AM11:48

『諸君、今ノ二匹ハ時間ヲ軽ンジタノデす』


 レムが何やら演説っぽい口調で悪魔達に語り掛け始める。


『彼ラハ0,5秒ト0,07ヲ軽ンじ、0,5秒ト0,07ニ泣イタガ故に、亜空間ノ藻屑ト化ス運命ヲ辿ッた。悲シイ事デす』


 自分で殺しておいて悲しいとか言っちゃってるぞこいつ。何だろう、独裁者が自分の主張を正当化する為に話題をすり替えてる感じがするな。


『デスが、彼ラノ魂ハ私達ノ胸ニ生キテイマす。私達ハ彼ラノ為ニも、必死ニ今ヲ生キナケレバナラナイノデす!』


 死にたくなけりゃ死ぬ気で働け、ですね。分かりますよ、はい。


 かりんとうとラムネを餌に死ぬまで労働を強いるんですって。とんでもないブラック企業もあったもんだぜ……。


 ある意味ではとても悪魔的な話だとは思うが……どうにも今朝の俺とダブるな。俺が遅刻になったのも0,数秒レベルの誤差だったはずだし。


 やべぇ、思い出したらちょっと腹立ってきた。悪魔達こいつらの為にも俺は、今ここでレムこのバカをぷちっと潰してやるべきじゃないか?


『ん? 何故私ノ体ヲ握リシメテイルノデスか? アナタは』

「あ、いや、何でもない。すまん」


 俺は無意識に捕えていたレムの体を離してやった。


 危ねぇ危ねぇ、一時の感情に流されてうっかり人殺しになるところだったぜ……いや、こいつは悪魔だから人殺しとは呼ば以下略。


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