第125話 ゆるく優しく。

私は高校が途中から定時制に変わったということもあり、日中はアルバイトとしていました。


なので、一緒に働くのは必然的に主婦の方々でした。


自分で言うのもなんですが、

有難いことに私は年上の女の人から、

めちゃくちゃ可愛がってもらっていました。

だから、アルバイトは本当に恵まれていました。


夜のドライブに連れて行ってもらったり、

休みの日はお家でご飯を振舞ってもらったり。


他のアルバイトへ行っても、

同じ様に主婦の方にとても良くしてもらって

感謝しかありませんでした。


正直、家で楽しいという思いがあまり無かったので

本当にそれは有難いことでした。

(家のだれが悪いとかではなく、みんな余裕が無かったのです)


よく「一人っ子だった?」「末っ子?」とか

「大事に育てられてきたんだろうね」なんて

言われる事が、多かったのですが…

実はそれが1番嬉しい褒め言葉でもありました。


育ちだけはどうにもならず、

私のあちらこちらにそれこそ綻びのように

家庭環境が見えていたら

嫌だなぁと思っていたのです。


1番のコンプレックスは今でも

そこかもしれません。


とはいえ、いつまでそんな事言っているんだ!

という感じですよね。


なので、ここだけの秘密です(笑)


でも、コンプレックスも年齢と共に

結構軽くなってくる気がしています。


たまに痛むけれど、

まぁ、慣れたよね〜みたいに。


私は脳内が恋愛お花畑だったおかげで、

家庭内の事を直視することから

逃げることが出来たのかもしれません。


時として、逃げることは悪いことではないなぁと

思います。


そんな私でも清く正しく生きたかった。

何の為にそう思っていたのでしょうか?

今思うと分かりません。


ゆるく優しくの方が断然いいのに。


10代の頃の私にも教えてあげたい気分です。


って、ただ歳をとっただけかな(笑)






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