第53話 【閑話】珠へのプレゼント

「ただいま」


「おっそーい! 遅いよ、お兄ちゃん! 今何時だと思ってるの?」


「そ、そんなに怒らないでよ……珠」


「ふんだ。今日はテストだけで早く帰ってくる予定だったでしょ? だから、お兄ちゃんといっぱい遊べるって思って楽しみにしてたのに!」


「ゴメンゴメン。そのかわりと言っちゃなんだけど……はい、珠にプレゼント」


「えっ!? あ、開けていい!?」


「いいよ」


「わぁぁぁ~お花さんの鉛筆だー!」


「珠、鉛筆が短くなってきたって言ってただろ? それで、しっかり、勉強するんだぞ?」


「ありがとー、お兄ちゃん! しっかり、勉強する……かは、分からないけど大切にするね! 短くなってもこの鉛筆は捨てないよ!」


(この感じ、僕に似て絶対に勉強しないな……)


「でも、いきなりどうしちゃったの? お兄ちゃん、プレゼント贈るようなキャラじゃないでしょ?」


「キャラって……。まぁ、その……ちょっとな?」


「……もしかして、デ~ト~?」


「ギクゥゥゥ……は、ハハ、ハハハハ……!」


(す、鋭い……!)


「ハァ……もう高嶺お姉さんのこと嫌いじゃないんだから隠さないでよ」


「うっ……そうだよ。高嶺さんとデートしてきた」


「やっぱり……。で、どこ行ってきたの?」


「あ、アリオヤ……」


「あ、アリオヤァァ!? なんで、もっとちゃんとしたデートスポットにしなかったの!?」


「いや、だって……デートに誘おうと思ったのが昨日だったし、高嶺さんの用事だってあるかもって思ったから……」


「それにしても……って、え!? お兄ちゃんから誘ったの!? あのヘタレなお兄ちゃんが!?」


「そ、そうだよ!」


「はへぇ~驚きすぎて声が出ないよ……。それで、どうだった? お兄ちゃんは楽しかった? 高嶺お姉さんは嬉しそうだった?」


「僕は……楽しかったよ。高嶺さんは――うん、高嶺さんも嬉しそうにしてくれてたんじゃないかな」


「な~んか、微妙だねぇ~。よし、何をしてきたか私に話してごらん。この、珠がプレゼントのお礼に次のデートはどうしたらいいか教えてあげる!」


(付き合ったこともない珠が……って言いたいけど、ムフーって興奮してるし……逃げられないな……)


「早く早く!」


「はいはい……。けど、先ず着替えさせてくれ。それから、座ってゆっくりとな。ずっと、玄関で話してるのも変だし疲れる」


「もう、お兄ちゃん体力なさすぎ。私は早く知りたいのに! お兄ちゃん、やっぱり、ダイエットしたら?」


「いつか、気が向いたらね」


「もう……高嶺さんも驚くだろーに……。早くしてよ~!」


「はいはい……」

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