第47話 ダンジョンに行かない日

 ぼんやりと覚醒していく意識の中、遠くで電話鳴る音が聞こえている。しばらくすると音が止まったので誰かが出たのだろう。電話の音に起こされてしまったが、まだ起きるには少し早い。俺は再び眠ろうと意識を沈め…ようとしたら起こされた。


 俺を起こしにきたのは母さんで、どうやら電話に出たのも母さんだったらしい。電話の用件はどうやら俺宛だったらしく、その内容を聞くと俺は少しだけ渋りながらも首を立てに振った。


 すっかり目が覚めてしまったので顔を洗い着替える。台所へ行きいつものように朝食を食べようと向かうとやっぱり今日も健太がいた。もう当たり前すぎて誰もつっこまない。


「よっすーはよー」

「はよ~」


 まずは挨拶を交わし俺は朝食を食べることにする。その間食べながらもたまにちらちらとこちらへ健太が視線を向けていてすごい気になる。どうやら何かを話したいみたいだが、ここでは話せないといったところか…つまりダンジョン関係ということだ。


「はあぁ~…後でな」


 その言葉に健太が頷くとすごい勢いで食べ始めた。どうやら早くプレハブへ向かいたいらしい。そんな健太は放置しておいて俺は俺のペースで食べる。


 食事を終えた俺達はプレハブへ向かった。早速健太が何かを言おうとしたが俺が目の前に差し出した鍵のせいで言葉が止まる。


「…鍵?」

「ああ、プレハブの鍵だな。俺今日は叔父さんに店番頼まれたからいけないんだ…」

「まじか…折角昨日手に入れたスキル試そうと思ったのにっ」

「だから鍵渡すって。後で母さんにでも返しておいて」

「おおう…じゃあ狩りはどうすっかな~…試すだけのがいいのか…」


 ぶつぶつと健太が独り言を始めたのでそのまま放置し、俺は叔父さんが待つ店へと自転車で向かうことにした。この暑い中自転車での移動は最悪だ。動いている間はそれほど気にならないのだが、止まったとたん汗が止まらなくなる。着替えは持ってきているので店番には問題ないが、うっとおしくて仕方がない。まあ電車賃がもったいないからここは我慢するしかないんだがな。


 自転車をこいで40分くらいすると目的の店へとたどり着く。店の横手の通路に自転車を止めると裏側にある自宅がわの玄関のチャイムをならす。


 さて、今回は何時間ここで店番をすればいいのだろうか。まあ今から話をして決めるわけだが、毎回毎回叔父さんはどこへでかけているんだろう。まあ…お小遣いもらえるから別に気にしなくていいんだけどね。


 そんなことを考えていると玄関のドアが開いた。

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