第321話 カインとルージュの結婚式

 ケビンがそろそろ旅に出ようかとしていた頃、サラからの通信連絡が届いた。


『ケビン、聞こえる? ちゃんと使えているかしら?』


『聞こえているよ、母さん』


『凄いわ! 本当に頭で思うだけなのに伝わるのね!』


『そうしないと、独り言をブツブツ言っているみたいで周りから変な目で見られるだろ?』


『そんなところまで考えていたのね』


『それで、もしかして父さんに何かあった!?』


『違うわ。お父さんは今日も元気だから安心して。今日はね、カインの結婚式が早まったからそれを伝えようと思ったの』


『早まったの? 何で?』


 サラから伝えられた内容は、遠方の貴族たちは予定が合わないらしく参加できそうにないという返事が届いたみたいで、ウカドホツィ辺境伯が参加できれば他はいいだろうという結論に達したようである。


 カイン自体が貴族との付き合いをそこまで重要視していないことも起因する上に、そういうのは本家に任せれば良いとのことで元々が分家としての立場を取っているため、そこまで横のつながりはいらないだろうということだった。


 あくまでも本家のアイン兄さんを立てて、カイン兄さんは補佐に徹するらしい。カイン兄さんらしいと言えばカイン兄さんらしいけど。


『――ということで、予定より早くなってしまったけどよろしくね』


『ああ、わかったよ』


『愛してるわ、ケビン』


『俺も愛してるよ、サラ』


『キャー、ケビンに愛してるって言われちゃったわ! お母さん、キュンキュンしちゃう』


『あぁぁ……母さん、心の声がだだ漏れだよ』


『え……そうなの? 使い方が難しいわね。でも、相手はケビンだから問題ないわ』


 そしてサラとの通信を終えたケビンは、その日の夕食時にみんなへとカインの結婚式について報告をする。


 嫁たちは基本的に参加となるが、サーシャとアビゲイルについてはギルドへ休暇申請を出して受理されるのが条件となるが、受理する側のギルドマスターがアビゲイルなので問題なく行けるとのことだった。


 そして日付が変わると夢見亭へ赴き、クズミと連絡を取って兄の結婚式があるため予定していた出発よりも遅れると断りの連絡を入れると、親族の結婚式とあってかクズミも快く了承して、お祝いの言葉をケビンへと代わりに贈るのであった。


 夢見亭が終わり次に向かったのは義理の両親に当たるティナの実家である。ルージュの両親にも当たるためここへ訪れたのだ。そして、結婚式が早まったことと当日はケビンが送迎することを伝えてその場を後にする。


 そして迎えたカインの結婚式の日、ケビンたちは一旦ティナの実家に赴き両親を連れて実家へと転移した。


 式場となるカインの自宅へついて辺りを見回すと参列者の中には見慣れた貴族たちがおり、ケビンとしてはアリシテア王国で侯爵に陞爵した時以来の顔合わせとなる。一部貴族についてはアリスの卒業式の日に顔を合わせているが。


 その中でも驚いたのはライルとマリーの姿があったことだ。ケビンが話しかけに行くと、現国王と王妃が参加できないために名代として参加しに来たそうだ。


 元々、名代でなくとも参加する気だったようであまり手間は変わらないらしいが、変わったのは大公としてではなく国王の名代として参加するというオマケが付いたことだけだと言っていたのだった。


 傍からすればそれだけでも凄いのに、2人はあっけらかんとしていて大したことないようにしている。


 式場はケビンの結婚式を真似て青空の下で行うようである。教会に赴くよりも人数制限がなくなるので、余裕を持ったスペースに無駄なく参列することができるのがこのやり方の旨みでもある。


 やがて厳かな雰囲気の中、カインとルージュの結婚式が始まる。


「カイン、あなたはここにいるルージュを病める時も健やかなる時も、富める時も貧しき時も、妻として愛し、敬い、慈しむことを誓いますか?」


「はい、誓います」


「ルージュ、あなたはここにいるカインを病める時も健やかなる時も、富める時も貧しき時も、夫として愛し、敬い、慈しむことを誓いますか?」


「はい、誓います」


「では、指輪の交換を」


 神父の言葉に続いて誓いを交わした2人は、指輪交換を滞りなく終わらせると正面へ向き直した。


「引き続き、誓いの口づけを女神に対して捧げてください」


 カインがルージュのヴェールをめくると、幸せのあまり瞳を潤ませたルージュに対してそっと口づけをする。


「これによりあなた方は夫婦となりました。末永く女神のご加護があらんことを」


 そして滞りなく式が終わると昼食会となって、立食式のパーティーが始まった。


 ケビンはカインとルージュへ挨拶をするべく、嫁たちを引き連れて主役の元へと向かう。


「カイン兄さん、義姉さん、結婚おめでとう」


「ありがとな、ケビン」

「ありがとう、ケビン」


 ケビンに引き続いて嫁たちも祝いの言葉をかけていくが、ひと通りかけ終わるとティナが思い出したかのようにカインへと告げるのだった。


「あ、そうだ。お義兄さん」


「どうした? ティナさん」


「私たちエルフって人族と種族が違うから、一般的な人族同士の平均で言うと子供ができにくいってソフィさんが言ってたよ」


「そうなのか?」


「できないわけじゃないから安心して。だからどんどん子作りに励んでね」


「おう! ケビンとティナさんに負けないように作るからな!」


「ちょっとティナ! 人前でなんてことを伝えているのよ!」


 あっけらかんと伝えるティナに対して同じくあっけらかんと答えるカインのやり取りに、ルージュは顔を真っ赤にして抗議するのであった。


「だって子作りは大事なことだよ? 教えておかないと中々できなかったら悩んだりするでしょ?」


「それにしても時と場所を考えなさいよ」


「だって私だって悩んだんだもん。ケビン君にいっぱいしてもらうけど中々できないのよね。それで、姉さんやお義兄さんは私にとって大事な人だし、同じように悩んで欲しくなかったから教えておきたかったの」


「サンキューな、ティナさん」


「あとケビン君が姉さんのステータス見たから、ちゃんとできるのは確認済みだよ」


「え……」


 ティナからのトドメの言葉でルージュは呆然としてしまう。


「何を言ってるの……? ケビンが私のステータスを見た……? ちょっと待って……え……え……どういうこと!?」


「ケビン君ねぇ、人のステータスを丸裸にできるんだよ。その人の人生から秘密のスリーサイズまで。私もスリーサイズを見てもらったんだ」


「え……えっ!? ちょっと、ケビン! ここに来なさい!」


 ケビンは挨拶が終わってからはご飯を食べていたというのに、いきなりルージュが怒声を上げて呼び出したので何を怒っているのか見当もつかないが、人の目を気にしないケビンは取り皿に取ったご飯を食べながら近づいていく。


「何……モグモグ……」


「何で悠長にご飯を食べてるのよ!」


「ん? ゴク……お昼だから。これ美味しいよ、取ってこようか?」


「お、マジか!? 兄ちゃんの分を取ってきてくれ」


「りょーかい」


 何しに来たのか全くもって意味をなさなかったケビンは、カインのご飯を取りに再び離れて行った。


「ケェービィィーンっ!」


 再び怒号を上げるルージュにやれやれと思いつつ、しっかりカインの分のご飯を取ってから戻るのである。


「義姉さん、花嫁なんだからそんなに大きな声を出したらダメだよ? 周りの人がビックリしているじゃないか。あ、はい、これ。兄さんの分」


「おお、確かに美味いな!」


 相変わらずマイペースなケビンとカインにルージュも毒気を抜かれ、ある程度の冷静さを取り戻せた。


「ねぇ、ケビン」


「何? 義姉さんもいる?」


「……あとでもらうわ。それよりも私のスリーサイズを見たの?」


「ん? ステータスのこと?」


「それ以外に何があるのよ?」


「おお、そういえばそんなことをティナさんが言ってたな。ケビン、兄ちゃんのスリーサイズも見るか?」


「いや、男のスリーサイズなんてどこに需要があるのさ」


 そんなケビンの言葉を否定する発言がソフィーリアから齎される。


「あら、あなた。男好きの男が世の中にはいるわよ?」


「んなっ!?」


「見た目は立派な男でも中身は女らしいわ」


「もしかして漢女か!?」


「ちなみにコミュニティで連絡を取り合って、帝国への移動を計画しているわよ?」


「俺の国に? 何で!?」


「あなたが差別撤廃を法律に組み込んだでしょう? だからよ」


「あぁぁ……」


 思わぬところで改革のしわ寄せが来たもんだと、ケビンは思い至ってしまう。


「嫌なの? 止めましょうか?」


「いや、そのままでいいよ。価値観なんて人それぞれだし、皇帝自らがそういう人たちを差別したら元も子もないだろ。特に人へ対して危害を加えないなら個人で何をしようと問題ない」


「ふふっ、あなたってやっぱり素敵ね」


 ケビンとソフィーリアがルージュそっちのけで話し込んでいると、蚊帳の外にされてしまったルージュがケビンに真相を聞き出すのであった。


「そ・れ・よ・り・も! 見たの? 見てないの?」


「見るわけないだろ。カイン兄さんの嫁だぞ?」


「別に構わないだろ? たかがスリーサイズだろ?」


「カインさん! 私が他の男に裸を見られてもいいって言うの!?」


「裸って……数字だろ?」


「カイン兄さん……そこは義姉さんを守ろうよ。『俺の女の秘密は見るな!』くらいの勢いで」


「んー……相手はケビンだしなぁ。他の男なら斬り捨てるけど命を救ってくれた弟だしなぁ。ケビンならいいかって気になるんだよ」


「まぁ、そう言われても見ないんだけどね。義姉さん、俺が見たのは妊娠できるかどうかだけで、他のステータスの項目は一切見てないから安心していいよ。義姉さんの体はカイン兄さんのものだし」


「それなら安心だわ。疑ってごめんなさい、ケビン」


「どうせティナ辺りが余計な口を滑らせたんだろ?」


 ケビンの言葉を聞いて雲行きが怪しくなったと感じたティナは、そろりそろりとその場から逃げようとしていた。


「ティナ……わかっていると思うけど、お仕置き1ポイントゲットだから」


「ッ! そんなぁ……」


「2人の晴れ舞台を乱した罰だよ」


「うぅぅ……」


「ケビン、お仕置きって何するの? まさか可愛い妹に痛いことをするんじゃないでしょうね?」


「前にしたのは気持ちいいことだよ。詳細は本人の名誉のために省くけど」


「気持ちいいことなの? お仕置きなのに」


「気になるなら姉さんも受ければいいわ。気持ちよすぎて体力を根こそぎ持っていかれるから」


「遠慮しておくわ。私はもう独身じゃないのだし、この身はカインさんのものだから」


「ということで、兄さんたちは子作り頑張ってね」


「おう、任せろ! 元気な子供を産ませてみせるからな」


「もう、カインさん……」


 カインの言葉にルージュが顔を赤らめていると、ケビンが思い出したかのようにカインへと告げた。


「そういえば結婚祝いを持ってきたんだけど、置物と服ってどっちがいい? 両方選んでもいいけど」


「じゃあ、両方だな!」


「わかった」


 ケビンはその場で【創造】を使って作った服の入った箱を取り出すと、カインとルージュに差し出した。


 ちなみに服はきちんとした物からコスプレ紛いの物まで取り揃えてある。夜の営みのスパイスにと考えたケビンの下世話なのだった。


 それを受け取った2人は箱を開けて中身を確認するとケビンのうっかりで、ある事実がバレてしまう。


「ねぇ、ケビン……あなた私のスリーサイズを見ていないのに、どうして服をプレゼントできるの? 明らかに私専用よね? サイズもピッタリそうだし……」


「い、いや……見た感じで測っただけだから。あくまでも予想だよ?」


「へぇ……ケビンは予想だけで女性のスリーサイズが細かくわかるのね?」


「いやぁ、女性の服ってだいたい決まっているだろ? この見た目の人にはこのサイズって」


「これ、市販じゃないでしょ? 見たことないもの。オーダーのはずよ?」


「プロになると目測だけでだいたいわかるらしいよ?」


「本当のことを言いなさい。今ならお義姉さんも怒らないから」


「……見ました」


「やっぱり見てるじゃない! どういうことよ! さっきは見てないって言ってたでしょう!」


「怒らないって言ったのに……」


 怒らないと言われて白状したケビンは、予想通り怒られてしまい恨みがましくルージュを見つめるのだった。完全にケビンが悪いのであるが。


「はぁぁ……何だかカインさんみたいに、私もケビンならいいかって気になってくるわ。不思議よね……ちなみに私のスリーサイズは?」


「え? 言っていいの?」


「だってしばらく測ってないし、太ってないか確かめたいじゃない。それにここにはカインさんとあなたとお嫁さんしかいないわ。知られたところで問題ないじゃない」


「まぁ、義姉さんがそう言うなら。俺が見たのは上から75(A)-55-75だよ」


「……育ってない」


「姉さん、私が実家を出た時から全然変わってないね」


 ティナから言われた「全然」という部分が突き刺さり、ルージュの心は折れそうになる。


「あなたは変わったわよね……胸が……」


 驚異(胸囲)の格差社会を目の当たりにしたルージュは、同じ母親から生まれた姉妹なのにどうしてこうも違ってくるのか、自分とティナの胸を交互に見比べては絶望の表情を浮かべるのである。


「私はケビン君が揉んでくれたら大きくなったよ」


「ケビン、私の胸も揉みなさい! 義姉からの命令よ!」


 ケビンに揉まれたから大きくなったと言ったティナの情報に、正常な判断を下せないルージュがケビンへと自分の胸も揉むように命令してしまうが、ケビンはとんでもないことを言うもんだとルージュの胸へ対する執念に戦慄を覚えるのだった。


「ちょっと冷静になろうか、義姉さん」


「私は冷静よ! いいから早く揉みなさい!」


「カイン兄さん、義姉さんを止めて……」


「ん? 揉んであげないのか?」


「え……なに、この混沌……カイン兄さんはそれでいいの?」


 ルージュの暴走にカインへ助けを求めたケビンだったが、意外にもカインはケビンが揉んで大きくするのだろうと思っていたようで、それを聞いたケビンは収拾のつかないこの場に辟易とするのであった。


「だって治療みたいなもんだろ? それともケビンは盛り上がってルージュと寝るのか?」


「それはない!」


「それなら俺としては安心だ。ケビンに揉んでいいと言ったのは本人が大きくするのを望んでいたからだ。嫁さんの願いを聞くのも旦那の務めだろ? 俺のワガママでルージュの願いを潰すわけにもいかないからな」


「わかったよ。そのかわり方法を教えるだけでやるのはカイン兄さんだよ? 俺はしないからね。あと、あくまでも民間療法的な感じだから効果があるかどうかは知らないよ?」


「効果ならあるわよ! ティナが家を出た時よりも大きくなってるんだから!」


「寝る子は育つって言うからねぇ……」


 とりあえずケビンはカインへ方法を教えて、それを毎日していればそのうち大きくなるかもということで話を終わらせるのである。


 そしてケビンは疲れたと言わんばかりにその場から離れて、庭の隅へ移動すると置物を【無限収納】から取り出して設置するのだった。


「キャーっ!」

「ひえぇぇぇぇっ!」


 いきなり上がった悲鳴にケビンは何事かと振り向いてみたが、ほとんどの貴族が腰を抜かしており、ケビンの方を見つめていた。


「え……何……?」


 そこへケビンと同じく疲れたかのようにギースがやって来て、理解していないケビンを窘める。


「ケビン……何故何も言わずにドラゴンを出した?」


「ん? カイン兄さんがいるって言ったから」


「そのカインは固まっているぞ? 本当にドラゴンをいるのか聞いたのか?」


「……いや、置物って言った」


「はぁぁ……」


 バツの悪そうな顔を浮かべるケビンにギースはため息しか出てこず、そんな2人のところへ動じていなかったものがやってくる。


「あらあら、ケビン。お母さん、ドラゴンなんて現役ぶりよ」


「私は初めてだわ。サラが倒したのは聞いていたけど、実物は見たことがなかったのよねぇ。市場に出回るのは解体された後だったし」


 動じなかった2人は何を隠そう元Aランク冒険者で一時期ペアを組んでいたサラとマリーであった。今現在ではサラはケビンに連れられてギルドへと行って、ケビンと同じくXランクになっているが。


 そこへ遅れてライルもやってくる。


「ケビンよ、儂の心臓を止める気か? 驚きすぎて死ぬかと思ったぞ?」


「ごめんなさい、お義父さん」


「よいよい、悪気があったわけではなかろう。して、これは仕留めたやつかの?」


「本当は模型を作るつもりだったんだけど、のんびり絵を描いていたら気づいたドラゴンに襲われてね、返り討ちにしちゃった」


「お主なら気配ぐらい隠蔽できるだろう?」


「最初は遠くから気配を消さずに観察してたんだけど、リアリティを追求するため質感とかを調べたくて、そのままうっかり近づいたんだよ。それでバレちゃった」


「それにしても見事なもんじゃの。切り傷や魔法の傷痕が見当たらんぞ」


「ああ、それは窒息死させたから」


「ん? 何じゃそれは?」


「お義父さんって鼻と口を塞いでも息できる?」


「いや、死ぬじゃろ」


「つまりそれをこのドラゴンにしたんだよ」


「……」


 ケビンの常識外れな倒し方にライルは言葉が出なかったが、女性2人は違うようである。


「凄いわ、ケビン! お母さんの自慢の息子よ!」

「そうね、凄いわ! お義母さんの自慢の息子でもあるわ!」


 単純に冒険者としての質を評価した2人は、平常運転でケビンを手放しに褒め称えるのだった。


「あ、ヴィクト陛下の結婚式に出れなかったから、陛下用のも用意してあるんだよ。あとで届けるね」


「「……」」


 ケビンのとんでもないお祝いの品に、もはやギースとライルは何も言えなくなってしまう。


 こうして、カインの自宅の庭にはレッドドラゴンがその姿を誇示して、カロトバウン領都の名物となってしまうのであった。


 ちなみにヴィクトールへ寄贈されたドラゴンはイエロードラゴンで、王城のホールに飾られている。


 その場に居合わせた使用人は腰を抜かし、ヴィクトールはケビンの偉業に大笑いをして、妻のローラはヴィクトールに抱きつきながら気丈にも耐えてみせた。


「ケビンよ、今度またその時の冒険譚を聞かせてくれ」


「わかりました、陛下」


「固い、固いぞ、ケビン。もはや以前とは違いケビンも1国の主。公の場でない以上、ケビンと私は家族だ。前のように気軽に話してくれ」


「わかったよ、義兄さん。それじゃあ、俺は帰るね。ローラ義姉さんも驚かせてごめんね。今度お詫びに何か作って持ってくるよ」


「気を使わなくていいのですよ、私はケビン君が元気ならそれで構いませんから」


「義兄さんは本当にいいお嫁さんを見つけたよね。大事にしなよ?」


「もちろんだとも。ローラは私の愛すべき妻だからな!」


「もう、あなたったら……」


 ヴィクトールの臆面もなく伝える本音にローラは顔を赤らめて俯き、ケビンはそんな2人に見送られて帝城へと転移したのであった。

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