その終わりはあっけなくつまらないもので


「う〜ん美味〜〜!」

「BBQって雰囲気に味があるよね!」

「それな!普通に肉焼いてるだけだもんな!」


 肉をひたすら胃に流し込む。めちゃくちゃ美味しい。


「あの〜〜。奈々ごめん……」


 京之助が奈々華に謝っている。ちゃんと彼氏の役目を果たすのはいいことだぞ!


「いい。もういいから」


 ぷいっとそっぽを向く奈々華。はははツンデレだ!


「カイ……。どう…だった?」


 綾が隣に座って何かを聞いてくる。


「どう?って……」

「わかってるくせに…水着のこと………」

「あ、ああ。か、可愛いかったぞ………」

「えへへ………そう?」


 あ、ああ。めちゃくちゃ可愛いかったんだからな。お兄さん襲ってしまわないか心配だったんだぞ。


「はぁ……甘ったる!」

「そうそう!水着ごときで騒ぎすぎでしょ」


 亘と唯が俺たちを酷評してくる。ひどい!俺泣くよ!ないちゃうよ!


 まぁ幸せだった。その日は………。


====


「ねぇ!変な足跡あるよ!」


 ちょっとみんなでお散歩してる時にそれは見つかった。 


「なんだ?どうせ俺たちのだろ……ってえ?」


 その足跡はかなり大きかった。30cmぐらいで俺たち誰のでもなかった。


「これは………。何かいる気がする……。人っぽいんだ……」

「ああ。これはちょっと………探すか?」

「そうしよう」


 その足跡の主を探そうという話になって、俺たちはカップルペアで島を歩いたんだ。


 そこで見つけたんだ。あの、心のモヤモヤを………。



====


「ターゲットを確認。マスターの指示に従います」


 そいつは全裸だった。正直どうでもいい。そいつは人じゃないから。

 飛んでくる拳をなんとか避ける。


「誰これ!」

「綾!3月に言ったあのロボットだ!」

「え!?」


 叫びながらロボットの攻撃を避ける。綾にいヘイトは向いていない。でも……。こいつは強すぎる。


「ライソォォォォォっ!!」

「吸電」


 手から吹き出す雷。非生物のそいつに電気が流れていくが、魔法に消される。


「ガッ!」


 そのまま腹パンをされて吹っ飛ぶ。高速で近づき、俺に馬乗りになられる。

 あっけない。あっけなさすぎた。勝てない。強すぎる………。こんな相手に当てるわけがない……。

 今の俺は恐怖心はなかった。それよりも、焦燥感、空虚感、後悔で埋め尽くされていた。

 多分このアンドロイドは海に流してここにたどり着いたんだろう。情報を得るに連れ、わかったんだろう。「なんとかしろ」という命令の意味を。

 綾がアンドロイドに攻撃しようとするのが見えた。


「やめろ!綾!」


 綾が動きを止める。アンドロイドが俺を殺そうと拳をあげる。


「死ぬんだったら全部ぶち壊してやるよぉぉぉぉぉ!」


 空気中の電気をかき集める。一瞬で空は真っ黒になり、落雷が発生する。

 アンドロイドの腕を、電磁石を使って制御しようとするも、腕の動きを遅くさせただけみたいだ。


 それでも、まだ生きてやる。数秒でも……。


「生きてやるよ!」


 空は夜のように真っ暗になった。落ちてきた雷を操作して腕を制御する電磁石に当てる。

 それでも…まだ倒せないのだろう。


 俺は雷の光がまぶしくてえ滲む目で何かを見た。

 空に浮かぶ、青く、長いものだった。


「何とかさせるかぁぁぁぁぁぁぁっ!」


 アンドロイドの腕は俺に近づいて………触れた瞬間に…。


「ギュィィィィィィ!」


 何かがこすれる音がした。途端、風が吹き、上に乗る重みが消えた。

 目を開けると周りの木々はなぎ倒されていた。綾は、木に挟まっているが生きているようだ。


 立ち上がり、綾に近づく。途中空を見上げると、一本の青い何かがいた…………………。


「蒼……龍………?」


 目を擦ったあとに見えた景色にはただ黒い雲しかなかった。




====


「何があったんだ?」

「ああ、亘。三月に話したあのアンドロイドがいて、あと蒼龍がそれを食って行った……」

「ハァ?兄さん何言ってんの?」

「綾………そうだよな」

「え、ええ。そうだった……」

「とにかく…ヒーリング」


 体の傷が癒えていく。


「ありがとう……。はぁ………」

「蒼龍って………」

「あっ!海斗!何があった!?」

「恭之助か。あのアンドロイドがいた……」

「なっ!まじかよ!そいつは!?」

「蒼龍が……食って行った……」


 意識がモーローとする。足元がふらついてきた。そして……意識がなくなった。


==堂上真也==


「ハァ!ようやく死ねたよ」

「そんな死ぬことを喜ばないでください」

「でもこれでマスコミから逃れられるし」


 無精髭を生やした天パの男は背もたれにのしかかり大きく伸びをした。


「そうですか。それで?研究は進んでますか?」

「ああ。順調も順調だ。あと少しで龍が出来上がる」

「前々から言ってますがそんな危険なものはやめておいたほうがいいのでは?」

「いや、大丈夫だ。ちゃんと卵の時から調教しておくから」

「あなたの技術はどこのテロリストも欲しがるわ」

「そりゃそうだ。でも生憎、僕は君のためだけに生きてるからね。君がテロリストになるしかないよ」

「そうでしょうね……。ふふふ」


 男は立ち上がって冷蔵庫から缶ビールを取り出して開けた。


「ああ〜〜、やっぱビールは最高だよ。そうそうちょっと夢に見たことがあるんだ」

「なんですか?」

「夢でね。僕の子孫を青い龍が救うんだ。正夢かな?」

「さぁ?わかりません。でもあなたの作る生物ならあってもいいんじゃにですか?」

「どうだろうね?そうそう、獣人の話なんだがどこに匿おうかなって考えてるんだ」

「そうですね……。空間魔法とかどうですか?」

「それはいいかもしれないな。そうだ。東京に隠してみないか?」

「あなたは皮肉が好きですね」

「当然じゃないか。だって金でなんとでもできるってやつをバカにしたいのは人の本性だろ?」

「そうですか……。楽しみですね」


 女はニッコリと笑みを浮かべた。



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