第95話 楽したいだけ

 アイテムの分配は魔法が1人1個ずつで、剣が俺、ペンダ…首輪がファーナさん、そしてやっぱりマントは健太が持っていった。

 ファーナさんと別れ俺と健太は今地下のパネルの前にいる。その階段を上へ上りつつ俺は健太に聞いてみた。ちなみに俺の『浮遊』がついた杖は持ってると俺も浮くのでタオルで縛って鞄に結んだ。こうすると浮くのは杖と結んでいるタオルだけなんだ。だから健太のマントも移動中にリュックの中に入っていたとき浮いていたのはリュックだけだったんだなと今更気がついた。


「ほんとにマントまた使うのか?」

「変な効果はあるけど今までそれで助かったこともあるし、それにやっぱカッコいいだろう?しかも今度のは黒だぜっ」


 まあ本人がいいならいいんだが、なんでそんなに健太はマントがいいんだかいまいちわからんな。

 俺達は階段を上がりプレハブへと出て行くと、足元でカランと音がした。そこを見てみると音を出したのはどうやら俺のっリュックに結んでいた杖だった。


「…あれ、なんで??」


 顔を上げて見ると健太のマントも浮いていなかった。落ちた杖を持ち上げてみるが浮く気配もない。俺は再び地下へと向かってみると杖が浮いた。というか俺も浮いている。そのままプレハブに出る。床に足が着く…


「んんん??」


 プレハブの中で杖を『鑑定』して確認しようととしたけど『鑑定』出来ない。これはつまり…こういうことか。理由はわからないが地下に入るところからしか魔法やスキルの効果がないってことだ。


「なるほどねー」


 今まで出入りしてたのに、まったく気がつかなかったよ。まあこっちでそんなもの使おうとしたことなかったからな。


「何がなるほどなんだ?」


 俺が地下へとでいるを見て気になったらしい。今俺がわかったことを教えると健太はすでに知っていたことを教えてくれた。


「だってさ~『ウォーター』とか使えたら手洗いとか楽になるだろ?『俊足』とかも使えたら早くこここれるし?まあ、だめだったんだけどさっ」

「ああ、そうかい…」


 ただ楽がしたくて使いたかったと…さすが健太先生。俺はこっちで使おうとなんて一度も思わなかったよ。


「でも何で使えないんだろうなー」

「そのへんのことに詳しそうな人にでも聞いてみるか」


 ファーナさんとか双子とか…あーあとダンジョンマスターでもいいのか会えたらだけど。なんにせよ元から使えなかったものなんだから俺は別に困らんと思うんだけどな。でも健太は使えるなら使いたいって感じで大きく頷いていた。

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