第212話『水着の準備』

せやさかい・212


『水着の準備』さくら    







 水着の準備した?




 明日の用意をしてたら、留美ちゃんが言うてくれた。


「あ、せやね!」


 元気に思い出して、衣装ケースの中からスク水を取り出す。




 留美ちゃんが一緒に暮らすようになって、主な衣類にはイニシャルを入れてる。


 なんせ、同じ中三で、学校関係の衣類や持ち物は、名前とかイニシャル付けとかんと分からんようになる。


 詩(ことは)ちゃんのもあるんで、洗濯機を使うものは完ぺきを期してる。


 パンツとか穿き間違えたら、メッチャ恥ずかしいしね(^_^;)。




 留美ちゃんが越してきた時に、当面のものは終わってたんやけど、夏物は後回しにしてた。




 それで、来週から水泳の授業が始まる……のを忘れてた。


 留美ちゃんは、しっかり覚えてて注意をしてくれたというわけ。


「……なんか臭う(;'∀')」


 水着を出してビックリ。


「あ、いっしょにしてたんだ……」


 留美ちゃんが気の毒そうに言う。


 無精者のあたしは、普段は使えへん衣類といっしょのとこに水着をしもてた。


 小学校の頃の制服とか、古い縫いぐるみとか、サイズが合わへんようになった思い出の服とかの衣装ケースに。


 なんでか言うと、普段使いの衣装ケースが一杯になって収まらんようになって、邪魔くさいので、余裕があった衣装ケースに放り込んでたというわけ。


 憶えてただけマシやねんけど、その衣装ケースは、めったに開けへん非常持ち出しみたいなもんやから、大量の防虫剤が入ってる。


 で、その臭いが、完璧にスク水に移ってしもたというわけ……。


「水に入ったら分からなくなるよ(^_^;)」


 留美ちゃんは優しくフォローしてくれる。


 せやけど、これは出しただけで臭う。


 想像してみる。 


 更衣室で着替えよと思たら「なんかニオウね」と言われそう。


 特に普段からニオイに敏感な女子。先週、エアコンが点いたときも「クッサー!」と遠慮のなかったA子なんかもおる。


 プールサイドで準備運動してる間も臭いっぱなしやろし……。


「いっかい洗うわ!」


「あ、でも、明日プールだよ。ゼッケンの付け替えも……」


 せや、来週と思てたら、今日は日曜日。で、月曜日には体育の授業がある(;'∀')。


 用意のええ留美ちゃんは、ゼッケンも今年のにしてるけど、うちは、まだ二年生のときのまま。


 ガラ!


 窓を開けて天気を確認。


「おし、今日は日本晴れや!」


「そ、そだね(^_^;)」


 階段を一段飛ばしで駆け下りて、洗濯機に放り込んでスイッチオン!


 ゴーーー


 洗濯機が「了解、ご主人様!」という感じで任務開始!


 洗濯機の番してるのもアホみたいなんで、部屋に戻って、ついでに衣装ケースを整理する。


 ついでに、ベッドの下を整理したり、掃除機かけたりと我ながら時間を無駄にせえへん。


 留美ちゃんは、ええ子で、いっしょに付き合ってくれる。


 お喋りしてるうちに、詩ちゃんが、ダミアの散歩に失敗したことを思いだす。


「よし、うちらでやろか!」


 お片付けハイになったうちは、留美ちゃんとブタネコダミアの散歩に出かける。


 今日のダミアは機嫌がええのんか、素直に言うことをききよる。


 学校の向こうから公園に回って、お喋りして帰る。




 で、洗濯してるのを忘れてしもた。




 あ!?




 思い出した時は夕方。


 で、洗濯機の意地悪か、調子が悪いのか脱水ができてへん。


 うちら女子の洗濯物は本堂脇の目に着かへんとこに干すんやけど、午後は日の当たらん場所。


 しゃあないんで、レギュラーの物干しに。


「えと……裏がえしにしないと乾き悪くなるよ」


 留美ちゃんが、遠慮気味に注意してくれる。


「あ、そか……」


 で、裏返しにすると……ちょっと恥ずかしい。胸のパットのとことかね……。


「表のままでいくわ!」


 今日の洗濯物は、とうにおばちゃんが取り込んでて、物干しにはうちの水着だけ。


 なんや、陳列してるみたい(;'∀')。


 今度は、忘れんように目覚ましかけて部屋で待機。


 


 で、このあとの展開が、我ながら面白いので、あした続きをレポートします!


 乞うご期待!

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