第106話 レイノアールの日常
日が落ちて大分外が暗くなり始めたころ、私はさっきまで閉じていた目を開け活動を始める。外が暗くなったころと言っても実際今本当に外が暗いのかは私にはわからない。もう本物の日の光りを見なくなってどのくらいなのかも忘れ始めているくらいだ。
目を閉じていたのも別に寝ていたわけでもない。特にやることがない時間帯はとても退屈で動いていても疲れるだけ。それならばと目を閉じ、過去のことや現在のこと、そしてこれからのことを色々思い出したり考えたりしながら過ごしている。
今日もあの人は来ているんだろうか…私は目の前にたくさんあるボタンを押して操作し、ダンジョン内のすべての階層をチェックする。あ、今日もやっぱりいた。3階層の入ってすぐの水溜りのところで長い棒を振り回している。
それだけ確認すると私は部屋を移動し、1つの椅子に座る。ここで私は肉体を置いて精神だけでダンジョン内を歩く準備をする。肉体の損傷はダンジョンの維持にも関わってくるので基本ダンジョン内を歩くときは持っていかない。精神だけなら物理的ダメージも受けないし、一瞬で戻ることも可能だ。この機能を初めて知ったときは驚いたものだったけど、今ではこれがないと本当に困るから助かっていたりする。
準備が終わるとさらに別の部屋の昇降機から私は3階層へと移動をした。どうやって操作が出来ているのか私にもわからないが、そう考えるだけで移動できてしまうので楽。
それにしてもあの人は不思議な人だ。こんな精神状態の私に気がつくなんてどうしてなんだろう。今までもたまーにダンジョン内に人がいるときにうろついているときもあったけど、誰も私には気がつかなかった。こんなことはマニュアルには書かれていなかったから私はどう対応していいのかまったくわからない。前ダンジョンマスターの彼ならばきっとわかるんだろうけど…もう会うことも出来ないのだからしかたがない。
3階層についた。不思議と水の中にあるパネルの傍ではなくその水上に出てくる。まあどうせ精神の状態だから水の中でも濡れることはないからどっちでもいいんだけどね。
そして視界にあの人がいた。やっぱり長い棒を振り回している。楽しいのだろうか…横から顔を覗き込んでみるけどそうは見えないな…
「……」
「…って何か言ってから近づけよ!」
「あー…こんばんは?」
「はいはい、こんばんは」
何で顔しかめているのかな…私特に何もしていない異と思うんだけど?ほんとよくわからない不思議な人だな~
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