化物少女K -Struggle For Instinct-

物書未満

Prologue Kからのビデオレター

 はい、どーも。化物のKでーす。


 動画配信の真似みたいな事してるがこんなんで問題ねぇか。


 あー、今回の「MISSION」の記録だがこいつは前のMISSION、

「化物少女K -In The Wonderland-」の記録を見てないとよく分からんって可能性がある。

 まぁそれを見てからが一番いいんだが、あの記録は割と長くてなぁ。面倒くさいかもしれんから掻い摘んでまとめとく。


 記録鑑賞を楽しみたいって言うならこの先は見ない方がいいだろうな。ネタバレ注意って奴だ。


一応、更に前のMISSION、

「化物少女K -Lazy Swift Sweeper-」と、

更に更に前のMISSION、

「化物少女K -Mission of Zero-」ってのもあるんだが、それはまぁ軽くまとめられるんで見なくても大丈夫だ。短いしな。

 後、この記録は横書きだ。縦に読むと変な感じになるぞ。



 私はK、とある組織唯一の生体兵器成功作だ。少女の見た目してるがれっきとした化物。人間じゃないぜ。頭に生えてる獣耳がいい証拠さ。

 私らの組織もそうだが世界各地で生体兵器を作ってる奴らは多い。それこそ戦争に使われたりしてる。が、私程の成功作はどこも作れてないんだよな。


 組織の言うことは聞いてやってる。まぁ人間の頼むことなんてたかが知れてるけど。

 一回組織に私は消されかけたんだが、そういうの大ッ嫌いなんで後で「プレゼント」渡したら組織は実質私のご機嫌伺い状態になった。メンツの問題でもあるのかへーコラはしてこねぇがな。ていうかへーコラされたら気持ち悪い。


 ある街で失敗作が溢れた時なんか私が駆り出されて、尻拭いさせられた。ちゃんと管理しろよ……ビールと肴とチョコレートで手打ちにしてやったがな。ビール大好き。

 なんで私が組織から離れないかって? そりゃ「言えば何でも出してくれる」からだ。一回消そうとしやがったんだ、使い倒してやる。


 戦いはやっぱり体術が好きだ。銃火器もいいが体術だと仕留めた感がしっくりくるんでな。失敗作の頭を蹴り砕くのはまあまあ爽快。

 人間はどうかって? 安心しろ、弱すぎて殺す気にもならん。


 無線のお友達も居てなぁ。毎回毎回いらないって言ってるのについてきやがる。……信用してない訳じゃないが。

「オペレーター」は一番のお友達。オペレーターとしての腕は変態と言っていい。しかもあの女、「面白い」の基準がぶっ飛んでやがるし趣味も悪い。街でのMISSIONの時なんか組織の全モニターに失敗作のスプラッター動画流しやがった。

 ……演出したのは私だけど。

 でもまぁ、人間としては一番化物の事を分かってる奴だ。


「ドクトル」こいつは私の戦闘服バトルスーツの開発やらなんやらしてる。毎回窮屈な戦闘服作りやがって。高性能な分、余計に腹が立つ。


「デベロッパー」は武器とか何かしらの装置を作っては私に試作品のテストを頼んでくる。腕は確かだがな。



 さて、これから前のMISSION、

「化物少女K -In The Wonderland-」についてまとめてく。

 あのMISSIONで、私は爆発事故に巻き込まれてな。気がついたら、まぁびっくり「剣と魔法の異世界」に飛んでたんだ。

 ま、暇潰しにその手のゲームやってたんで大きな違和感も無く歩き始めたんだがな。

 そーするとオーガに襲われてるこりゃまた可愛い男の娘、ショタってのを見つけてソッコーで助けてやったらすぐに懐いた。ああ、ヤベぇヤベぇ。

 んで、そいつに案内と身元保証人になって貰った。ああ、名前は「カイト」っていうんだが、まぁ可愛いんだなぁ……

 そっからカイトのいる街のギルドなる組織で試験受けてAランク冒険者として登録、異世界ライフは始まった訳だ。

 試験の時にちょっとばかし雰囲気の違う大剣士が居たんだが、なかなかソイツとはいい試合が出来たんで嬉しかったよ。

 試験で最優秀だった私はギルドから裏依頼を受けるんだがその依頼が妙なモンで、試験の時の例の大剣士「ヴェイン」も誘ったらソイツも同じ依頼を受けてたんでパーティに加わって貰った。

 まー、あん時は危ない雰囲気の店で顔合わせしたんでカイトが気絶しちまった。可哀想な事したぜ……

 で、受けた依頼ってのは「正体不明の怪物を倒せ」とかいうよくありげな奴で、カイトとヴェイン、私の三人で用意してそいつが出る森でキャンプしつつ罠張って待ってたらいい具合に釣れた。

 いやーあの時はなかなかいい連携とれた。


 で、こっから話が変になる。仕留めた怪物は「私の世界の失敗作」だったんだよ。変だろ? なんで異世界に? なんて考えちまった。偶然にしたって余りに同一過ぎたんでな。

 そっから暫く私は異世界ライフしつつ情報収集、すると何だ? この世界はどうやら「作り物の電子世界」だって事が分かり始めた。あの時は驚いたね、私もほぼ完全に騙されてたんだから。

 外側とこの世界を繋げるのは「魔石版」っていう便利グッズを叩き割ったら出てきたタブレット端末だ。っていうかこの端末はいわゆるゲームのコンソールだった訳。詰めが甘いな、開発者よ。

 んで、タブレット端末に無線リンクさせて「オペレーター」に繋ぎ、色々と外の情報を得る。最初にカイトとヴェインに聞かせた時には心底驚いてたよ。なんせ二人は記憶をマスクされてこの世界に入ったから実感ない訳だ。

 戻る事には戻れるって事はオペレーターから聞けたんだが、記憶が問題でな。二人はこのゲーム作った施設のおもちゃ、要は実験材料にされてて、カイトに至っては戻れば精神が即死するかもしれん程だった。

 伝えるか否か迷って遠回しに聞いてたらカイトに泣きながら怒られてなぁ。全部話して、絶対迎えに行くって約束したらカイトの奴すっかり明るくなって、ヴェインもカイトの元気さに触発されてたよ。

 それから私はログアウト、施設内を高速移動、カイトとヴェインを連れ出して、なんとか組織のヘリに二人を回収して貰った後、デベロッパー特製の強襲用装備を装着、施設まで戻って瓦礫の山と火の海を作ってやった。ヘリも十数機は墜としたぜ。

 最後はシェルターに隠れてた施設の幹部連中を拷問の末に惨殺したところで私は倒れちまった。なっさけねぇよな。

 で、一週間くらい回復カプセルに入れられて昏睡から復活した私はカイト、ヴェインと再開。オペレーターから事の終わりらへんを聞いた後、オペレーターがあのゲームを改造、改良して作った「THE WONDERLAND」ってゲームをテストプレイ。

 正式サービス開始後の今もちょくちょく遊んでる。

 それにしてもカイトが私の為に「KATE」ってIDをくれたのは嬉しかったなぁ。






 さて、過去の話は終わり。


 と、言うわけで……






――それではこの記録か、それとも前の記録か、そこでまた会おう。

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