第54話 3階層へ
3階層に入ったとたん目の前はすべて水に覆われていた。それに驚きすぐに息を止め健太とファーナさんを探すと、ファーナさんは意識を失っているのか上へ上へと上がっていくところで、健太は今まさに目の前で溺れかけていた。
ひとまず近くにいた健太の腕を掴みパネルに触らせ1階層へと送らせる。次にファーナさんを連れてこないとと上を見上げると上昇が止まっているのに気がついた。思ったよりは深くないところだったようだ。
すぐに泳いでファーナさんを引っ張ってくると健太と同じくタッチパネルで1階層へと送り届け、俺もそれに続いて戻っていった。
1階層へ戻ると健太は咳き込んでおり、ファーナさんはその場で倒れていた。ファーナさんの様子を確認するため首に触れると脈があるのがわかる。だが口の辺りに手をかざすと息をしていない。
「ぜはぁーっはーよっすー…人工呼吸、だ」
まあ普通ならそうですよねー…でも俺にはこれがある。治癒の杖。まずは回復を掛けてみるのが正解だと思うんだよね。杖をファーナさんのほうに向け俺は杖を使う。
「治癒」
ぽわん…と軽くファーナさんが光ると口から水を吐き出し喉を押さえながら咳き込み始めた。うん、これで大丈夫だ。
2人が落ち着くのを待ってからこれからの話をしようか。あーそうだ健太にも治癒かけておこう。
「なんてーのか…酷いコンボだったな…」
「溺れ死ぬかと思いましたぁ~」
うなだれる健太と涙目になっているファーナさん。俺は2人を見ながらこれからどうするか声をかける。
「これから…ですか」
「いや…これは無理ゲーだろう?10階層いけちゃうとかいったの誰だよっ」
「お前だよ…まあそれはいいとして、3階層なんだがあそこそんなに深くなさそうだったぞ」
「…マジで?」
「ちょっとそれだけ確認してくるから2人はちょっと待ってて」
俺はタッチパネルで3階層へと直で飛んだ。すぐ目の前は水に囲まれた場所に切り替わる。今回は最初からわかっていたのでタッチパネルに触れた瞬間息を止めていたので慌てることもない。そのままタッチパネルがある壁に触れながら上へと泳いでいく。
「ぷはっ」
水面に出るとまずは3つ目の地図を取り出し現在位置を確認する。今度はこのマップは右上から始まっているみたいだ。水から上がり地面へと上がるとまずは周りを眺める。緑が生い茂った足元とそこらにいくつも生えている木々、それに遠くにもいくつか水溜りが見える。
森か林…って所だろうか。
どんなダンジョンかを確認した俺は再び水溜りへと入り込み1階へと戻っていった。
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