いよいよ


おれは

おれの桃が

まだおれの手元にあるのだと

そう思っていた

錯覚と真実をすり替えることが

こんなに簡単なことだったとは

おれは騙された

偽りの映像を脳に流し込まれた

おれの桃が無い

ある日そう思った

誰かが薄暗い廊下でしゅるしゅると皮を剥いていた

おれの桃のような気がするのだが違うのだろうか?

呆然とそれを眺めていた

おれの桃らしきものが素っ裸にされ包丁でざっくり切られた

「おれの桃が殺された!」

いよいよ椅子を蹴散らし立ち上がる時なのかもしれない


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