お化けなんて、いませんYO?

ぐぁんQ

第1話 提 案




「肝試し、やりません?」


 私は思いきってそう提案した。初めての子供会の役員会議。一瞬場が静まり返る。


「え? ハロウィンに?」


 会長が代表して私に聞き返してきた。


 毎年ハロウィンは、仮装して町内を練り歩き、参加者の家からお菓子を集めてまわる。最後に自治会館で、集めたお菓子を皆でキャッキャッしながら食べるという、どちらかというと仮装を楽しむイベントである。


 まあ、普通はそうだYOね?


 でもそれだけだと、上級生はつまらない。男の子は仮装するのも恥ずかしい年頃になり、お菓子では釣られなくなってきた。昨今の子供たちは、習い事が多くて忙しいのもあり……何年も前から、巷ではハロウィンが異様に盛り上がっているのにも関わらず、この町内では参加者が少なくなっている。


 せっかくだから、楽しんでほしい。何か別の行事をねじ込んで、もっと賑やかにしたい。そう思ったのだ。



「ハロウィンに、肝試し……」


 みんな、くじ引きで当たった役員だ。母子家庭だったり、介護があったり、フルタイム勤務のママもいる。おそらく、余計なことはやりたくない、という気持ちなのではないか。準備で時間がかかるから。とにかくその顔には、手放して賛成という表情は浮かんでいない。


「準備は全部私がやるから」


 いつもは真っ先に面倒から逃げる私が、珍しく食い下がった。


 うちの子は、もうすぐ上級生だ。体躯は大きいが、気が弱い。いじめられ体質というか、ウドの大木というか……。心根は優しいと思うのだが、どうにもトロくて、臆病で、周りから馬鹿にされるタイプである。


 そして可哀想に、見た目は「魔太郎」そのものだ。


 下に弟が居るのだから、ちょっとしっかりして欲しい、と思う今日この頃。


 この上の息子のために、私は肝試しをやりたくなったのだ。



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