トルコ青釉

作者 如月ふあ

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★★★ Excellent!!!

わたし自身は陶芸にも珈琲にも造詣は深くはないのですけれども、それぞれの描写にとても惹かれました。
人間のココロがどういう時に緊張しどうすれば弛緩して潤いを得ることができるのか、という深い部分まで表現された描写だと思います。
本当にコーヒーを味わうような短編だと思います。
お勧めいたします。

★★★ Excellent!!!

陶芸教室で作った作品の色が何故か色見本通りになりません。
どうして!?

そんな出来事をきっかけに、主人公と古民家カフェのマスターのおしゃべりが始まります。

陶芸関係の描写が秀逸です!
これは陶芸をやったことがある人でないと書けないと思います。
まるで自分が主人公になって今まさに陶器を焼いている、そんな気分になりました。

★★★ Excellent!!!

謎の陶器の一片から事件は始まる。
トルコ青釉を掛けたはずの陶器は、焼きあがってみれば色見本にあるマットの青とは似ても似つかぬテカテカとした緑色。
素地の陶土も釉薬の厚みも、窯の温度も全部見本と同じようにしているのに――なぜ違う色が?
懊悩しきりの 望月 宙(もちづき そら)は古民家カフェ「櫻」に向かう。
気分を変えようと思ったのだが、そこにはこの謎に対する意外な答えがあった。

陶芸は素人ながらも、楽しく読ませていただきました。
専門用語は分かりやすく、語り口もとても優しいです。

特に、《──不思議なものは不思議なままで。》という一文が胸に残りました。
謎を解き明かしたいという探求心を優しくなだめるようなマスターの雰囲気がとても好きです。
また、宙の嘘偽りのない真実を追い求める姿勢も真っ直ぐで好ましかったです。
そしてこの相反する主義を持つ二人が、仲良く笑い合ってる姿にじんと胸が熱くなりました。
そうなんですよね、自分と違う考えを持つ人間でも親しくなれる。
そんな当たり前だけど忘れがちな事実を、このお話は思い出させてくれました。本当に読めてよかったです。
作者の如月ふあさん、ありがとうございました。

★★★ Excellent!!!

神秘や謎というものは、得てして自分自身のなかに己で作り上げてしまうものである。名探偵ではないけれど、そんな小さな謎に向き合う物語。

知らなきゃよかったことにあなたはどう向き合いますか?

ポップでリズミカルな描写に作者さまのセンスが光ります。
どうぞコーヒーをお手元に。

★★★ Excellent!!!

 シンディ・ローパー氏の歌に『トゥルーカラーズ』がある。曲の題名は真の魅力や真の個性といった意味で、落ち込む人間を勇気づける歌詞で大ヒットした。
 本作は悩める陶芸家が自分の憧れる特別に美しい色をなかなか再現できずに苦悩するところから始まる。その展開は色彩ミステリーともいうべき内容で、かの陽変天目まで登場する。ちなみに陽変天目はいまだに完全には再現できない。
 そうした本筋に寄り添うように、主人公のいきさつも打ち明けられる。色彩の追及に個性の追及が重なる手腕は見事の一言だ。
 果たして主人公の志はどんな結末を迎えるのか。
 詳細本作。

★★★ Excellent!!!

 主人公は一人、陶芸教室の机の上で悶々としていた。思った通りの青色が出ないからだ。色見本には、ちゃんと従って釉をのせているのに、何故?
 悶々としたまま、主人公は「古民家カフェ・櫻」に向かう。コーヒーを飲みながら、店主と共に謎解きだ。宇宙の神秘にも似た陶芸の世界。だから店主いわく「謎は謎のまま」であるほうが望ましいのだという。しかし主人公は納得いかない。
 釉薬の手触り、粘度、色見本の番号、釉薬。
 思い返しながら考える主人公は、ふとしたきっかけで答えにたどり着く。
 果たして、色見本通りに色が出なかった理由とは?

 陶芸に触れたのは高校時代が最後だったので、とても懐かしく拝読させていただきました。作者様は様々な質の高い作品で知られていますが、今作も知識の幅の広さが際立っています。陶芸の窯にも、釉薬にも、そんなに種類があるのだと驚きました。そして、「謎解き」のふとしたきっかけで解ける瞬間など、情景が豊かで、目に浮かぶようでした。

 是非、御一読下さい。