第41話 毛玉と犬

「うわーーーーなんか転がってきたっ!!」

「落ち着いてそれぶつかれば止まるからっ」


 慎重に俺達は2階層を壁づたいに右回りで歩き出した。少し歩くとなんか白っぽいものがごろごろと転がってくる。それに慌てた健太が俺達のほうへ向かって駆け寄った。すると転がっていた白いものが壁に当たり「きゅ~」と声をあげた。


「……」

「なんか…毛玉?」


 目を回したのかその白いものはふらふらとしている。白い毛玉に2本の長い耳が生えた…なんだろううさぎ?


「コロンですね。ということは…あ、きたっ」


 ファーナさんが指すほうをみると今度は子犬みたいなものが走ってきている。口を開け舌を垂らしとても楽しそうな雰囲気で。


「そっちは気をつけて、かわいいからって油断してると噛みつかちゃうっ」


ファーナさんの口ぶりからするとこの2匹はセットのようだ。小さい犬がこのコロンと呼ばれたうさぎを追い回してたのかもしれない。


「あ…こらっ」


 ちょっと余所見をしたらいつの間にか健太が子犬に囲まれてガジガジと噛み付かれている。それを見ていたファーナさんがチャンスとばかりに子犬をナイフで仕留めていった。


「かわいくても魔物だよー?」

「犬はかわいくて狩れねぇ…」

「いぬ…?それはリトルウルフだよ。だからウルフだね一応」


 狼だったのか犬にしか見えんかった。ぼろぼろになった健太を立たせ俺達は再び歩き始める。


「スライムよりは危険がすくなそうだな」

「まあそうね…噛まれても歯形がつく程度だしコロンは体当たりしかしないから、スライムよりは楽かも。でもリトルウルフが群れるからスライムより狩る回数が多くなりそうね」


 白いのが転がってきたらリトルウルフに注意ってことだな。それから転がってくるのに気をつけながらリトルウルフを狩った。たまーにうさぎが単体でいるときもあるが、それを狙ったリトルウルフに突っ込まれたりしながらもマップの外周を1/4くらい進んだところで入り口へ引き返すことにした。


「アイテムは…魔石の他はどっちも毛皮だねー」


 手に入れたアイテムを確認するとコロンが白い毛皮を、リトルウルフが青っぽい毛皮を落としていた。それら毛皮と魔石を全部ではなく一部を売り払うと俺達はファーナさんと別れた。

 今日ダンジョンに入るときにいったとおりに今から『合成』をする。毛皮も魔石も『合成』の材料に出来るかもなので少し残しておいた。


「なあ、もっと材料用意しようぜっ」


 それだけ言うと健太は材料を集めにどこかへ行ってしまったので、俺は一度家に戻り休憩でもすることにした。

 

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