お嬢様とお茶会【前編】



さて、6月26日はライナス様の誕生日だ。

ケーキを作り、寮のお部屋でお祝いした。

……つまり結局誕生日パーティーを開くには至らなかったわけだ。

まあ、そこは仕方ない。

アメルも貴族の従者は初めてだし、ライナス様はライナス様なのだ。

…それに尽きるだろう……。

因みに7月1日はアルトの誕生日。

人嫌いのアルトは同じく公爵家子息なのにパーティーを考えていないらしい。


「…公爵家大丈夫ですかね…?」

「うーん…でも僕も去年、誕生日パーティーは自粛したしな〜…」

「いや、お前のはなんか……違うだろ、事情が…」


薔薇園から戻る途中、そんな話をレオとしているとスティーブン様とエディンが強く頷く。

レオの誕生日パーティーが昨年行われなかったのは、偽物のマリアンヌが『星降りの夜』にパーティーを行うと言い出したから。

そして、増税の影響を考えて自粛したからだ。

当時まだ王太子…次期国王と決まっていたわけではない。

……全くこいつときたら…。

ちゃらんぽらんを演じる割に…責任感強すぎだろう。





そして…7月某日。



「今日から公務でお休みします」


のほほん、とティーカップを両手で包むように持ちながらほんわか笑顔であんまりほんわかしない事を告げるレオ。

あれか、今月末の……“アレ”のためか?


「またですか」

「もうすぐ『王誕祭』ですものね…」


スティーブン様が頬に手を添えてレオの『公務』についての予想を口にする。

王誕祭…国王バルニールの誕生日だ。

「去年よりも休みに入るの早くないか?」と、問えば「陛下のお加減が…」と俯いて言葉を濁す。

…陛下…本当にマリアベルが好きだったんだな…。

それなら婚約者から奪い取るなんて真似せず、もっと誠実かつ紳士的に口説けばよかったのに…。


「いえーい! 今日は若鶏唐揚げー! 俺っち執事のオニーサマの唐揚げアイ! ラブ! ユー! 愛してます!」

「黙って食え」

「し! ん! ら! つ〜ぅ! 痺れますね執事のオニーサマ!」


…そしてその空気は三秒でハミュエラに破壊される。

っていうか、待て。


「ハミュエラ様はルークが弁当を作ってきたのでは?」


そもそもルークに作らせるな、と言いたい。

言いたいがレオやエディンやスティーブン様やライナス様の分も、毎日作ってきている俺が言えたことではないので飲み込んだ。

…まぁ、スティーブン様とエディンの使用人にはちゃんと材料費を支払ってもらってるからいいけど。

エディンの執事のシェイラさんには俺もお世話になってるし………主に俺の留守の時間帯のマーシャの面倒で…た、多大なご迷惑ををおかけしていること間違いなし…。


「ふごふぁはふひふふへふ」

「なんて?」

「分からん」

「ハミュエラ、飲み込んでから喋れ!」


アルトにも分からんとは。

…見ろ、あのライナス様が突っ込みに回っているぞ。

さすが空気クラッシャー…。


「……今年もヴィニーを従者に付けますか? レオハール様」

「そうしてもらえると助かる、んだけど…去年とは少し立場が違うからなぁ」

「そうですわね…」


うっ。

アルトが不思議そう。

…この場で俺の正体を知らないのはアルトとハミュエラだけだ。

勘の良さそうなアルトには引っかかった、か?


「そうです! 今年は私たちもお手伝いに登城いたしませんか⁉︎」

「え?」

「…確かに、今年のテストは無事に乗り切れそうだしな…」

「それはいい考えだ、スティーブン!」

「そうですわね」

「え、ほんとに?」


ぱあ、と表情を明るくするレオ。

スティーブン様の提案。

本来お手伝いに入るべき公爵家のエディンとライナス様、宰相の子息スティーブン様、そしてお嬢様も手伝いに入るというもの。

…それは確かに素晴らしいお考え!

休んでいてもお嬢様にご奉仕が出来る!


「ふごふごふぅー?」

「え、えっと、レオハール様が『王誕祭』の準備で2週間ほどお休みされるので、2年生の皆様がお手伝いに上がるというお話ですよ、ハミュエラ様」

「え…ル、ルーク? お前今の分かったのか…?」

「え? は、はい、ケリー様はお分かりになられませんでしたか?」

「分かんねーよ」


マジかルーク…。

その謎の優秀さは多分いらないぞ!


「それにしても城の手伝いですか…俺も是非、と手をあげたいところですが……」

「いいわよ、ケリー、無理しなくて。1年の夏季休み前のテストは昨年公爵家お2人も苦戦していたもの」

「う」

「っ」


昨年サンドイッチを頬張りながら昼食時まで勉強漬けだった公爵家お2人は苦い顔をする。

それを聞いてケリーが困り顔になりつつ、お嬢様に「分かりました、勉学を優先致します」と答えた。

あれは……腹の底でゲラゲラ笑ってる顔だなぁ…。


「テストか……」

「どうした? アルト? まさかお前も苦労して……」

「違う。俺は座学主席だぞ兄さん。…ではなく、ハミュエラだ」

「…………」


憂鬱そうなアルトへ、仲間が出来たとばかりに嬉しそうな顔になるライナス様。

が、出された名前に表情を消す。

そ…そういえばハミュエラは確か…勉強が苦手なキャラ設定があったな…?


「ああ…ダモンズ様は授業中、基本的に寝ていますよね」

「は?」

「たまにいびきが聞こえるんですよ〜…」

「え」

「え! うそうそ! 俺っちいびきかいてるのー⁉︎」

「そこじゃないバカ!」


そうだそこじゃない!

ね、寝てる⁉︎

ケリーもルークも何てこともなく言い放ったが…授業中に基本寝てるって…⁉︎

勉強苦手以前の問題だろうそれ!


「寝る体勢が悪いのかな⁉︎」

「そもそも寝るな! お前が授業中堂々と寝るから親戚のオレまで恥をかいているんだぞ!」

「だって文字とか見ると眠くなるんだもーん、仕方ないもーん」

「仕方なくない。入学初日のテストは座学以外が重要視されたが、夏季休み前のテストは座学中心。軽視して良いものじゃないんだぞ! お前はウエスト区の公爵家子息としての自覚が足りないんじゃないのか!」

「え〜、アルトに言われたくなーいなぁ〜。俺っちはお茶会や夜会に誘われたら行くけどアルトは全部断ってるじゃーん。社交も貴族の仕事の一つなのにねぇ? アルトこそイースト区の公爵家子息としての自覚たりないんじゃないのーぉ?」

「くっ!」


……うん、どっちもどっち。

こいつら2人は足して割ったらちょうど良いな…。


「ではこうしませんか? ハミュエラ様、アルト様、ケリー様、ルークは、実力テストで優劣をお決めになるのです。一番成績が良かった方は成績が下のお2人に願いを一つずつ聞いてもらうのです!」


スティーブン様、どうしてそんな提案を…。

そしてなんでうちのケリーとルークを巻き込ん……?


「それはいいお考えですね、スティーブン様。やりましょう!」

「ええ⁉︎ ケ、ケリー様⁉︎」


…え、真っ先にうちのケリーが乗っかった、だと⁉︎

なんで⁉︎

顔! 顔が悪い顔になってる! なんで!


「勝負! ……は、好きだけど…勉強〜? 俺っち勉強は苦手ですー…。勝てる気がしない勝負はしたくないなー…」

「オレも勝負事は好きじゃない……が、その勝負は受けて立つ」

「アルト⁉︎ ええ〜⁉︎ なんでなんでー! アルトがやるって言うなら俺っちもやらないとダメな感じになるじゃーん⁉︎」

「オレが勝ったら月一の検診に欠かさず行ってもうぞ、ハミュエラ!」

「…う、うげぇ……」


あのハミュエラが心底嫌そうな顔で身を引いた。

アルトの言う検診とはあれだ、ハミュエラの「無痛無汗症』の検診の事だ。

ハミュエラ…検診サボってやがったのか…あいつめ〜…。

そういう事ならスティーブン様の提案は俺も賛成だ。

やっちまえケリー、アルト! そしてルーク!


「ぼ、ぼくも…ケリー様や公爵家のお2人とテストで勝負なんて…」

「ルーク」

「? お、お義兄さん?」


ぽん、とルークの肩を叩く。

指をツンツン合わせる控えめなルーク。

しかし、そこはそうじゃない。


「ハミュエラ様の体調を考えれば、きちんと検診を受けて頂くのは必要なことだろう? 完治は難しいご病気なんだ…」

「はっ!」

「アルト様の仰ることはごもっともだ。ルーク、アルト様にお力添えしてハミュエラ様の健康管理に一役買って差し上げろ!」

「わ、わかりました!」


ちょろい。

…ケリーとアイコンタクトで頷き合う。

ルークの出自を調べるのに、テストの結果はそこそこ役立つはずだ。

昨年の公爵家2人は剣技やサボりで大層苦労していたが、あの追い込みでテスト結果はエディン5位、ライナス様6位…。

さすが公爵家。

…成績次第で大凡(おおよそ)の『爵位』が分かるはず。

入学テストは勉強を始めたばかりで、はっきりとした目安が分からなかったが…多分、今回のテストではこれまでの勉強の成果が他のどの貴族たちよりも如実に現れるだろう。

ルークの年齢と、大凡の『爵位』予想をもとにセントラルの貴族を中心に調べればルークの出自が分かるかもしれない。

…もし、ルークの出自が分かっても…それがいい事なのか悪い事なのか。

それはまだ分からないが、親が分からないのは……色々と問題が起きる。

『マリアンヌ姫騒動』に然り、俺に然りだ。

それに、ルークの持っていたオークランド家の家紋が入ったペンダントも気になる。

嫌な予感しかしないんだよ。

調べておいて損はない。


「では、次のテスト頑張ってくださいね! 皆様!」

「なんかスティーブン様に乗せられた気がしますー。……えぇ〜、ほんとにやるのぉ〜?」

「往生際が悪いぞハミュエラ。やらないならお前が負けって事にするか? オレはそれでも構わないぞ」

「ちょ! 勝負もしてないのに負け決定はヤダ!」

「では決まりですね。…たたっ潰す…!」

「ケ、ケリー様…」


出てる出てる、ケリー、素が出てる。

顔が完全に“剥がれてる”やつだよ!


「なんか面白そうな事になったねー。僕らもやる?」

「いやいやいやいや」

「いやいやいやいや」


レオと俺たちじゃレオの一人勝ち確定だから!

思わずエディンと声を揃えて手を左右に振ってしまう。


「……最近エディンとヴィンセントはやっぱり親戚なのだと感じますね…」

「やめろ、気持ち悪い」

「おやめくださいスティーブン様」

「……その執事はリース家の執事家系の者ではなかったのか?」

「……!」


ヤバ!

アルトとハミュエラ、そして恋愛小説に夢中なマーシャには俺が王家の血筋なのをまだ話していない。

……マーシャのやつ、やたら大人しかったのは恋愛小説を読んでいたからか…。

最近お嬢様から貴族の嗜みを叩き込まれているから、小説を読む時間が取れないせいだろう…あの必死な表情よ…。

あの様子ならこちらの話は耳に入っていなさそうだ。

……しかし…ハミュエラの性格を考えるとあまり俺の話はしたくないな…。


「そうですよ。ヴィニーは義姉様とエディン様の婚約の際に、ディリエアス家の執事家系の中から我が家の執事家系の者が跡取りとして引き取ったのです。我が家の執事家系の者は未婚でして…跡取りがいなかったもので」

「そうだったのか」

「へぇー」

「…………」

「…………」


お嬢様の無表情がスン…と冷めたのが分かる。

ケ、ケリーよ…息をするように嘘つくな…。

…確かに…執事家系というものは本来爵位が高くなればなるほど主人の家系から政略結婚にも似た婚姻を結ぶことがあるらしい。

理由は血筋の確保…『記憶継承』を持つその家の血筋を執事家系に取り込み、跡取りの予備にする為。

しかしセレナード家はローエンスさんが一人っ子で未婚だから、辛うじてリース家の血が入っているのはローエンスさんだけなんだよな。

ケリーが引き取られたのはセレナード家の事情が大きかった、というわけだ。

当時、俺は『記憶継承』があるのは分かってたけど旦那様が「リース家の縁者」に限定していたから除外されたんだよな。

…まぁ、家系図的には俺もお嬢様のそこそこ遠い親戚……。

今となっては俺も立派に「リース家の縁者」に該当するのだが…まあ、それはいいや。

リース家はケリーが継ぐのが一番いい。

俺は柄じゃないし、今更だ。

それに跡取りがどーのと言い出すと「それなら王家の者として!」…って話になりかねない。

無理、お断り。

ケリー頑張って。

いや、それ言ったら爵位の高い貴族はみんな遠い親戚だけど。


「…あ、話を戻すけど…みんなはいつ頃からお城の手伝いに来てくれる?」

「そうですわね…実家へ帰る準備もありますので…1週間前から…」

「お嬢様、その日はヘンリエッタ様とのお茶会がございます」

「……そうだったわね。…では、その翌日からでもよろしいかしら?」

「うん? ヘンリエッタ? どこかで聞いたような…?」

「レ、レオ様…セントラル西区の領主、リエラフィース家のご令嬢ですよ」

「……あ、ああ………、……えーと…卵焼きみたいな子だよね…」

「た、卵焼き⁉︎」

「どういうことですか⁉︎」


レオのヘンリエッタ嬢の印象が卵焼き⁉︎

…………。

…金髪縦巻きロールでおーっほっほっと笑う姿…。

……あれ? 俺もなんだか卵焼きみたいに思えてきたな?

金髪縦巻きロールのせいか?


「でもお茶会だなんて素敵ですね。私も今度主催してみようかな? けれど、ローナ様がヘンリエッタ様と親しいなんて、あまりそんな印象がありませんでした」

「最近料理専攻の授業でよく話しかけてくださいますの。以前よりも随分雰囲気が丸くなられて……それにとてもしっかりなされたように思いますわ」

「……ヴィンセントに振られたことで女性として成長なされたのでしょうか?」

「そうかもしれませんわね」

「スティーブン様、人聞きが悪いです。俺は引き抜きをお断りしただけですよ」

「………………」

「………………」


うん?

なんでみんな無表情のまま目を逸らすんだ?

お嬢様やスティーブン様だけでなくレオやケリーまで変な笑顔で…。

どうかしたのか?


「……だが、リエラフィース家の令嬢がなんで今更ローナに近付いてくるんだ?」

「少し探りを入れましたが、義姉様に悪意があるようには見えませんでした」

「は、はあ? ケ、ケリー、お前…動くの早すぎないか…」

「潰すなら早い方がいいだろう?」

「…………」

「…………」


エディンも押し黙る本気の目。

そ、そりゃあ…まぁ…。

俺だってお嬢様に危害があるのなら、全力でお守りするけど……ヘンリエッタ嬢は知り合いだからそれはちょっと…。

そんなに悪人とも思えないし…。

というか潰すって…なんて物騒な子…。


「エディン様がマーシャに手を出したという噂もなにやら広まっていますよね?」

「そうだな。ちょっと口説いただけでものすごい勢いで噂に尾鰭がついて広まったな」

「…………」


にっこり笑うケリー。

にっこり笑い返すエディン。

…こ、怖い。

なにここ、ここの空気こんなにうすら寒かった?

……それにしても、俺の知らぬ間にもう作戦実行していたのか…。

まさかマーシャが恋愛小説に顔を埋めて大人しいのは、読みふけっているのではなくエディンを遮断している…?

……ぶ、不器用なやつめ…!

でも、俺に泣きついてこないのはなんで…。

てっきりすぐに俺にチクリに来るかと思ったのに…。


「おい、あんまりお嬢様にしたような口説き方はするなよ? 恋愛小説で変に知識はあるだろうけど、慣れてるわけじゃないんだから」

「……変な知識があるからものすごい勢いで尾鰭がついたんだろう」

「…………。……なんかごめん」

「別にいいけどな」

「…………」


エディン大嫌いなケリーすら“なにか”察して口をきゅっと結ぶ。

…今度きちんとケリーにも情報共有しておこう…。

ケリー、エディンは敵じゃないんだぞってな。

…お嬢様と婚約しようものなら間違いなく敵だけど。


「………………」


しかし、お嬢様の破滅エンドはケリールートにも用意されているんだよな…。

ケリールートで、戦巫女が戦争を勝利に導くとお嬢様は毒を飲んで自殺する。

確か……俺の記憶だとネチネチと姑のように戦巫女を虐めて、それが原因で毒による自殺を命じられて……とあったな。

ネタバレサイトで見ただけだからどうにも不明な点が多い。

何故お嬢様が戦巫女をネチネチ虐めたのか。

何故極度のシスコンであるケリーがお嬢様の自殺を止めないのか。

いや、そもそも…毒による自殺を“誰に”命じられるのか…。

お嬢様に命令することが出来る人間……。

王族…国王とレオ。

国王はともかくレオはありえねぇな。

旦那様と奥様…いやいやまさか……大切な一人娘だぞ。

あとは司法の大臣とか、かな?

でも大臣系の人は『フィリシティ・カラー』に登場していないはず。

ネタバレサイトにもそれ系は書いていなかった。

エディンのルートは破壊完了…と見なして…ケリールートをなんとかする……にしても情報が足りなさすぎるんだよなぁ…。

もう一度ケリールートに関して確認と記憶の呼び起こしを行おう。

かなり前世の記憶に関して…人格に影響のある範囲のことは思い出すのが難しいけど、優秀な『王族』の『記憶継承』ならーーー。


「!」


『クレース』の名を借りれば……今よりももっとはっきりと『思い出す』ことが出来るかもしれない…。

ケリールートを……その不明瞭な点を…!

……け、けど…それは……。


「ヴィニー? なにか都合が悪いのか?」

「……まあ、悪いといえば悪いんだが……」

「そうなの? それじゃあヴィニーは無理しなくてもいいよ? ローナのドレス関係?」

「そうですね、お嬢様のドレスだけでなくマーシャのドレスもそろそろ仕上がるので取りに行かなければなりませんね…」

「マーシャのドレス姿か……それは普通に楽しみだな。『王誕祭』の日は俺がエスコートしてやろうか?」

「死ね!」

「こら、マーシャ。お断りの仕方は以前教えたはずよ」

「ひ、ひう…ご、ごめんなさいだべさお嬢様…」

「訛り!」

「ふっ! ふぁい! 気を付けます!」

「ロ、ローナ…少し厳しすぎるんじゃ…」

「レオハール様はマーシャを甘やかさないでくださいませ。この子のためになりませんわ」

「……は、はい…すみません…」


…………。

ん?


「…………あ、レオの仕事の手伝いは大丈夫ですよ。お嬢様と同じ日から登城致します」

「ホント? 無理しなくてもいいからね? 去年と違って、無茶はしないし人手がカッツカツなわけでもないから」

「いえ、大丈夫ですよ」


あ……『王誕祭』の準備の手伝いの話か…。

やばいやばい、普通に会話してしまってた。

さすが俺。

…しかし『王誕祭』か…マーシャの舞踏会デビューには大き過ぎるから出来れば小さな夜会とかから始めてほしい。

絶対とちる。

けど………バルニール王の不調を回復させる可能性…。

『本物のマリアンヌ』との…面会…か。


…………すんごい複雑……。


ま、その前にヘンリエッタ嬢とのお茶会か。

……違う意味で心配だな…。


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