第11話 困ったときは魔法で



 でもこれで、『採取』のスキルがスキルとして一覧表に載せる必要があったのかが、とってもよくわかる一日になったよね。もう、癖のあるやつらばっかりでてくるんだからっ。


『採取Lv1』で何処までどんな恩恵があるのかわかんないけど、一応採取出来たし、なにかしらの効果はあったんだろうね。この世界に来てからずっとぼっちだし、比較対象がいないから詳細は謎のまま……なんだけどさ。



 でもこんな不思議植物がいっぱいの世界だとは聞いてなかったですっ、例の白い部屋の神様っぽかった人よ! ……どうせ例のごとく聞いてないとは思うけどねっ!?


 本当にあの時の私、『採取』スキル取ってくれてナイスでしたっ、ありがとう~!!


 このように普通じゃない苦労をして、異世界の不思議な果物たちを手に入れる事が出来たのでした。




 さて、では謎の生態を持つ異世界の不思議植物達に振り回されながら収穫した、貴重な果実たちをありがたくいただくことにしますかっ。


 ――まずは、パンの実を実食!


 そのまま生で食べてみることに。


 これは、食感がなんとなくパンっぽい、と言えないこともない……のかもしれない? 甘みと水分の少ない果実って感じかな?


 パンって思わなければ普通においしいし、あっさりしてるから肉や茸といっしょに食べると、もっとおいしく感じたよ。満足満足!


 食後のデザートに食べたポポの実は、ちっちゃい割りに濃厚な味わいですごく美味しかった! 例えるなら、リンゴにはちみつをかけたような感じ?


 しばらく甘味を食べてなかったから余計に美味しく感じたのかも。ドライフルーツにしなくても十分甘かったし、こちらもいいお味でした!







 それにしても随分荷物が増えたなあ……主に食料が。


 食べるものがなくなるのは不安だし怖いから、見つけたらついつい収穫しちゃってたけど、ちょっと非常食として持ち歩くには多いか?


 あの人里っぽいく見えてたところに友好的な種族が住んでいればいいけど、今現在、本当に誰かが住んでるか、廃墟なのかも分からない状態だから、念のため全部持って移動したいんだよね。



 ――保存処理、しときたいな。


 嵩張るやつから乾燥させて、軽く小さくしたら持ち運べるだろうし。本当は天日干しして日持ちのするものを作りたい所だけど、そんな時間もないし無理だよね……この状況なら。



 でも大丈夫、この世界には、があるから!


 ――こうゆう時こそ使いたい、超便利なの出番です!


 乾燥の仕方は基本、ポーンラビットの袋の製作課程と一緒だと思う。


 まずは一番大きくて嵩張るパンの実から。


 包み焼きでお世話になっている、例の殺菌作用のある大葉を敷いて、その上にパンの実を重ならないように並べていく。


 聖魔法の『浄化』できれいにしてから、『聖火』で陽光がわりの光球を出して強めに魔力を込めて浮かせ、全体に当たるよう調整する。


 次に水魔法で中の水分を絞り出し、最後に聖魔法を使って仕上げをした。


 よし、出来た! 縮んで軽くなったし成功かな。ただなんかカチコチになったけどこれ、もしかしてやりすぎちゃった?

 魔法は確かに便利なんだけど使い手の技量によるところが大きいから、初心者の私には微調整が難しいんだよね。



 食べられるか『鑑定』してみよう。



【 パンの実


 可食:可能 


 効能:MP微量回復 】



 よかった食べられるけど、あれ? なんかMP微量回復って効能が、増えてる?


 どうゆうこと? MPが回復って……まさか聖魔法で天日干しもどきをしたからとかなの?



 う~ん、ちょっと実験してみよう。


 ポポの実でいいかな。今『鑑定』では、魔法的な効能は回避一定時間微上昇のみ表示されてるね。

 先程の手順でもう一度やってみて、この効能が魔法処理によって打ち消されないかも確かめてみよう。


 さっきと同じ手順を繰り返して乾燥させて、再度『鑑定』してみると……。



【 ポポの実


 可食:可能


 効能:回避一定時間微上昇 MP微量回復 】



 ……増えてる。消えずに増えてるよ! 回避だけだったポポちゃんが進化してる!

 理屈は不明だけどそれでもいいや! 異世界だからってことにしとこう、うん!


 よし、次は水玉茸もやってしまおう。


 同じやり方でもう一度やって『鑑定』すると……。



【 赤の水玉茸マジックキノコ


 可食:可能


 効能:火魔法上限値+1上昇 MP微量回復 】



 もう間違いないね。このやり方だと効能がプラスされるんだ。


 ただ水玉茸は、確か、どんな食べ方しても効能は変わらないって書いてあったと思うんだけど? う~ん?


 理屈はまたまた不明だけど効能が増えるのは嬉しいし、もう何でもいいや! やっぱり異世界だからってことにしとこう!


 じゃあ、残りも全部やっちゃうか。


 順番にしていったら以外と早く三十分程で全部が出来たので、小分けにして大葉で包みラビット袋とポケットに分けてしまった。

 随分かさが減って十分の一ぐらいになったから、軽々収まったよ! よかったよかった。




 肉と茸の包み焼きも、残りの数食分を袋にしまって、午後からは速度を上げて、街道沿いの森の中を移動する。


 元の身体じゃ考えられない程の距離を一気に駆け抜けたけど、例の人里っぽい所へは辿り着けなかった。


 まあ、予想外に茸狩りが難しかったし、その他の果物などの採取もややこしかったからだけど、最後の方はどれも楽しくて夢中なってたから時間が掛かかっちゃった。でも生きる為に必要な事だったから後悔はしていない。



 頑張れば日が落ちてから着けるだろうけど、やめとこう、不審者にみられても嫌だし。冒険はしない、安全第一!だからね。


 というわけで、今日も樹の上で寝ることになりそうです。



 

 そういえば、例の私の中での元祖ファンタジー植物である、効能、ありました! ……それぞれ二十個ずつ食べてやっとだけどね……しばらく茸はいいやってぐらい食べてなんとか、ね。


 で、どんなだっていうと、例えば『火矢』だと、技の精度が増した為に威力が一段上がったような感じ?


 経験値が貯まって熟練度が増したっていうのかな。飛距離も伸び速度も増し、少し貫通力も上がっていた。


 レベルは上がらなかったけど、実戦では確実に有利になる。体感的に、一時上昇じゃなく効果が継続しているっぽいし。


 魔法を打つ間隔も少しだけ短く出来るので、連発も効果的で戦い安くなっていて、これはかなり使えるかも。


 あの時偶然、この茸に出会えたのはラッキーだった。『幸運』スキルがいい仕事をしてくれたのかもね。


 ともかくこれでポケットの中の水玉茸は全部なくなったので、あとはラビット袋に入っているだけになった。





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