第14話 『王都で喧嘩を売られる』

 

「~♪」


 俺は自宅でアイーシャに膝枕された状態で耳かきしてもらいつつ、この世界の魔法使いについての考察をしていた。


 ぶっちゃけアイーシャの胸部に装備されたメロンによって顔全体を圧迫されているし、メロンによって手元が見えないので耳かきとかやりづらいと思うのだが、アイーシャ自身が御機嫌なので任せていた。


 で。この世界の魔法使いについての考察なのだが、魔法を使う際に態々詠唱を必要とするので全く脅威に思えない。


 その詠唱時間があれば余裕で俺の【魔戦輪リング・スラッシャー】が先制攻撃を取れてしまうからだ。


 だが俺が戦ったことがあるのは魔法学院に通っている実戦も知らないような魔法使いの卵だけ。


 ひょっとすると在野の魔法使いの中には無詠唱で魔法を放ったり、詠唱しつつも接近戦をこなせる魔法戦士なんてのがいてもおかしくない。


(こんなことなら、あのAランク探索者が訪ねてきた時に色々と聞いておけば良かったなぁ)


 一線級で活躍する魔法使いというものが、どのくらい強いのか参考になったかもしれない。


「…………」


「……どうしました?」


「なんでもない」


「まぁ♪」


 俺がアイーシャの太ももとメロンに挟まれたままアイーシャをギュ~っと抱きしめると困惑を喜びに変えてアイーシャも俺を強く抱きしめてきた。


 考えてみれば奴らは6人パーティだったわけで、重傷を負っていた重戦士が盾となって時間を稼ぐ戦法というのが1番ありえそうだった。


 つまり魔法使い個人を対象として考えても意味がないということ。


(重要なのは連携ってことか)


 固定砲台となった魔法使いが詠唱を終える前に、盾役の前衛を排除して魔法使いを排除するのは大変そうだ。


 しかもベテランの魔法使いともなれば自分でも動いて、ある程度自衛出来る可能性もある。


(個人で強力な魔法使いは勿論だが、パーティで連携の上手い魔法使いも要注意ってことかねぇ)


 機会があればベテランの魔法使いの戦闘をじっくりと観察してみたいものだ。


「はい、終わりましたよ♪」


「……ありがとな」


 俺の耳かきの終わりを宣言したアイーシャだが、全く離れる気がないようで継続して俺をぎゅ~っと抱きしめたままだ。


 アイーシャと過ごす日常は他人が見たら胸焼けするくらい甘い日々だった。




 ◇◇◇




「ベテランの魔法使いですか?」


「ああ。考えてみたら俺はベテランの魔法使いの戦闘って見たことがないから1度見学させてもらえないかと思って」


「……鏡でも見たらどうですか?」


 ギルドマスターに相談したらそんなことを言われた。


 そりゃ敵に俺みたいなのがいたら凄く困るけどさぁ。


 特に敵に【魔力視】持ちがいた場合が1番の脅威となるだろう。


 俺の強みは魔力を直接武器にすることで敵から視認も察知も出来ないという点なのだから。


《現在のマスターの魔力は変質済みなので敵に【魔力視】持ちが居たとしても問題ありません》


(……そっすね)


 そういえば俺の魔力は変質させて透明になるように細工済みだった。


 勿論、俺自身の魔力なので俺は知覚出来るし、【魔力視】自体を強化済みなので視認も出来るのだが。


 つまり俺が警戒するべきなのは俺と同レベルの【魔力視】持ちということになる。


 そんなのが本当にいるのかどうかも疑問だが。


「ともかく、そういう凄い魔法使いに心当たりはないかな?」


「そうですねぇ。Aランクの冒険者パーティに所属している魔法使いなら何人か心当たりがあるのですが……」


「が?」


「単独どころかパーティ単位であってもオークロードの討伐なんて出来ませんよ?」


「……それは相性の問題だから」


 そっと目を逸らしながら言い訳してみる。


 普通に考えて万単位どころか数千単位の規模だろうと、そんな数のオークに守られているオークロードの討伐など少人数で達成出来る方がおかしい。


 俺がそれと成し遂げることが出来たのは空を自由に飛び回ることが出来る【推進力場フォース・ドライブ】のお陰なわけで、これは思っていた以上にチートな魔法なのかもしれない。


「いや。でも考えてみたら空を飛べる魔法使いもいる筈だよな?」


「……君は知らないかもしれませんが、普通は空を飛ぶだけで膨大な魔力を消耗し続けるので空を飛びながら魔法なんて撃てませんよ?」


「そ、そうなの?」


「もしも、そんなことが出来る魔法使いが居たとしたら、それは世界で1番の魔法使いと認定されることでしょうね」


「……こっち見ながら言うな」


 道理で無茶な仕事を振ってくることが多いと思っていたら、こいつ俺を世界一の魔法使いだと思っていやがったのか。


 いや。確かに俺は空を飛びながら魔法とか普通に使えますけどね?


 だからって広範囲攻撃魔法とか――あ、【隕石落としメテオ】があったわ。


 あれ? なんか俺が世界一の魔法使いで良い気がしてきたぞ?


「で、でも……中には世に知られていない凄い魔法使いとかいるかもしれないだろう?」


「そうですねぇ。中には貴族に目を付けられたくないという理由で自分の力を隠蔽している隠れSランクの魔法使いがいるかもしれませんねぇ」


「……だから、こっち見ながら言うな」


 誰が隠れSランクの魔法使いだ。


 ちょっと格好良いと思ったけど、そんな甘言には負けない。




 ◇◇◇




 そんなフラグを立てたのがいけなかったのかもしれない。


 俺は週に1度の楽しみとしているセリーナに会いに王都へ転移魔法で飛んできたのだが、王都の拠点に辿り着いた俺が見たものは――玄関の前で1人の金髪碧眼で長身の立派な鎧を纏った青年に話し掛けられて困っているセリーナの姿だった。


「……客か?」


「あ。おかえりなさい♪」


 俺が声を掛けたらセリーナはあからさまにホッとした顔をして俺の背中に隠れてしまったけど。


 どうやら、この青年はセリーナの浮気相手ではなく迷惑な客だったようだ。


「誰だ、貴様は?」


「……この家の主人だが?」


 セリーナが俺の背後に隠れたのが気に食わないのか、俺を睨みつけてくる青年に普通に返答する。


「なんだと。貴様がセリーナ殿の主人だというのか?」


 何故か益々眉が吊り上がって不機嫌そうになったけど。


「で? そっちはどこのどなたさん?」


「ふっ。人に名前を尋ねる時は自分から名乗るが礼儀というものだぞ?」


「別に知りたくないし、言わないなら帰ってもらって良いけど?」


「ちぃっ! 姑息な奴め!」


 何故か俺の方がディスられた。


「ふん、聞いて驚け。私は王都の冒険者ギルド所属、クラン[栄光の御手]に所属するAランク冒険者フランデルス=ライオックだ!」


「……なんだ、冒険者か」


 恰好から騎士か――最悪貴族と予想していたので正直拍子抜けだ。


「その私がセリーナ殿をお茶に誘っているところだから貴様は引っ込んでいるが良い!」


「……家に入るか」


「は、はい」


 相手が唯の冒険者だと分かったので塩対応でスルーしてセリーナを伴って家に入ることにした。


「待たんかっ!」


 だが厄介なことに玄関の扉を掴んで妨害してきた。


 普通に迷惑なんですけど。


「私はAランクの冒険者だぞ! しかも王都で1番と言われているクラン[栄光の御手]に所属しているんだぞ! 敬意を払わんか!」


「……知らんがな」


 結局のところ、こいつはセリーナをナンパしたいのであって、その為に俺が邪魔というだけの話なのだ。


「あ、あの……私はこれから御主人様を歓待しなくてはなりませんし、その……困ります!」


「ぐふぅっ!」


 だからセリーナからダイトクトに拒絶されたら大ダメージを受けていた。


「わ、私はAランクの冒険者ですよ? 私ならどんな敵からでもセリーナ殿をお守りすることが出来ますよ! それにAランクなので貯金も沢山ありますよ!」


「えっと……御主人様もお強いですし、お金も沢山持っていると思いますので……」


「……ほぉ」


 しつこく食い下がる男にセリーナが反論したら何故か意識が俺に向いてしまった。


「それほど強そうには思えなかったから無視していたが、言われてみれば確かにふてぶてしい面構えをしているな。自分が世界で1番強いとでも思っていそうな顔だ」


「おや。バレてしまったな」


 先日ギルドマスターに言われてその気になった――というわけでもないが、そう見えるとしたらそうなんだろう。こいつの中では。


「ふっ、青いな。世の中には上には上がいる。少なくとも私は私よりも強い者を5人は知っているぞ」


「……だから?」


「世界の広さというものを教えてやろう」


 そう言って騎士モドキはスラリと剣を引き抜いた。


「ふむ」


 喧嘩を買ってやる義理はないが、丁度良いのでAランク冒険者の実力とやらを拝ませてもらうとするか。


 ひょっとしたら俺の認識を書き換えてくれるかもしれないし。






「ぐふぅっ!」


「……なんてことはありませんでした」


 意気揚々と俺に胸を貸してやるみたいな態度だったくせに、この青年――既に名前なんだった思い出せない馬鹿はあっさりと地面に沈んだ。


「弱いなぁ、弱い。十二分に手加減しても手応えすら感じられないくらい弱い」


「ば、馬鹿なぁ!」


 いや。最初は俺も【魔戦輪リング・スラッシャー】で対応しようと思うくらいは本気でやろうと思ったのだが、奴が攻めの態勢ではなく待ちの態勢に入ったので魔力の塊で殴打する戦法に切り替えたのだ。


 そうしたら笑えるくらい簡単に沈んでしまった。


「おいおい。お前より強い奴が5人はいるとか言っていたが、本当に5人だけか? お前より強い奴が何百人もいると言われた方が俺にはしっくりくるんだがな」


「ぐぎぎぎ……!」


 地面に倒れた馬鹿は歯ぎしりをして悔しがっているが、既に自力で立ち上がれるような力は残っていないらしい。


「この分じゃ[栄光の御手]とかいうクランも雑魚の集まりに思えてきたな」


「き、貴様ぁっ! その台詞、後悔することになるぞ!」


「……お前が恥を晒しているんだろうが」


「ぬぐぅっ!」


 俺は[栄光の御手]について、こいつしか情報源がないのだから、こいつの行動によって[栄光の御手]の評価が下されるのは当たり前の話だ。


 それが嫌なら無様な真似は控えるか、態々クラン自慢などしないことだ。


「さて。家に入るか」


「は、はい♪」


 俺がセリーナの腰に手を回して抱き寄せるとすぐさま嬉しそうに返事をして抱き付いてきた。


 そうして家に入った瞬間……。


「御主人様ぁ♡」


 思いっきり誘惑してきた。


 どうやらAランク冒険者に勝ったことでセリーナの雌の本能に火が点いてしまったらしい。


 今日も俺がイセリアを出迎えることが出来たのは夜になってからだった。




 ◇◇◇




 昨日の騒動などすっかり忘れてセリーナとイチャラブに過ごした翌朝。


 イセリアが学院に向かうのを見送って、今回もセリーナをデートに誘って家を出た瞬間――数人の人間に囲まれることになった。


「静かにしてもらおうか。私たちは[栄光の……ごはぁっ!」


「邪魔」


 折角のデートに水を差されて俺は問答無用で魔力の塊でぶっ飛ばしていた。


「た、隊ちょ……おげぇっ!」


「ふぎゃっ!」


「ごふぅっ!」


 更に他の数人も適当にぶっ飛ばしておく。


「な、なんだったのでしょうか?」


「さぁ? 栄光の……とか言ってたし昨日の奴の関係者なんじゃないか?」


 どの道、今日はセリーナとのデートが最優先なので構っている暇はない。






 そもそもの話、どうしてセリーナがあの男に絡まれることになったのかだが……。


「最初は助けて頂いたのです。買い物の途中でガラの悪い人に絡まれているところを助けてもらって、その時はお礼を言って別れたのですが……それから何度も声を掛けられるようになって、何度もお断りしていたのですが諦めてくれなくて」


「うわぁ~。ミイラ取りがミイラになった口か」


 ゲンナリする話だが、それはそれとしてセリーナに専属の護衛を付けておいた方が良いかもしれない。


 勿論、凄腕の女冒険者とかが理想だ。


 後で王都の冒険者ギルドに寄って依頼を出しておこうかな。


「まぁ、セリーナは美人だからな」


「ありがとうございます♪」


 俺がセリーナを褒めるとセリーナは嬉しそうに笑って俺の腕に自分の腕を絡めてきた。


「でも、多分あの人は私にイセリアちゃんという娘がいることや、以前に結婚していた事実を知ったら去っていくタイプの人だと思います」


「……甲斐性なさそうだったしなぁ」


 セリーナはエルフなので見た目は二十歳くらいにしか見えないし、人間の目線から見れば清楚な雰囲気と取られても仕方ない部分もある。


 俺も当事者でなければ昨夜も俺に跨って夢中で腰を振っていた女とは分からなかっただろうし。






 それから夕方近くまで街の中を回ってセリーナを家に送っていった。


 セリーナは別れを惜しんでなかなか離してくれなかったが、最後に情熱的なキスをして家の中に入っていった。


(さて、帰るか)


 そうしてセリーナと別れた俺は人目のないところで転移魔法を使おうと適当に歩き回って……。


《接近警報! 上……【意識加速魔法アクセラレーション】を自動発動します!》


「っ!」


 人目がなくなったと思ったところで久しぶりにコンの警告が発せられて、上から襲ってきた攻撃をギリギリで回避する。


 続いて振るわれた横凪ぎの斬撃を半歩後ろにずれることで回避し、更に連撃で放たれた足払いを片足を上げて回避し、最後に放たれた拳撃を後ろに飛んで回避した。


(危ねぇっ!)


意識加速魔法アクセラレーション】で思考速度が2倍になっていても速く感じるほどの攻撃を全て回避出来たのは運の要素が多大に含まれていた。


 襲撃者から一旦距離が取れたので自動発動していた【意識加速魔法アクセラレーション】を解除しつつ、次の準備を進めていく。


 正直、【意識加速魔法アクセラレーション】は時間が遅く感じるような凄い魔法なのだが、肉体の負担を無視して動けてしまうので既に手足に痛みが走っていた。


「へぇ。今のを完璧に避けるなんて……これなら確かにフランデルスでは相手にならないわけだ」


 感心したように頷く襲撃者は20代半場と思わしき年齢の身軽そうな革製の装備を身に着けた優男と表現しても良いくらいの穏やかな目をしたイケメンだった。


 身長は俺と同程度だが、装備を身に着けていても分かるくらいに細身だがしなやかで無駄のない筋肉を持っていると思う。


 そして手に持っているのは切れ味の良さそうな片手剣。


「何故、自分が襲われるのか心当たりがないって顔だね」


「実際ないからな」


「……フランデルスの名前に聞き覚えは?」


「誰だ、そりゃ?」


「ふふ。フランデルスの顔と名前なんて君には覚える価値もないってわけだね」


「ふむ?」


 準備が出来たことで少しだけ余裕が出来たので、ちょっと考えてみた。


「ああ。ひょっとして昨日絡んできた馬鹿の名前か? 栄光のなんちゃらとかいう集団に所属しているとか言っていたが……弱過ぎて全く印象に残っていないが」


 正直、その後のセリーナとの行為が印象的過ぎて本気で覚えていない。


 今朝、囲んできた奴らも【栄光の……】までしか言えてなかったし。


「フランデルスが馬鹿だということは否定しない。[栄光の御手]に名前を出した上で無様に負けたのだから擁護出来る要素もない。でも王都で1番のクランとしちゃ負けたまま……君に[栄光の御手]が雑魚の集団だと思われたままというのは困るんだよ」


「面子を気にするなんて貴族みたいなことをするな」


「僕自身もくだらないと思うけど、周囲の評判というのは案外馬鹿に出来ないんだよ。名声が落ちるのは僕達のクランにとっては大打撃だ。だから君が僕に手も足も出せずに敗北したという事実だけが欲しかったのだけど……」


「次に攻撃してきたら反撃するぞ。最低でも手足の1本は失くす程度の覚悟がないなら逃げ帰ることだ」


「……怖いね。冗談には聞こえないよ」


 本気で言っているからな。


「でも僕としても子供使いじゃないんだ。次は……本気で行くよ!」


 そいつは片手剣を構えると地面を砕く轟音を立てて踏み込み、超速で突っ込んできた。


《【意識加速魔法アクセラレーション】を最大値の5倍で発動します》


 だが同時に俺は周囲の時間が止まると錯覚する程に思考速度を加速させた。


意識加速魔法アクセラレーション】は時空魔法の中で切り札と呼べる程の凄い魔法だが、思考の加速に俺自身の肉体が耐え切れないのが玉に瑕だ。


 2倍でもきついのに5倍ともなれば少し動こうとしただけで俺の肉体がバラバラになるような危険が付きまとう。


 ぶっちゃけ視線を動かすことにすら気を払わなければいけない危険な魔法だ。


 眼球を高速で動かしすぎて目玉が飛び出しました――とか洒落にならない。


 つまり思考速度が5倍になって敵の動きを完全に見切れるようになったが、俺自身は動けないので何の意味があって魔法を発動させたのかと言えば……。


《マスター、敵が射程内に入りました。【魔戦輪リング・スラッシャー】を自衛モードで発動します》


 俺自身が加速した状態に耐え切れなくてもコンとコンが操る【魔戦輪リング・スラッシャー】は別なのだ。


 時間が止まったような加速した世界の中で平然と動き出し、そして突き出された片手剣を平然と輪切りにして――宣言通り襲撃者の右腕を肘から切り落とした。






「っ!」


 時間の感覚が戻ると同時に襲撃者は全力で後退しつつ、血が噴き出る右腕を左手で抑えて驚愕の表情を浮かべていた。


「まさか……これ程とはね。正直、何をされたのか全く認識出来なかったよ。気付いたら剣がバラバラになっていて……僕の右腕が切り落とされていた」


「苦しませずに首を刈った方が慈悲深かったか?」


「……手加減されたのは僕の方みたいだね」


「王都の中で殺すと少しだけ面倒だと思ったことも原因の1つだがな」


「まいったね。これは……勝てない」


 実際、俺の手足は最初の攻防で筋肉痛になって引きつっていたが、まだまだ余裕だということも事実だった。


 俺の魔法は魔力を消費しないので何回でも使えるし、もう1回【意識加速魔法アクセラレーション】を使って首を刈るのも余裕だろう。


「ふぅ~む、少しだけ思い出してきたぞ。あいつは自分よりも強い奴が5人はいると言っていた。お前がその1人だと仮定すると……お前より強いのが後4人いるのかな?」


「ははっ。それは流石に僕達を買い被りすぎだよ。自慢じゃないが僕は君の言う5人の中で1番強いと自負しているからね」


「俺は5人全員を同時に相手にしても構わなかったが?」


「……今だと皆殺しにされる光景しか想像出来ないから怖いね」


 実際5人で襲ってきたら間違いなく皆殺しだったけどな。


「降参だ。今後一切、君と君の関係者には手を出さないと誓うよ」


「ふむ」


 案外潔い襲撃者に少しだけ思いついたことがある。


「一応聞いておくが、その右腕……治す当てはあるのか?」


「義手を手配することは可能だけど、流石に切られた腕を治す当てはないね」


「それなら1つ提案があるんだが……」


 丁度良いので【収納魔法アイテムボックス】に入っている余りのエリクシルを対価にセリーナの護衛を頼もうと思う。


 これを使えば切り落とされて数分の腕くらいなら簡単にくっ付けられるだろうから、腕の良い護衛を手配してくれるだろう。


 王都で1番のクランという話だし。


 勿論、護衛するのは女性の冒険者に限るけどな。


「これ……オークションに出したら白金貨400枚は出す奴がいるって分かっている?」


 そして実はセリーナの知っていた相場が間違えていたことを、この時初めて知ることになった。


 白金貨130枚とかいつの情報だったんだか。




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