第29話 ハワイで迷子⑦

「さすが、アニキです」

相馬が尊敬の眼差しで俺のことを見ている。

やっとの思いでホテルまで帰ってこれたのにやめてほしい。

「先輩。俺タチ帰リマスネ」

俺は倒れていた怖いお兄さんたちにホテルの場所を聞いたのだ。

「ここまで送ってもらって、ありがとうございます」

一応ここまで送ってくれたので、お礼を言った。

「アニキ。もう、ハワイを征服したんですか?」

「してねぇよ」

ホテルまで帰ってこれて安心したが、一つ気がかりなことがある。カバンを取られたおばあちゃんのことだ。

「…あのおばあちゃんすごかったよ」

光言いにくそうな顔をしている。まぁ、なんとかなったなら良かった。

「…これ…」

霧街さんがスマホを渡してくれた。

これは俺のスマホ!

「落としたと思ってた。ありがとう」

霧街さんが持っていてくれていたと思ったが違うかった。

「親切な島の人が日本人が落としたところを目撃して、わざわざホテルまで持ってきてくれたんですよ。アニキ。桜井さんが心配してましたよ」

しまった。

みんなでお昼ご飯を食べる約束をしていたのに俺が迷子なんかになったせいで…。

「みんな、ごめん」

俺はみんなに謝った。

本当はすぐにでも桜井さんに謝りたかったが、撮影からまだ桜井さんは帰ってきていなかった。

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