第56話 転校の話。

私は小学4年生の時に、

引越しのため転校をしました。


その転校前の学校があまりに居心地良すぎて、その後の大打撃ったらひどかったです。


綺麗な空気や景色のところから、

汚れたコンクリートジャングルに来たくらいの衝撃でした。


ちなみに、今回は転校前の楽園の様な小学校のお話。

かなり私に都合よく美化されている部分があるかもしれませんが。


その小学校では、

私はクラスの会長というものをしていました。

学級委員の事なのですが、

その学校では会長1人副会長2人でした。

(1人は書記だったかも…記憶が怪しいですが)


それは選挙にて決めます。

「私に清き1票をお願いします」

と朝からタスキをかけてやっていました。

(学級委員なのに、まるで生徒会の選挙の様)


そして、何故か会長になれた私。


多分、私は嫉妬されるタイプでもなかったので、ちょうど良かったのだと思います。


そして、そのクラスでは

帰りの会の度に、

「〇〇くんが叩いてきます!」

「〇〇くんが嫌なことをします」

と、ある男子をみんな嫌がっていました。

今の言葉で言えば、ウザがっていた感じでしょうか。


その男子に関して、

何故か私は先生に出す日記などに

「〇〇くんはさみしいだけ。みんなに構って欲しいのだと思います」

みたいな事を書いていました。


他にもそういった類いの事を書いていたからか、担任のK先生(女性)はある日学校帰りに私を車に乗せて〇〇くんの家の近くで止めました。


そこで見たものは、

その〇〇くんが野球の自主練を一生懸命している姿。厳しいお父さんもいたっけなぁ。

クラスでやんちゃな彼だけど

こんなに怒られながらも野球をすごく頑張っているんだよ、みたいな事をK先生は私に教えてくれました。


そして、その後でチョコレートパフェを食べさせてくれた記憶があります。


〇〇くんを庇い続けていた私に、

本当の〇〇くんを見せてくれたという感じで、これからも味方でいてあげてねって事だったのでしょう。…多分。


それとも、本当は私が寂しい子供だと

気づいていたのかな。

今まで〇〇くんをわかってあげてという意味だと思っていましたが、

ひょっとしたら私の事を心配していたとか!?と最近思う様になりました。


その頃の私は家の中では空気の様でした。


父は出稼ぎに出ていたので常にいないし、

母は幼い妹の世話で疲れていたし、

姉は思春期真っ盛りで家にいないし。


家だと、よくいるのかいないのか分からないと私は言われていました。

その分、母は私なら変な事はしないから大丈夫と信頼はしてくれていた様ですが。


だからこそ、

小学校での私は空気ではなく、

輝いていたかったのだと思います。

優しい私でいる限り、そういられる様な気がしていたのかもしれません。

勿論、今となって思う事ですが。


自分で言うのも何ですが、

私が転校する最後の日は

クラスの大半が泣いていて、

劇的に送り出してくれました。

(えっ?転校ってみんなこんな感じ?)


「たんぽぽ」という

その時K先生が好きであっただろう歌を

みんなで歌い、さよならをしました。


どんな花よりたんぽーぽの花をあなたに

贈りましょう♪

というサビの歌です。


私は先生からカセットをもらったので、

転校後もよく聴いていました。


このK先生は今でも私にとって

忘れられない恩師です。


転校後も、

クラス全員が一人づつ

私への手紙を書いたものを

送ってくれました。

(多分授業でそういう時間を作ってくれたのでしょう)


その学校での思い出は色々あります。


ポップコーン大会。

ある目標達成したご褒美で、

ポップコーンを作る会をしました。

買い出しも担任のK先生と少数の生徒で行き、教室でポンポン弾けるポップコーンを

作って食べる会。


そして、おやつを食べながらのお楽しみ大会。

各班催し物を考えて練習して発表し、

それをお菓子を食べながら鑑賞する楽しい会でした。各学期の最後には毎度ありました。

(ひょっとして食い意地で思い出が美化されてる!?)


私が転校後には、

「やきいも大会」もあったらしく

私への手紙はみんなその話題でもちきりでした。


そんな温かく優しい思い出の4年生時代。

たった1学期しかいないクラスだったのに

今でもとっても大切な思い出です。



その後の、転校後の学校は

特に何が嫌とかではなくて

ただただ前の学校が恋しくて

ホームシックでした。


6年生の卒業文集でさえ、

「今ここにいる私」

という小っ恥ずかしいタイトルで

転校の事ををまだ引きずって書いていました。


確か、

ずっとここは私の居場所ではない気が

していたけれど、気がつけばここが私の居場所になっていた

みたいな文だった気がします。


小学校の卒業式後、

違うクラスの女の子が私の元へ来て

「これ読んで泣いた〜!」

と言ってくれたのを覚えています。



転校は人格形成にかーなり関わった出来事だった様な気もしますが、

結局は今の私に必要な事だったのでしょうね。


全て今に繋がっていると思えば、

しんどくて居なくなりたかった事さえも

意味がある。


転校の事はかなり前からそう思える様になりました。子供時代の事ですし。


ただ、他の色々を全てをポジティブに思えるまでにはまだまだ何十年はかかりそうです。

(長っ!!)








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