終話 私はそれを楽しいと思う
帝●ホテルが誇るインペリアルバイキング対異世界少女4人の戦い。
これは歴史と物量の差でホテルが勝利した。
結果、4人とも部屋のベッドで倒れることとなる。
「我が生涯に一片の悔い無し! ガクッ」
「おいマリエラ、そんなネタどこで仕込んだんだ」
「Webの掲示板で……」
「動くな、胃腸に全神経を集中させるんだ」
「内臓をイメージして魔法をかけているんだけれどうまく行かないのよ!」
まあこいつらはこれで大丈夫そうだ。
「明日の朝もバイキングだから、それまでに消化しておけよ」
そう言っておいてこの部屋を去る。
隣はシェラとアミュの部屋。
「ぐるしい……」
「私も食べ過ぎました。確かに美味しいですが、ちょっと今は……」
シェラまで食べ過ぎて苦しんでいるのは珍しい。
もっとシェラは冷静なイメージがあったのだけれどさ。
でも今みたいな状態を出してくれるようになったと思うと悪くは感じない。
シェラももう少し自分を出していいと思うのだ。
時々夜這いと称して私の布団の横に来るとき以外はさ。
「これではヒロフミさんから見て、魅力がた落ちですよね」
「そんな事は無いな。むしろそれくらい自分を出してくれた方がいい」
「お父さんはアミュの!」
「私も負けませんからね」
「わかったわかった。でも今日はお休み」
そうして私は自分の部屋へ。
ガラス窓に映っている自分の笑顔を見て気づく。
そう、楽しいな。間違いなく。
人生省エネを標榜していた頃とはまるで違う生活だけれども。
きっとこれから面倒な事も大変な事もあるのだろう。
反抗期が来てアミュに『お父さん嫌い』なんて言われることもあるかもしれない。
言われたらきっと大ダメージだろうけれどさ。
シェラの誘惑にどこまで耐えられるかも自信無い。
今は何とか年の功でごまかしているけれど、やっぱり綺麗だし可愛いし性格も大好きだしさ。
色々な面が見え始めた今も間違いなく大好きだし、時が経つとともにきっともっと余計に好きになる。
なにかをしたい、してやりたい。
今はそういう気持ちが楽しくて仕方無い。
こういうのを親馬鹿とか孫馬鹿とか言うんだろうな。
わかっていても治らない不治の病だ。
全く血は繋がっていないけれどさ。
さて、明日は何処に行けば楽しいと思ってくれるかな。
私はノートパソコンを広げて、計画の再々再修正案を練りはじめる……
アラフィフおっさんと異世界少女 於田縫紀 @otanuki
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