対応というものだろう。


 ちなみにイセリアは知らないことだが、名前から推察出来るようにエルティーナの実の娘である。


 これをセリーナとエルティーナが知ればママ友になれたかもしれないが、その場合はニコラスが大ピンチに陥ることは間違いない。






 現在、イセリアとアルティーナは魔法学院の合宿ということで王都を離れて最寄りの森に来ていた。


 勿論、複数の教官が同行しているし、森と言っても魔物は可能な限り間引かれた安全な場所だ。


 合宿という名目ではあるが、実際のところは学院単位でお泊りに行きましょう的なイベントだった。


 森の中だというのにコテージなどが建造されている時点で魔法学院の恒例イベントなのだろう。


 こんな安全な場所でアルティーナがイセリアと何を勝負するのかと言えば……。


「どちらが早く川から水を汲んでこられるか、勝負ですわ!」


 とりあえず何か競争しなくてはいられない性分というだけの話だ。


 そもそも、その性格からイセリア以外に友達がいないアルティーナの構って欲しいという無意識の行動に過ぎない。


「え? 水って魔法で出しちゃ駄目なの?」


「……それなら、どちらがより多く水を出せるか勝負ですわ!」


 残念ながらエルティーナとは違ってアルティーナの頭の出来は余りよろしくないが。






【魔力感知】と【魔力操作】を鍛え続け、少しだけ【魔力制御】も上達したイセリアは魔法学院でも上位に位置する成績を維持していた。


 ニコラスの指導によって魔力の操作は他に類を見ない程に達者なのだから、当たり前とも言える。


 寧ろ、魔力量が【中】で【属性変換】が出来ないニコラスと比較すればイセリアの方が将来性は圧倒的に上と言っても良い。


「●●●っ、●●●●っ」


 用意された桶に魔力を調整しつつ詠唱して【属性変換】を行い、的確な量の水で満たすイセリア。


「相変わらず意味不明な程に完璧な魔法の制御ですわね」


「……まだまだだよ」


 アルティーナから見れば呆れる程に完璧に見えるが、イセリア本人からすればまだまだ【魔力制御】に粗があって未熟ということになる。


(ごしゅじんさまみたいに【魔力視】が使えれば良いんだけど)


 それにイセリアはまだ魔力を直接視認出来る【魔力視】の獲得に成功していなかった。


 目に魔力を集めることでボンヤリと認識出来つつあるものの、それはニコラスが持つ【魔力視】の性能とは程遠いものだ。


 具体的に言えば視神経や脳が魔力を見る為の回路の調整が上手くいっていなかった。


(ごしゅじんさまは魔力を慣らしていけば、その内見えるようになるって言ってたけど……難しいよぉ)


 ニコラスは既に無意識に目のピントを合わせるように出来ていたが、イセリアからすればそれは神業に近い所業だ。


 一朝一夕で出来ると思っている方が間違えている。


「イセリアさん、そろそろ火を熾してくださいな」


「……アルティーナさんも、そろそろ自分で火を熾せるようになろうよ」


「わたくしは火魔法とは相性が悪いのですわ。こういうのは火魔法が得意なイセリアさんにお任せしますわ」


「……そうでもないと思うけどなぁ」


 ボンヤリとではあるが魔力を視認出来るようになったイセリアが確認したところ、アルティーナの魔力の色は赤だ。


 苦手どころか火に特化した魔力性質を持っていると言える。


 寧ろ、火と風の両方に意識を割いているイセリアよりも火にのみ意識を向けられるアルティーナの方が専門家と言っても良い。


(今度ごしゅじんさまに相談してみようかなぁ~)


 アルティーナの魔法の使い方はイセリアから見れば余りにも勿体ない。


 そう判断したイセリアは合宿から帰った後にニコラスに相談するのだが――アルティーナの名前を聞いた彼がどんな反応をするのかというと……。






 合宿2日目。


 イセリアは班単位で森の中を探索中だった。


 探索中とは言っても直前に冒険者によって魔物狩りが行われていたのでゴブリンの1匹も襲ってこないので実質唯のピクニックだ。


「この間、実家の帰省した時、お母様ったら以前よりぐっと綺麗になられていましたわ。あれはきっと恋をしている顔ですわ!」


「……そうなんだ」


 その間、イセリアはずっとアルティーナの話を延々と聞かされていたが。


「勿論、新しいお父様と上手くやっていけるかどうかは少し不安がありますが、それでもわたくしはお母様の恋を応援しようと思っていますの」


「うん、偉いね」


 適当にアルティーナの話を聞き流しているイセリアだが、まさかその相手が自分の母親の恋人だとは夢にも思うまい。


 単純に自分と同じ立場だなぁ~と思っているだけだ。


「やはり女という生き物は恋をすればいくつになっても綺麗になるものなのですわ。だからわたくし達も……」


「ん?」


 そんなアルティーナの話の途中、イセリアは不意に視線を感じて振り返っていた。


「どうしましたの?」


「分からないけど……なんか視線を感じた気がしたの」


「魔物ですの?」


「……分かんない」


 アルティーナに受け答えしつつイセリアはボンヤリと周囲を探りつつ――何故か確信を持って何かがいると察していた。


《……っ! ……っ!》


「あ」


 そうして見つけたのは緑色に光る宙に浮かぶ球体。


 それを認識した瞬間、イセリアの中に眠っていた錆びついていた回路が音を立てて動き出し、急速に機能を回復させていった。


《お? エルフの血に根付いた【精霊共鳴】の力が【精霊視】を発現させたね。優秀優秀♪》


「……精霊?」


 さっきまで緑色の光の球体だった物が小さな羽の生えた少女に姿を変えていた。


《あたしは風の精霊シルフだよ。名前はまだないけど……契約してくれるならあたしに名前をつける権利をあげちゃうよ♪》


「風の精霊と契約……精霊魔法が使えるようになるってこと?」


《そうそう。だから早くあたしに名前を……》


『我、契約の楔を打ち込むは風の精霊。ここにイセリアの名を持って彼の精霊を使役する縁を結びたまえ』


《ちょぉっ……!》


 残念ながらイセリアは知っていた。


 精霊がエルフの契約者に名前を望むのは魔力が潤沢なエルフから魔力の絶対値を奪い、自身を成長させる為の儀式。


 ここで迂闊にイセリアがシルフに名前を付けていたら魔力の大半を奪われた上に、半永久的に魔力を奪われ続けることになっただろう。


 エルフにとって精霊とは決して親しい友人ではなく油断出来ない隣人なのだ。


 だからこそエルフが代々研究を続けてきた精霊契約によって強制的に魔力的なパスを繋げて対等な関係を築くことが出来る。


「……よし!」


 完璧とは言い難いイセリアの【魔力制御】ではあるが、それでもシルフに自分の魔力を打ち込んで契約の楔として成立させることに成功した。


《よしじゃないわよ! あんた、なんてことするのよぉっ!》


「私の見た目が幼いからって油断してくれたね。精霊に迂闊に名前を与えて魔力を奪われるエルフなんて滅多にいないよ」


《ぐぬぬぅっ!》


 確かにシルフはイセリアを良いカモだと思って近付いてきたことは確かで、まさか既に精霊契約が出来る程の腕前だとは思っていなかったのだ。


「それじゃ改めて名前を付けてあげるね♪」


《……好きにしなさいよ》


 契約前に名前を付ければ魔力の大半を理不尽に奪われるが、契約後ならば結び付きを強化して魔力を共有する為の儀式となる。


「あなたの名前はセイ。私の初めての契約精霊だよ」


《ふん。精々寝首を掛かれないように気を付けることね》


 こうしてイセリアは油断出来ない風の精霊セイと契約を結ぶことに成功したのだった。


「イセリアさん、ついに頭の病気が……」


 ちなみにアルティーナには精霊の姿も声も認識出来ないのでイセリアの頭がおかしくなったのではないかと本気で心配していた。






 合宿が終わって家に帰ってきたイセリアは早速セリーナに精霊と契約出来たことを報告しようと思ったのだが……。


「おかえりなさい、イセリアちゃん」


「へぁっ?」


 数日ぶりに会った母親の傍には複数の水色の少女達が纏わりついていた。


「お、お母さん、それ……何?」


「それって?」


 そのセリーナの反応で、やっとそれが水の精霊なのだと理解した。


 セリーナを守るように纏わりついているが、セリーナ自身には存在を感知することも出来ていないのだ。


(お母さんが水と相性が良いのは知ってたけど、水の精霊が常に張り付いて守ってくれる程の凄い相性だったんだ)


 セリーナは元々エルフの国の貴族だった女性。


 元々精霊とは相性の良い家系だったが、それに加えて魔力の扱いが巧みなニコラスと幾度も交わったお陰で無意識に精霊を呼び寄せて守護を得る[精霊使い]へと成長していた。


 イセリアが成し遂げた精霊契約はエルフの中でも精霊と出会う幸運が必須になる希少な技能だが、[精霊使い]となったセリーナには精霊との契約すら必要ないのだ。


 どちらが精霊の扱いで上なのかは比較するまでもなかった。


(ちょっと成長出来たと思ったら母親は遥か先を進んでいましたって……萎えるよねぇ)


 イセリアはガックリして床の上に突っ伏したのだった。




 ◇◇◇




「……緊急事態です」


 その日、例によって例に如くギルドマスターの執務室に呼び出された俺は、いつになく真剣な顔をしたギルドマスターに少し驚いた。


「何があった?」


「……君は王都にいる預言者の存在を知っていますか?」


「預言者?」


「なんでも数百年前から予知能力に特化した血筋を集めて作り上げた王国の最高傑作とも呼ばれる特殊魔法使いです」


「……胡散臭ぇ~」


「同感ですが、その力は本物です。実際に予知を使い幾度かの予言によって王国の危機を救ってきたのですから」


「ふぅ~ん」


 まぁ、魔法がある世界なのだから、そういう力を集結すれば予知も不可能ではなくなるのかもしれない。


「それで?」


「本題を話す前に確認事項ですが、この町は王国の最東端に位置する辺境であり、この町から東には未開の大地が続いています」


「……そうだな」


 俺も生まれた時からこの町にいたわけだし、そのくらいのことは常識として知っている。


「そして未開地の奥は魔物の世界。何千、何万、何十万、下手をすれば何百万という魔物がいるかもしれません」


「……そうだな」


 あくまで可能性の話ではあるが、人間が数十万人も住んでいる国が実際にあるのだから、確認出来ない地に魔物が数百万いても不自然ではない。


「ここで本題ですが、王都の預言者が【超過暴走スタンピード】が起こると預言しました。時期はおよそ1ヶ月後だそうです」


「…………は?」


超過暴走スタンピード】というのは魔物が一斉に人間の町に向かって我武者羅に突進していくという原因不明の現象だ。


 集結する魔物の数は地域によって様々だが、もしも大量の魔物がいる地域で【超過暴走スタンピード】が起これば――最悪、国が滅ぶ。


「魔物の規模は最低でも数十万、最悪数百万にも達すると予想されています。こちらは予言を聞いた際の学者の予想でしかありませんが、無視出来る予想ではありません」


「……それで?」


「君も予想出来ていると思いますが、この国で大量の魔物が隣接する地域は辺境の町……つまりこのリセの町以外にありません。【超過暴走スタンピード】の最初の被害を受けるのは、ここになるでしょう」


「数十万~数百万は……流石に正攻法ではどうにもならんなぁ」


 一瞬、俺の頭には例の遺跡で見つけた兵器群が掠めたが、直ぐに俺が個人で対処しなくてはいけない問題ではないと振り払った。


「軍隊は? こういう時の為の備えだろう?」


「既に予言を聞いた一部の貴族は財産を持って他国に逃げ出す準備を始めているそうです。指揮する立場の人間がその有様ですから軍が実際に動けるのはいつになるやらって話ですね」


「町への避難勧告は?」


「……出されていません」


 ギルドマスターの食いしばった歯がギリッと音を立てる。


「王国の上層部の提案で少しでも時間を稼ぐ為に、この町の住人には囮になれという指示が出ているそうです。この町に【超過暴走スタンピード】の報告が届くのは直前にする予定だとか」


(うわぁ~)


 俺は上層部の提案にではなく、それを話すギルドマスターの表情にドン引きしていた。


 かつてない程に怒りに満ちた顔だったからだ。


「私は独自の線から情報を得ることが出来ましたが、本来なら私への通達もギリギリで行われる予定だったそうです」


「それで?」


「……なんとかなりませんか?」


「無茶を言ってくれる」


 そりゃ俺をギルドマスターから見た場合、規格外の力を持っているように見えるだろうが、それでも出来ることと出来ないことがあるのだ。


「百歩譲って、万が一にでも俺に【超過暴走スタンピード】を収束させる力があったと仮定してだ。その結果として腐った上層部が得をするのは納得がいかんなぁ」


 結局のところ、俺がこの町を必死で守ったとしても上層部の連中は感謝などしないだろうし、今回の件を反省したりもしないだろう。


 それどころか俺の力が知れ渡って、それを利用しようと考える可能性大だ。


「そう言うと思ってリストアップしておきました」


 だが、そんな俺の考えを読んでいたのかギルドマスターは1枚の紙を俺に差し出してきた。


 その紙にはズラッと名前が書かれている。


「これは?」


「今回の件で逃亡を企てようとしている貴族の名前です。あくまで私の情報網で察知出来た範囲ですが、そのリストに書かれている貴族は確実に逃げる予定の貴族です」


「……これを俺にどうしろと?」


「勿論、好きにしてくださって構いませんよ」


(うわぁ~、ブチ切れてるよ)


 普段、怒らない人間が本気で怒ると手が付けられなくなる。


 この日、俺はそれを実感する羽目になった。






 ギルドマスターへの返答を一旦保留にして俺は冒険者ギルドから外に出た。


(とりあえず……1度様子を見に行ってみるか)


超過暴走スタンピード】の発生は1ヶ月後という話だったが、既に何らかの予兆が出ているかもしれないし偵察しておいて損にはならないだろう。




 ◇◆◇




 現状、王国最強と謳われているクラン[栄光の御手]の団長クライサスの姿は空の上にあった。


「やはり今の段階で魔物が集結している様子はない……か」


 独自の情報網から預言者の預言内容を知り、事前に【超過暴走スタンピード】を抑止出来ないかと駆け付けた彼だったが、現時点で魔物の集結が見られない以上、出来ることは少なかった。


 約1ヵ月の後に魔物が大集結すると分かっていても、現時点では広大な森の中にバラバラに存在している魔物を事前に討伐するのは困難を極める。


 喩えSランク冒険者のクライサスが全力で魔物の討伐に労力を費やしても1ヶ月では1000の魔物が狩れるかどうかというところだろう。


 推定で100万とされる【超過暴走スタンピード】からすればまさに焼け石に水だ。


「……歯痒いな」


 クライサスに出来ることがあるとすれば、魔物が集結して【超過暴走スタンピード】が本格的に始まる直前に広範囲攻撃魔法で可能な限り数を減らすことくらいだった。


 つまりタイミングを見計らいながら1ヵ月も何も出来ないと言っているのに等しい。


 クライサスは己の無力さに深く嘆息して……。


「ん?」


 後方から何かが近付いてきていることを察して振り返った。


 クライサスは飛行系の魔物の接近を警戒していたが、それが近付いてくるにつれて彼の眼は人型の飛行物体であることを察知した。


「あれは……」


 その高速で飛んでくる飛行物体はクライサスの想像以上の速度で接近してきて――目の前でピタリと動きを止めた。


「よぉ」


「……ニコラスさん」


 それは王国最強である筈のクライサスに完膚なきまでに黒星を付けた相手――ニコラスという名の青年だった。


「どうして、ここに?」


「【超過暴走スタンピード】が起こるって聞いたから様子を見に来た。お前もだろ?」


「……よく知っていますね」


「優秀な情報屋がいるんだよ」


 気軽に話す2人だが、実際にはクライサスは驚愕に目を見開きたい気分だった。


 ニコラスが既に預言の内容を知っていることにも驚いていたが、それ以上にニコラスの飛行魔法の精度について驚いていた。


 クライサスは重力魔法と風魔法を併用することで可能な限り魔力消費の少ない飛行魔法を完成させ、飛行魔法については誰にも負けないと自負していたのだが……。


(速度については勿論だけど、飛行制御についても僕より遥かに上の飛行魔法だ)


 こうして実際に飛んでいる姿を見ているのに、その飛行原理が理解出来ない。


 クライサスは自分がまだまだニコラスを侮っていたことを自覚した。


「ニコラスさんは……どうされるつもりですか?」


「真っ先に狙われる東の辺境は俺の故郷だしな。出来れば引っ越しとかしたくないんだが……状況次第だな」


「そ、そうだったのですか」


 ニコラスが辺境の出身だとは知らなかったのでクライサスは少し驚いた。


 だが、同時にニコラスがここに様子を見に来た理由も理解出来た。


「町の避難状況はどうなっていますか?」


「……聞いていないのか? 情報はギリギリまで隠蔽されて、あの町は囮として時間稼ぎに使われるそうだ」


「なぁっ……!」


 本当に知らなかったクライサスは今度こそ驚愕に目を見開いた。


「おまけに大半の貴族は財産を持って逃げ支度の真っ最中だとさ」


「……屑が!」


 普段は温厚なクライサスだが、流石に怒りを押し殺すことが出来ずに吐き捨てた。


「同感だな。本来、貴族ってのは緊急時に最前線で身体を張って民を守る義務と引き換えに大きな権力を持つことを許されている存在だ。それが真っ先に民を見捨てて逃げるようじゃ……【高貴なる義務ノブレス・オブリージュ】も形無しって奴だ」


「……ニコラスさんは古い慣習を御存じなのですね」


「必要な慣習を忘れた貴族なんて豚以下の家畜にも劣る存在だ。そういう豚以下の屑どもに遠慮する必要はなさそうなのが救いだな」


「……何をするつもりなのですか?」


「お前も半分いるか?」


 そう言ってニコラスが取り出したのは1枚の紙。


「これは?」


「慣習を忘れた屑どものリストだそうだ。国を捨てて逃げるんだから……その途中で事故に遭っても誰も気付かんだろう」


「っ!」


 どうやって手に入れたのか国を捨てて逃げ出すことを決めた貴族の名前が羅列されたリストだった。


「……頂きましょう」


 そうしてクライサスは半分に切られたリストを手に入れた。






 以降、貴族の大粛清が始まるのだが――それは世間に知られない闇に葬られた事件だった。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます