ときめきを探して


上官から

命令を受けた

「ときめけ」

だからおれはときめくことにした

上官からの命令は絶対だ

まずは視界にあった二酸化炭素にときめくことにした

上官は微笑んで頷いた

蛸が現れた

ただの蛸ではなかった

大蛸だった

おれは目から光線を出して蛸を木端微塵に粉砕した

上官はやはりえふふと微笑んでいた

おれは大蛸を殺したあと簡素な海の家でペニスを洗った

ごっしごし大佐

それがおれの異名だ

ペニスの大掃除が始まるのだ

「さあ、ぐんぐんきれいになりますからねえ」

そのようなことを誰もいないシャワー室でべらべら喋った

全然、ペニスは洗えていなかった

その時だったおれの中の多重人格の一人、サトルが発動をしたのは

サトル

こいつはやばい

サドルではない

それは自転車の部品だ

サトル

サトルは県の条例をことごとく無視する

「サトルゥ、そんなのやめとけって!」

そのように何度、脳内のサトルを制止したかわかったものではない

だがサトルはその度にこんなことを言うのだ

「視界に映る全ての物を破壊せよっ」

「もしかして星とかも?」

おれは尋ねた

「ああ」

サトルは答えた

「あと塩昆布とスカイツリーも」

だから星と塩昆布とスカイツリーがまずは破壊された


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