第82話【旅立ちの珍道中編その4】
セリエが言いたいことを要約すると、協会にはいくつもの転移魔方陣があり、それぞれ別の都市や保護区域、特別危険区域付近に繋がっているらしい。
今回目指す【
最寄りにある【
高危険区域の魔方陣は、協会でも厳重保管されており、協会特別発行の
だが、今回は協会上層部に知り合いがいるアイナの頼みに、緊急特例を発動した事により、厳重警戒を緩和し通行が可能となっている。
バルクスは巨体ながら縮こまるような思いで、後ろ指を差されたような感覚に
『アイナさん、入り口からそうだったんですが、さっきから周りの視線が痛いんですけども……』
『そんな事でメソメソしてんじゃないわよ!!人様の視線何て気にしてたら、出来るものも失敗するわ!!』
勢い良く
握手を交えようと手を差し出すノーメンに、バルクスは鍛え上げた掌で力強く握り返す。
筋肉自慢の二人の男には、目視出来そうな程の熱く静かな友情が芽生えていた。
(気にすることはないさ、
マスク越しの眼差しからは、燃え
己の筋肉で熱く語り合う
『筋肉バカと顔無し大木は、ほっときましょうか――――』
『おいおい!!ノーメンの旦那をバカにすんなよ?てか、アイナちゃんも毎日あんなのと修行とかしたりすんの?』
『アレは実力だけならウチでもトップクラス何だけど、見た目を凌駕するほどのお馬鹿さんなの……』
それを聞いて互いに苦労をしているのが分かり、笑みを浮かべるセリエ。
それに対して昨晩の事が煮え切らないアイナは、
的確に左頬を捉え、勢い良く地面を転げ回るセリエが、両脇にある支柱に激突する音が、長い廊下に響いた。
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