第22話 親子の絆①

あるニュースを見て、作戦が決まった。


今日も一人で霧街さんの所へ来た。

「霧街さん。やっぱり、薬を飲まないのは、お父さんのことが嫌いだから?」

「……」

霧街さんはお父さんの話をするとすぐ黙る。

「お父さんから、いろいろ聞いたんだけど、やっぱりお父さんのことを憎んでいるの?」

「……」

「霧街さんのお父さんは、霧街さんを思って…」

「…私のことを思う前に、母さんのことをしっかり思って欲しかった…」

ようやく、霧街さんが話してくれた。

「…父は、母が死んだときでも。外国から帰ってこないかった。そんな、父が嫌いで、憎くて、…薬を作ったのだって、きっと、お金を稼ぐための口実…」

「霧街さん。それは、違う」

「…えっ」

やはり、霧街さんは、知らなかったようだ。

「今日、ニュースでやっていたんだけど。ある有名な会社の社長さんが、娘の薬の研究が終わったからと言って、辞任したんだ。その時、財産はすべて、娘に残して行くと言った。もう少し、したら日本を離れるらしい。…誰だか、わかるよね。霧街さん。君のお父さんのことだよ」

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