第301話 哀れ、ティナ
翌日、ケビンは当然のごとくケイトをお姫様抱っこして、食堂へ連れていく羽目になった。
朝の着替えはケイトの部屋から服を転移させて、ケビンが着替えを介助して済ましてある。
2人の登場にティナが揶揄いの言葉を口にするが、口は災いの元とよく言ったもので、ティナはケビンから手痛いしっぺ返しを食らうのであった。
「今日はティナのお仕置きをすることにした。逃げてもいいけど捕まえるからね?」
「え……? 忘れてたんじゃあ……」
「お仕置きよりも優先することがあるから、そっちを優先させていただけだ」
「ニ、ニーナ!」
「しらない」
「サーシャ!」
「自業自得よ」
「そんなぁ~」
「ちなみに2人もお仕置きポイントがあることを忘れないでね。あとクリスもこの前1ポイントゲットしてるから」
「「え……」」
ティナからのとんだとばっちりで、ニーナとサーシャはお仕置きポイントがあることをケビンから知らされるのである。
「ケビン君、お仕置きって何するの? 私はケビン君だったら何されても平気だよ」
お仕置きを意に介さないクリスが尋ねると、ケビンは言うだけ言って何も考えておらず、今から頭を捻って考え出すのだった。
「んー……何も思いつかない……」
「じゃ、じゃあ、お仕置きはなくても……」
「それだとティナが調子に乗るだろ? ティナのせいでこっちは酷い目にあってるんだ」
「旦那様、酷い目とは?」
「俺が巨乳にしか興味がないって、胸の小さな女性からことごとく言われる」
「「「あぁぁ……」」」
嫁たちは思い当たる節があったのか、一斉にティナへ視線を向ける。
「え……何……?」
「ティナは私にも言った」
「ニーナに何か言った覚えはないわよ。そもそもあなただって大きい側でしょ」
「『ケビン君が好きなものだから問題ない』と」
「い、言ってないわよ」
「胸の駄肉」
「駄肉じゃないわよ! 大きい方がケビン君が喜ぶからいいのよ!」
「ほら言った」
「あ……」
ニーナからの誘導尋問に呆気なく絡め取られたティナは、自らの口で自白してしまうのだった。
「いつもそういう流れで言ってるわけ?」
「だいたいティナが自慢する」
「はぁぁ……そうやって広まったわけか……」
「ち、違うのよ、ケビン君」
必死に弁明を始めるティナをケビンがじっと見つめていると、次第に居心地の悪くなったティナは視線を逸らし始めてしまう。
その後も朝食を摂りながらケビンがティナを観察して、何かを考え込んでいると、シーラがケビンに話しかける。
「ねぇ、ケビン。お仕置きはもう決まったの?」
「まだだよ。何が効果的かずっと考えてる」
「この際、何でもいいのじゃないの?」
「それだとお仕置きにならないし、中途半端だとやる意味がないから」
「でも、ティナの嫌がることって何かあるの? あったとしてもケビンに捨てられることだけじゃない?」
「だから頭を悩ませてるんだよ。中途半端なことしてもティナは逆に喜びそうだし」
結局、朝食を食べ終わっても中々いい案は浮かばず、そのまま憩いの広場でボーッと過ごすのだった。
ボーッとしているケビンの視線の先には、お仕置きの内容が気になってビクビクとしているティナの姿がある。
その隣には同じくお仕置きされる予定のニーナやサーシャも、ケビンの動向を窺っていた。逆にクリスはどんなお仕置きを思いつくのか、ワクワクしながら動向を窺っている。
そのような雰囲気の中で、ようやくケビンが動き出した。
「アリス、レティ」
「はい、ケビン様」
「どうされましたか、ケビン様?」
「こことは違う別の部屋に遊戯場を作り終えたから、子供たちを連れて遊んでいてくれ。終わったら呼ぶから」
「私たちはお仕置きを見れないのですか?」
「気になります!」
「2人にはまだ早いかな。ティナみたいになって欲しくないし」
「ケビン様がそう仰るなら……」
「気になりますが我慢します」
「パメラ、他の子たちと一緒に別室で待機しててくれるかい?」
「……わかった……」
アリスとスカーレットは子供たちに声をかけると、新しく作ったと言われた別室の遊戯場へ誘導して憩いの広場を去るのであった。
憩いの広場に大人たちだけとなった状態で、ケビンが口を開く。
「今までの記憶からティナが嫌がりそうなことを探っていたらあることを思い出してね、それを今回のお仕置き内容とすることにした」
静まり返る広場の中で、奴隷たちのゴクリという生唾を飲み込む音が響きわたる。
日頃から大して怒りもしないケビンの女性に対するお仕置きが想像できず、奴隷たちは自分たちの身の上に起こった酷い仕打ちばかりを思い出すのであった。
いくらケビンでもそれはしないとわかっているが、自分たちのされてきたお仕置きがそういうものだったので、自然とそれしか思いつかないのだ。
「さて、ティナは俺にされて嫌なことはある? 暴力とか捨てられるとか以外で」
「……ない。多分、受け入れると思う」
「だよね、だから今回は俺にされても嫌と思わないなら、俺じゃなければいいんだと結論に至った」
「ケビン君じゃない……?」
「そう、ティナこっちに来て」
ケビンが玉座から立ち上がりティナを呼びつけると、ティナは首を傾げつつも恐る恐るケビンへ近づいていく。
ケビンの元へ辿りついたティナを女性たちの方へ向けさせると、その場に立たせたまま今度はケビンがティナの座ってた席へ移動する。
「さて、心の準備はいいかな?」
「うぅ……何されるか言われてないから準備のしようがないよ」
「それじゃあ、ティナへのお仕置きスタート」
ケビンの掛け声と同時にティナの下には魔法陣が展開されて、その様子にティナが驚きを示す。
「きゃっ」
周りの者たちも一体何が起こるのか見当もつかず、その様子を凝視していたが、ソフィーリアだけは何の魔法陣か理解したのかケビンへ声をかける。
「ふふっ、あれは恥ずかしいどころじゃないわよ? その前に嫌悪感を抱くんじゃないかしら?」
「まぁ、それが狙いだしね」
2人の会話を耳にしながらもこれから起こることが気になるのか、誰も質問をすることもなくティナを見つめていたら、魔法陣から奇妙なものが出現し始める。
「ちょ、何これ!?」
それはウネウネと動きながらティナの足を拘束して、逃すまいとどんどん絡みついていく。
「うっ……気持ち悪い! こっちに来ないで! あれ、体が動かない!? ケビン君、体が動かないよ、逃げれない!」
「そりゃあ、逃走防止は基本だからね」
「い、いや、こっちに来ないで!」
ティナがウネウネした触手に絡み取られていく姿を目撃している女性たちは、触手の気持ち悪さに生理的悪寒を感じずにはいられなかった。
「ケビン君……これって……」
ニーナは見たことのある触手に対して寒イボを立てながらケビンへ尋ねると、予想通りの反応を返されてしまう。
「ダンジョンで前に俺が倒した魔物の偽物だよ。俺流のアレンジが入っているから人を食べるってことはしないけどね」
「ドSの鬼畜」
「ケビン君、さすがに私はこのお仕置きは遠慮したいかも……」
「そう? 私はケビン君に弄られてるって思えば嫌でもないかな」
クリスの発言にギョッとした女性たちは、一斉に視線を向けるのだった。さすがのケビンもそれには驚いてクリスを凝視してしまう。
「え……クリスはアレ、気持ち悪いと思わないの?」
「2人きりの時、伝えたよね? ケビン君の全てを私は受け入れるよ。ああいうプレイをしたくなったら遠慮なく使ってね」
「ふふっ、愛されているわね」
「あまり何でも許容しないでくれよ? 俺が道を踏み外したら止めてくれなきゃ困る」
「大丈夫だよ、その時は全力で止めるから」
何事もないかのように話しているケビンたちを他所に、触手はティナの四肢に絡みつくと、どこにそんな力があるのかティナを持ち上げて見せた。
そして、ティナの衣服の中へと侵入していき、その体にまとわりついていく。
「きゃっ、ちょっと中に入ってこないでよ!」
ティナは触手を振りほどこうとするが、体に力が入らず脱力している感覚に陥った。
「ケビン君! 体に力が入らない!」
「力技で触手くんがちぎられたら可哀想だからね」
「あなた、名前をつけたの?」
「ああ、一応。何の捻りもないけど《触手くん》という魔法名にした」
ケビン命名【触手くん】は、服は邪魔だと言わんばかりに引きちぎってしまい、ティナの大きな胸が服の中から現れると、それを包み込む下着までちぎってしまう。
当然押さえつけられる拘束をなくした胸はポロンと出てきてしまい、触手くんは我先にとその胸に絡みついていく。
「いや! 触らないで」
そのようなティナの抗議を他所に、触手くんはティナのスカートの中へ入り込むと、ショーツをズルズルと下ろし始めた。
「ダ、ダメよ! 何してんのよ、あんた!」
触手くんが途中まで下ろしたショーツは、ティナの怒りを無視するかのように重力に引かれるようにしてスルッと地面に落ちてしまう。
ティナを拘束している触手くんが脚を持ち上げて、綺麗なM字開脚が完成すると、ティナは羞恥心が勝って声を出す。
「ちょ、見ないで! 見ちゃダメぇ!」
触手くんの勢いは衰えず、胸に絡みついてはデカすぎるその胸を更に強調させて、ティナへ刺激を与えていく。
いくら相手が触手くんといえど刺激を与えられれば当然出るものは出てしまうが、体表だけの刺激を与えるように調整されており、次第に憩いの広場は音が響きわたるのであった。
「気持ち悪いのに……なんで……」
ティナが乱れていく姿を目の当たりにしている女性たちは、触手くんへの嫌悪感より背徳的な雰囲気に飲み込まれていき、ティナの姿を目に焼きつけるかのようにしっかりと凝視してしまう。
「あなた、ああいうプレイでも反応するのね」
「触手くんというより、ティナの乱れる姿に反応した」
「ティナの持つ称号のせいでしょうね」
かくいうケビンもその光景に目を奪われてしまい、下半身には大きなテントを張っており、誰が見ても言い逃れのできない状態だった。
それを察知したご奉仕大好きプリシラがすかさずケビンに歩み寄り、ズボンと下着を下ろしてしまい、躊躇いもなくご奉仕を始めてしまう。
「ちょ、プリシラ!?」
ティナではなく近くから音が響きわたると、周りの女性たちはケビンを目にして、そこでご奉仕しているプリシラを見つけるのだった。
「ケビン様はそのまま気持ちよくなってください。こちらの処理は私が行いますので……」
女性たちはプリシラのご奉仕にチラチラ視線を向ける者や、ティナよりもケビンの方が気になるのか凝視してくる者と様々であった。
予定外のことが起こっている中で、ティナは早くも触手くんの手(?)によって達しようとしていた。
「……イカされちゃう……こんなのに……イキたくないのにぃ……あっ……」
ティナが達しかけたその瞬間、触手くんはピタリと動きを止めて静かになる。
「……へ?」
今まさに達しようとしていたティナも目が点となり事態に追いつけないでいたが、快楽の波が引いてきた時に触手くんが再び動き出した。
「ひゃんっ……そんなっ……なんで!? またくる……あっ……」
そしてまた、触手くんは動きを止める。
「……う……そ……」
ここまでくればさすがのティナも触手くんの意図に気づくというもの。それからティナは達しそうになると、触手くんの動きが止まって達することができないということを繰り返される。
その光景に周りの女性たちはケビンがドSと言われていたゆえんを知るのであるが、ティナのことは対岸の火事と言わんばかりに気持ちが昂っている女性たちは、自身の手でケビンを見ながらティナの代わりにそれぞれ達するのを繰り返していた。
「くっ」
ケビンはケビンでプリシラへ吐き出して脱力感を得るが、プリシラから開放されても未だ衰える気配はない。
「ケビン様、続けても?」
「ちょっと待て、プリシラ! お前だけズルいぞ」
プリシラの発言に異を唱えたのはニコルであった。
「私にもご奉仕をさせろ」
「あなたはダメです」
「何故だ!」
「旅について行くからです」
「くっ……ここで仕返しをされるとは……」
ニコルにドヤ顔されたことをプリシラは根に持っていたようで、ニコルの申し出をバッサリと切り捨てたら、次に名乗りを挙げたのは以前ケビンにしてあげたことのあるニーナだった。
「ニーナ様、お願いします」
あっさりと引いたプリシラに代わって、今度はニーナがケビンの前に跪いた。
「お姉ちゃんにして欲しいことある?」
「前みたいに胸とか使って欲しいかな」
「ふふっ、わかった」
ニーナはスイッチが入ったのか、お姉ちゃんモードになってケビンへのご奉仕を始める。
そんなニーナの発言に反応したのは、リアルお姉ちゃんをしていたシーラだが、恥ずかしさのあまりティナやケビンを直視できずに下を俯いてばかりいるのだった。
そしてニーナのご奉仕が始まると、ケビンは達してしまいニーナへと吐き出していく。
「うっ」
「……どうかな? 気持ちよくなれた?」
「気持ちよかったよ」
ニーナがご奉仕を終えると、それからはなし崩し的な感じでご奉仕大好きプリシラ先生によるご奉仕講座が始まってしまい、ティナをそっちのけでケビンの周りに人だかりができて、希望者はご奉仕の練習をしながらケビンの吐き出すものを受け止めていくのであった。
そのようなことが1時間ほど続いたら、ケビンがティナへのお仕置きをやめるのだった。
ティナはぐったりとして疲れており、ケビンがそのまま寝室へと運んで休ませてから、憩いの広場に戻ってきて後片付けをする。
「みんな聞いてくれ、念の為にここであったことはアリスたちには秘密だよ? もし変な知識をアリスたちに教えたらお仕置きだからね」
ケビンから告げられた言葉に、女性たちはティナの惨状を見ているので一様に了承するのである。
「それと、お風呂に行って軽く体を流そう。そのままだと服の着心地が悪いだろ?」
ケビン先導の元、みんなでお風呂に入ってから憩いの広場へ戻ると、ようやくアリスたちへ戻って来てもいいと知らせるのであった。
戻って来た子供たちは何事もなかったかのようにまた遊び始めて、アリスとスカーレットはお仕置き内容について気になっていたが、ケビンからまだ早いと言われたこともあるので、他の者たちに尋ねるようなことはなかった。
こうして、ティナへのお仕置きが終わるのだが、お仕置きポイントを持っているサーシャは何をされてしまうのか気が気ではなかった。
一方でニーナはもうティナの惨状を見て諦めたようであり、特に気にしてはなく、クリスはクリスで端から気にしてなどいなかったのであった。
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