第17話【子育て日記2日目】(朝食編その3)
扉から出ていく小さな体を無言で見送ると、吸い殻を胸元へしまい、調理台に広がる食材を見やる。
「まぁ、しょうがない一丁やるかぁ……」
ここに来てからロクな目にあってないが、段々とこの状況に不思議と慣れ始めていた自分が怖く感じていた。
料理などただ焼けば食べれると思っていたニッシャであったが、全ての食材を加熱調理すると考える……
104人前焼くとなると山火事のような惨状になるのを想像し、思わず笑ってしまった。
「それにしても、2時間で作らないといけないなんて本当に鬼だよなぁ」
アイナの顔を思い出す度に思わず身震いがし、気持ちを落ち着かせるため仕込み煙草をもう一本取り出す。
喫煙しながら山盛りの食材を手に取り朝食作りを開始する。
――――〝屋敷内廊下〟――――
(子供達を起こすのは後にして私は残りの家事でもやりますか……)
ニッシャ一人を残し扉を締め切ると、調理場を後にするアイナは、足早に廊下を走りながら詠唱を開始する。
小さな指を鳴らすと屋敷中のカーテンは全て開き、せわしなく床を駆け回る箒や布巾。
壁掛けの角度はひとりでに直っていき、庭園の植物達は自分達の
ニッシャが綺麗にしたお皿は、大皿、中皿、小皿とサイズごとに別れまるでお家に帰るように棚へ仕舞われてゆく。
(
だけれども
――――〝屋敷内子供部屋〟――――
合図と共に寸分の狂いもなく一斉にカーテンが開き、朝陽が部屋全体を照らすその先には、まるで本当の姉妹のように1枚の布団に包まっている幼い二人は、今だ夢の中のようだ。
(もう食べれません……)
ヨダレを
で……、同じくヨダレを滴ながらキウイの様な産毛頭に、卵の様にまん丸なお顔をしている小さな赤ん坊が、ラシメイナである。
2人は本当に仲が良さそうに寄り添っている。
朝食が出来るまで2時間あり、協会では色々あったため小さな体に、無理があっただろうと考え、アイナなりに気遣って起こすのはもう少し待つことにした。
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