Calling25 情報
――ピピッ、ガシャン
扉が閉まる。んで私らを迎えたのは青ざめた顔の研究員。
「さ、先程Lの暴走を検知しました……特務官殿、お怪我は」
「私は大丈夫です。Kがいましたから」
「ホッ、どうなる事かと思いました。Kさん、ありがとうござい……」
「それ以上口を開くなクズが」
コイツらの言いたい事には大体察しがつくし、もう聞きたくない。不愉快極まる。
「あ、あの……」
「黙れってんだろうが!!」
――ドゴンッ!
「ひ、ひぃいい」
「いいか? 私から何か聞く以外で私に口を開くなよ。他の連中にも言っとけ、次は壁じゃなく顔が吹き飛ぶぞ?」
「は、はいいい」
ふん、腰抜けが。
とりあえずエレベーターまで向かう。
――
「なぁ特務官さんよ。探りは入れられるか」
エレベーター内で特務官に聞く。だがコイツの事だから……
「もう情報はありますよ。Lの経歴、薬の正体、その他諸々ですが世に出せば間違いなく批判の的でしょう」
「そうか」
やっぱりそうだ。もう持ってやがった。
「なぁ、お前は私をLに会わせたよな? その情報を知らせずに……」
「貴女なら情報よりも直接確かめた方が良いと思いまして。どちらにせよLがあの状態になるのは時間の問題だった筈です」
「ほう」
特務官の情報によればLは確かに他の個体とは違って私に近かったが、そもそも「私を超える」為に必要としていたのは「薬」の方でその「薬」に適合したのがLらしい。
その上で身体を弄くり回し、切っては縫って取り付けてを繰り返した様だ。
そしてそれに反抗させないようにするのが「薬」の作用の一つ故にLは言いなりになっていた。
更に言えば私との接触によりLが意識していないところで本能が少しばかり出たのも事実らしい。あの頭痛の時の事だろう。
「他にも情報はありますがとにかくLは明らかに……」
「言うなよ。幾らお前でもそれ以上は言ってほしくない」
「はい」
確かにLは哀れに見える。
かわいそうに見える。
悲劇のヒロインに見える。
だが、それを人間に言ってほしくはない。人間の基準でそれを言わせれば化物としてのLに失礼だ。
私だってLを哀れとは思う。だがやはり奴は化物だ。私と同じ土俵に立てる化物の筈なんだ。だから哀れみで語りたくはない。
……だから。
「Lは戦いの中で目覚めさせる。奴の中に眠る本当の化物を。本能を、な」
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