第64話【ニッシャ精神世界その4】
ニッシャは立ちあがり陽を感じながら、天に手を伸ばすように背伸びをする。
一息付いて真っ直ぐ景色を見つめて、軽口でこう言った。
「アイナは直接的にはあんたのことは言ってないよ。だけど――――大好きで尊敬出来るって事は、十分伝わったし私もそう思ってるから安心しろ」
男泣きをしたドーマは、どさくさに紛れて抱き付こうとしてきた。
ので、軽い身のこなしで避けるとデカイ図体はそのまま地面へと倒れ込んだ。
「私の想像で作られたあんたにしては、動きが本物そのまんまだけど、本当に本人じゃないわけ?」
「だから――――さっきも言ったろ?俺はもう
立ちあがるとドーマは土で汚れた戦闘服を手で叩き、砂ぼこりと一緒にお手製の星形のペンダントが地面へと落ちる。
その拍子で中身が
その間に小さくて、ふて可愛いアイナがご機嫌斜めの顔で写真に映り込んでいた。
(写真と言えば、
「良くもまぁ、あんたみたいな全身毛むくじゃらの奴が、こんな見るからに美人な女と結婚出来たよなー。何か盛ったのか?それとも弱味を握ったとか?」
ドーマは、眉間を小刻みに動かしながら無理やり優しい口調で問いかけてきた。
「ニッシャ君?……それは、褒めているのかな?それともバカに――――」
「うん、してるけど文句あんの?」
ペンダントをまじまじと見つめながら答える、ニッシャのあまりにも、自然かつ迅速な解答にドーマの目は【点】となった。
「それにしても性格以外、全部奥さん
生前、プライベートを部下や上司にも話さない硬派を装っていたため、何だかむず
顔が真っ赤に染まると恥ずかしくなったドーマは、ニッシャに対し両の手を器型にし前に突き出すと返却を求めた。
「分かった、落ち着け取り敢えず返せ……というか、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます