第22話 親子の絆②

空港

「そろそろ、機内に行きたいんだが。離してくれないか」

私は、今、娘の友達を名乗る奴に捕まっている。

「後、ちょっとでアニキが来るんで、待ってください」

こいつ、丁寧なしゃべり方だが、金髪だし、アニキとか言ってるし、やっぱ不良で、もしかして、私、ピンチ?

「…あのー。私、お金、持ってませんよ」

「えっ。なんで、お金…」

「お待たせ」

やばい、この金髪のアニキが来たみたいだ。

「…お父さん…」

この声は、娘の声?!


間に合って、良かった。そう思いながら、相馬に言う。

「よくやった。相馬」

「いえいえ、アニキの頼みなんですから、当然の事をしてだけですよ」

俺は、相馬に霧街さんのお父さんを空港で引きとめるように言っていた。

ちなみに、光は、学校に言い訳をしておいてくれと頼んだので、今ここにいない。

「薬を飲んでくれたんだね。これでもう、私に思い残すことは、ない」

「…また、…置いていくの…」

「…私は、外国でいろんなことを見てきた。世界には、沢山の病気があって、私は、それらを治す薬を作りたいんだ」

「……」

霧街さんは、何も言わなくなった。

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