願いは叶わない。でも世界は変わる。

 願いは叶わない。いや、叶わない願いなのだ。私が変えるしかないんだ。


「時間逆行タイムリープ!」

「時空保存!」


 世界は私を残して変わらない。私が変わるしかない。魔力はもう底をついてきている。


 何回も繰り返しているうちに色々と情報を得た。霧谷渓谷物語に出てくる聖水を持っているらしい。でもそれを飲んで戻っても、魔力量は回復しなかった。

 ズルはこの世界が許さないみたいだ。


「時間逆行タイムリープ!」

「時空保存!」


 とうとう、倒れてしまった。まだ。まだ。ここで終わるわけにはいかないから………。

 でも、魔力のない私は無力だった。コボルトたちが寄ってきた。体が切断される……。

 自分の胴体が離れたのに気づいた途端私は……………。


====



==堂上唯==


「紅炎!クラッシュ!突風!」


 私は何回目かわからない魔法を放っていた。蜘蛛女は直ぐに死ぬ。そこが問題じゃないの。


「切断!」


 兄さんと綾さんを縛る糸を切る。二人は地面に崩れ落ちた。


 お願い!間に合ってて!

 私は二人に駆け寄って生死を確認する。綾さんは息をしている。


「ゲホっげほげほ」


 でも……。兄さんは……息絶えていた…。


「ゆ…いちゃん?」

「綾さん………」


 私は首を横に振る。綾さんは立ち上がって兄さんにすがりつく。


「ひっ!か、カイ!カイ!行かないで!ねぇ!カイ!私は憎む相手よ!ユキナ!ユキナだから!ほら!あのあばずれよ!倒さなくていいの!?起きて!起きて!ねぇカイ!オル!」

「綾さん………」


 何があったのかはもうわかっている。綾さんが言っていることもすべて。


「ねぇ!唯ちゃん!蘇生して!お願い!なんでもするから!お願い!」


 綾さんが私にすがりつく。


「本当になんでもするからお願い!」


 私にはできない。そんなのできるのは世界に二、三人しかいない。


「できません!でも!もう一度!もう一度行きましょう!」

「え?」

「前の綾さんは言ってました!綾さんは自分をすごく嫌ってます!すごくいま後悔しています!

 だからその過失を、失敗を!私は何度だって繰り返させてあげます!」

「えっ…………?」

「時間です!行きましょう!何度だってやりましょう!時間逆行タイムリープ!」


 いままで見ていたものが逆再生される。約数分前に戻るった。


「時空保存!」


 この世界にはなんでもできる魔法がある。

 言魔法は魔力量さえあれば本当になんだってできる。この世界をゾンビだらけにするとか、ビックバンの前に戻るとか。

 でもそれは魔力量が多く必要だ。それも、数値化した時に「数百魔力」じゃなくて、一定以上の総合魔力量の「数割」を満たしていけないといけない。


 だからこの世界はギリギリ秩序が保たれている。


 私はある時、気付いてしまった。時間を巻き戻すのは難しい。

 タイムリープをしようして、時空を巻き戻すポイントが見つからなくて一生昏睡状態の人もいる。


 だから私は気付いた。フラグを立てればいいと。帰還地点を作るのだ。そうすれば時空をさまよわない。

 気付いた時、実際に試した。そしたら魔力量と記憶以外、全て戻っていた。


 恐ろしくて身震いが止まらなかった。それからずっと使ってないし、誰にも話してない。


 でも。私の魔力量では三分が限界だ。何度目だろう。魔力が切れることはなさそうだ。

 魔力消費の割合は小さい。「一定以上の総魔力量」の規定が大きいだけだ。


 毎回ギリギリで間に合わない。私の頬を涙が伝っていた。


「落雷!切断!土砂嵐!ヒール!」

「ゲホっげほげほ!」

 今度は兄さんだけが助かった。


「綾!綾!おい!綾!何か俺に隠し事してるんだろ!?それを俺に伝えろよ!なぁ!行かないで!行かないでくれよ!頼むから!」

「兄さん……」

「唯!喧嘩してるのに悪いと思ってる!だから!頼むから!綾を蘇生してくれ!」

「できない……。でも、綾さんもそう言っていた!兄さんを蘇生してくれって!だからもう一回やろう!私が何度でも助けるから!」

「え?」

「前回の兄さんも同じことをしていた!何度でもやろ!時間逆行タイムリープ!」


 視界が真っ白になる。そして何度も見たところに戻った。


「時空保存!」

「何度でもやるから!時間逆行タイムリープ!」


 やろう。何度でも!


「時空保存!」

「時間逆行タイムリープ!」

「時空保存!」

「時間逆行タイムリープ!」

「時空保存!」

「時間逆行タイムリープ!」

「時空保存!」

「時間逆行タイムリープ!」

「時空保存!」

「時間逆行タイムリープ!」

「時空保存!」

「時間逆行タイムリープ!」

「時空保存!」

「時間逆行タイムリープ!」

「時空保存!」

「時間逆行タイムリープ!」

「時空保存!」

「時間逆行タイムリープ!」

「時空保存!」

「時間逆行タイムリープ!」

「時空保存!」

「時間逆行タイムリープ!」

「時空保存!」

「時間逆行タイムリープ!」

「時空保存!」

「時間逆行タイムリープ!」

「時空保存!」

「時間逆行タイムリープ!」

「時空保存!」

「時間逆行タイムリープ!」


====

 願いは叶わない。いや、叶わない願いなのだ。私が変えるしかないんだ。


「時間逆行タイムリープ!」

「時空保存!」


 世界は私を残して変わらない。私が変わるしかない。魔力はもう底をついてきている。


 何回も繰り返しているうちに色々と情報を得た。霧谷渓谷物語に出てくる聖水を持っているらしい。でもそれを飲んで戻っても、魔力量は回復しなかった。

 ズルはこの世界が許さないみたいだ。


「時間逆行タイムリープ!」

「時空保存!」


 とうとう、倒れてしまった。まだ。まだ。ここで終わるわけにはいかないから………。

 でも、魔力のない私は無力だった。コボルトたちが寄ってきた。体が切断される……。

 自分の胴体が離れたのに気づいた途端私は……………。


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