第167話 8階層ボス戦2

 だがやはり普段から武器とかを使っていたのではない俺の剣は振りは遅く、あっさりとボスの手のようなもので塞がれてしまう。それにリノが俺を抱えて飛び上がってくれたがそもそも本体にまで距離が届かなかったと思われる。あれだ、慣れないことは出来ないってやつ。リノのジャンピングシューズの使用は初めて見たがその性能を体験出来ただけで終わってしまった。


「まずい、ね」

「ああ…」


 どう見ても俺たちの中ではミネしか倒せないボスだとはっきりわかる。ただ刃の長い武器を持とうと使える人か使わないと意味がないってことだ。雑魚ならまだしもボスになんて傷すらつけることが出来ていない。ミネが目を覚ますまで『ソリスト』でミネの安全を確保するくらいしか今のところ出来ることがなさそうだ。


「ヨシオーッ 万能薬って効くかなー??」


 離れたところにいるファーナさんが大きな声でこちらに話しかけてきた。そうか万能薬か…買ったきりすっかり忘れていた。俺は急いでボスの背後に移動するとリュックから万能薬を取り出しリノに渡した。『ソリスト』状態の俺が2人に近づくのはよくないからな。


 さて、ミネが回復するまでに出来ることがないか少し考えてみるか… 俺が使えるのは『ソリスト』、『プチメテオ』、『ウォーターフォール』、『合成』、『鑑定』、『フライト』、『融合』、『分解』…ロクなもんがなかったよ! とりあえずあれだボスを『鑑定』してみることにする。実はボスを『鑑定』するのは初めてだ。



名前:マンドラゴラ(集合体)

属性:地属性

特性:火に弱い 大きな声で相手を気絶させる 仲間を集合させる



 やっぱり見た目植物なだけあって火に弱いらしい…っと動きは遅いが殴られたらやばそうな威力だ。殴りつけてきた腕を持ち上げたところがへこんでいる。


 ペペペペペペペペペッ


 聞こえてきた音のほうをちらりと見るとリノがミネの頬を連続で叩いていた。万能薬が効かなかったのかもしれない。


 まあそれは任せておくとして…ボスって今までのも大体大きな魔物でスライムとか攻撃したらたくさんのスライムになったけね…つまりこいつもその辺は同じってことなのかな集合体って出てたからね。つまりある程度攻撃するとばらけるってことだ。だけど今はその攻撃手段がない…いや、あるじゃないかっ


 俺は走りこんでボスに近づきつつ背後に回りボスの体に触れた。


「…『分解』!!」


 カッとボスから軽く光が走りその光が消え始めたころ視界から大きな姿が消えていた。


「ううう…ほっぺが痛い~~って、な…何これーー!! 『フレイムウェーブ』 『フレイムウェーブ』『フレイムウェーブ』!!!」


 『分解』でバラバラになった集合体だったマンドラゴラは見事にばらけ、そこへ丁度目を覚ましたミネが魔法を乱射した。マンドラゴラ達は火に焼かれ次々と数が減っていく。ミネの乱射がやむと俺達は残ったマンドラゴラを次々と仕留めていくのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る