第102話 マナについて

 現在狩りの休憩中だ。もちろん今は健太にマントを外してもらっている。フライトフィッシュ達はこっちから仕掛けない限りただぼんやりと空を飛んでいるだけなのか、マントをしまったとたん健太から興味をなくしどこかへ行ってしまった。


 今回もファーナさんと俺達の食べ物の交換を行っているのだが、ファーナさんの持ってきている食料がやはりいまいちだった。マジックバックを持っているんだからもう少しましなものをもってきてくれればいいのにと思うんだが、そこまで容量がないらしく、食べ物で容量を食う訳にはいかないらしい。

 それでファーナさんが今日もって来ていたのは、干し魚と干し果物だった。果物はこの間とおなじトマトみたいな味のするやつでそれを乾燥させたものだ。なので果物は健太に譲り、俺は干し魚を貰う。ただ…何の魚なのか気になるが、名前を聞いたところでわからないのでもう諦めることにした。とりあえず魔物の肉とかじゃなければもうなんでもいい。


「ん~~これもおいしいですねっ」


 今ファーナさんが食べているのは俺が持ってきたサンドウィッチだ。簡単にマヨネーズを塗ってハムを挟んだだけのものだ。耳すら切り落としていない。やっぱりパンはリュックで持ち歩くのに難しく少しだけ潰れているがまあ味はそれほど変わらないからいいだろう。そしてその傍ら健太が干し果物を食べて微妙な顔をしている。まあトマト味だしな。乾してあるからドライトマトってところか。まずいわけではないが、好きじゃないと食べないような代物なので多分健太はあまり好きじゃないんだろう。そんな健太がファーナさんに渡したのは缶詰だ。中身は絵柄的に多分焼き鳥?なんでそんなのをもってきたのか知らんが、まあファーナさんもさっき喜んで食べてたみたいだし問題ないか。俺としては温めて食べたいものだと思うんだがな。


「あ、そうだファーナさん」

「ん~?」

「俺達の世界で魔法とかスキルが使えなかったんだが、どうしてかわかるかな?」


 昨日健太と話して疑問に思っていたことを聞いてみることにした。俺のこの言葉にファーナさんは目をパチパチと繰り返す。


「あー…元からそういったのがない世界なのかな」

「ないな」

「じゃああれかなー…」


 そこでファーナさんが教えてくれたのはこういった内容だった。

 魔法を使うのは魔力、スキルを使うのは体力を消費するけど、それを発動するために必要なのがその世界に存在しているマナなんだそうだ。そのマナがないとスキルや魔法を発動することが出来ない。でもどんな世界でもまったくマナがないと言うことはないらしいのだが、俺達のところでは使えないことを考えると魔法やスキルを使う余裕がないくらいマナが少ないんじゃないかという話しだった。

 もとから目に見えないものだからわかりにくいものだし、草木があるのならマナはあるはずだから0ではないということ。

 つまりたまーにそのへんで見る種があるんだかわからない手品とか超能力的なものは、もしかしたら俺達の世界の魔法やスキルなのかも知れない可能性があるわけだ。

 納得したようなしてないような微妙は話しだったが、まあそういうものと思っておくしかないか。

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