Calling15 遭遇
「んじゃあなー、色々ありがとよカイト」
『はーい! また連絡下さい!』
よし、カイトは元気だ。話を聞く限りヴェインは今ドクトルのところで入院中らしいがそろそろ復帰だそうで。
あの蹴りが少々強く入り過ぎたんだろうな。
「ヴェインは入院、私は
ま、研究所の連中は私を悪く扱う事もないだろう。勝手に連れてきやがったんだ、使い倒してLとの戦いに備えてやる。
「あー、今日はもう休憩! 寝よ寝よ……っとその前に屋上でビールでものむかァ」
冷蔵庫からビール取ってそのまま通路、そっからエレベーター。
私がすれ違うか遠巻きに見てる奴らなんか今にも平伏しそうな勢いなんだから笑えるぜ。
まぁここを支配するつもりは全く無いがな。
「ふん。Lと戦えりゃそれで満足なんだよ」
ちぃっとばかし呟いてエレベーターを待つ。階段で行ってもいいんだがな、今日は面倒くさいからこれだ。
――ポーン
きたきた、んじゃ早速……っておいこりゃなんの偶然だ?
眼の前は鏡じゃねえよな?
「貴女は……」
「お前、Lか」
はー、こんなところでばったりとはなぁ。変なこともあるもんだ。よく分からん空気のままエレベーター乗って二人して屋上へ。
酒が美味くなるか不味くなるか……
「はぁ、今の今か。ほれお前も飲めよ」
Lにヒョイと缶を投げてよこしてやる。私を超えるとか言ってて私と似てんだ、酒の一つ二つイケる口だろ。
「アルコールの摂取は身体へあまり良い影響とは思えませんが美味であるのは事実。受け取ります」
「ごハッ! 私の姿でそんな堅っ苦しい物の言い方はやめてくれよ……」
「……」
「だんまりかい。まぁ何でもいいや、とりあえず乾杯」
「乾杯」
うーん、堅いぞコイツ。変な気分だ、鏡に自分が写ってんのにそれが自分とは違う動きしてるんだぞ。……だが面白いな、これはこれで。
月光に照らされたあまり明るくない屋上で私と
「……あん時はセコい真似しやがって。真っ正面からかかってくりゃいいのによ」
「私はただ任務内容の変更に従っただけ」
「はー真面目だねぇ。上官なんぞ適当にあしらっときゃいいのによ」
「私はこの研究所にデータを提供しなくてはならない。それだけのこと」
「データ……ねぇ」
「貴女が完全に回復し次第私は貴女と戦う事になる。その時は……」
「言うなよ、全力出すさ」
「では、私はこれで」
「ああ」
なーんか事務的だな。私とは逆とでも言うべきか。あ、そうだ。
「おい、お前は成功作なんだろ? この研究所の言う失敗作の事は知ってるか? 知ってるとしたらどう思っ……」
――ヒュン!
「! あぶねぇ、ゴミ箱そっちだぞ」
「それ以上言うな……」
「そうかい。すまなかったな」
アイツ、ちゃんと持ってるみてぇだ。
自覚してるかは怪しいがな。
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