第120話【歩む時と止まる時編その11】
そう言いながら老婆リメイシャンが、協会入り口の隅にて隠れながら、吐き気を催しそうな
度重なる晩酌と暴飲暴食の日々に老婆の体は、ある意味残像が見える程に高速で震えていた。
すると、この
『へぇ~、数年振りにシレーネへ帰って来たけど、見ない間に随分と協会も
その者は見るからに戦闘向きではないが、自らが大好きな憧れの人にちなんだ、琥珀色と深緑色のストライプ模様のドレスを身に纏っている。
そして室内にかかわらず、同色の日除け傘を差す女性が、誰に言うわけでもなく独りでに喋っている。
独り言の様なそれに対して、数歩程下がった位置にいる男。
運動不足の体と無造作な頭に同じく不精ひげの〝
『時代は移り変わる物だ。ドーマ隊長の死から五年の月日が経った――――この場所も懐かしいな。そう思わないか?なぁ、レミリシャルよ?』
格好良く会話のキャッチボールを試みた男の策は虚しく崩れ去る。
仲間であるその者は問いに答える事はなく、表情の見えぬマスクのせいもあって感情を閉ざしている様だった。
数秒の沈黙後――――先頭に立っていた、リーダーらしき女性は後方にいる二人の方へと振り返ると、
『――――黙ってないでたまには何か喋れば?私が入隊当初から、同期のあんたの声だけは聞いた事ないんだけど!!』
先程まで可愛らしい上に愛くるしかった、不純物が一切ない純白なその顔には、丁寧に整えられた前髪を突き抜ける様な皺が寄り、血管が枝分かれした木々の様に脈を打っている。
そして、詰め寄りながら自らよりも数十cmは高いマスク女に向かって吐き捨てる様に、連続して言葉を発した。
『ふんっ!!誰のマネだか知らないけど、その無機質な白マスクと相反する黒いローブ何て、薄気味悪いったらありゃしないわね』
いつもの口喧嘩が始まったと思い深いため息を吐くと、それを聞いた男はすかさず二人の女性の間へ無理矢理入り、互いの目を見比べながら仲裁を試みた。
『まぁ、まぁ、ユリシャ嬢……そう言うでない。我等は長期の激務を共に過ごして来た仲間ではないか?――――レミリシャルも腕等組んでないで、
ユリシャは勝手に目の前に入ってきた、仲間の男に対して、意固地を張った子どもの様な
『勝手に横槍入れて彼氏気取りすんじゃないわよ。この、〝ただのデブ〟!!バーカバーカ!!短足役立たず!!』
突き抜ける様に両耳へと入る声に耐えきれず、思わず年下であるレミリシャルの方へと振り返るが、両手で中指を立てながら鋭い視線を男へと向けていた。
結果――――返り討ちに
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