　校門でのいざこざを終えた俺達は、２年５組へと急いでいた。

　この時間はどのクラスもホームルーム中のはず。静まり返った廊下を走り抜ける……のは何となく気まずいので、お互いに早歩きだ。

（……見たところ、おかしなとこはないな）

　と言っても、あくまでここから見える風景に限った話。

　ホームルームで閉め切られている教室の中は、果たして俺の思うホームルーム風景と同じかどうか、まったく自信が持てない。

　そしてそれは、今から俺達が向かう２年５組も同じ事。２年生の中じゃ、比較的大人しい生徒が多いクラスだとされているらしいが……それがかえって不安をあおる。

（クラスメイトの一部がデーモン化してる、とかそれくらいの事は想定しておかないとダメだろうな……）

　となると、誰がデーモン化しそうだろうか。男子だと小幡とか高梨とかだとなんかサマになりそうだな。女子だと相羽さんとか柳田さんとか……いや、意表をついて名雲さんとか津島さんとかもありそうか？

　けど、もしも津島さんがデーモン化したらなんかすげぇエロい感じになりそう……って、俺は何のシミュレーションをしてるんだ。もっと真面目に

「あ、三崎君に風花さん」

　と、少し先に見えていた２年５組の教室の後ろのドアがガラガラと開き、一人の女子生徒が出てきた。

「あ、つっしーだ。おはよ～」

　津島さん、降臨。……なんか気まずい。

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