僕は君が死ぬまで生きるよ。

 えっと……。一応の為に書いておきます。


 前世は世界平均の身体能力がめちゃくちゃ高く、

 前の話にあったオルVSオークのオルの身体能力の高さは世界平均より下って感じてて下さい。


 あとこのオークが異常な程強いだけと思ってて下さい。


・・・・・・・・・・・・・・・



 俺に振り落とされる棍棒をサイドステップで避け、オークに近寄る。

 オークは素早い動きで俺に向かって横蹴りを入れる。その足を掴んで電気を流そうとするが、オークが足首を素早く曲げ、俺の手を振り払う。

 腰から短剣を抜き、オークの棍棒の横ふりをしゃがんで躱し、足に突き刺す。


「グォォォォ!」


 途端にその足で蹴りあげられる。そして足の痛みなど気にしないかのように棍棒を振り上げて……。俺を野球ボールのように打った。


「がぁぁぁぁっ!」


 内臓が激しく震える。くそっ…。地面に叩きつけられる。息が止まり、頭がモーローとする。

 そんな中見えて来たのはオークが俺に向かって棍棒を振り下ろす姿。走り寄ろうとする綾の姿。そしてそこに横たえる自分。

 そして叩き潰される未来……。


「がぁぁぁぁ!ゲホっ!」


 痛みに耐え、横転してオークの棍棒を躱す。追撃とばかりに尻に当たる血塗れであろう足。


「んぐっ!かっ!あっ……」


 宙に浮いてその後数回バウンドする。

 オークが間合いを詰めてくるので雷操で猫騙しをし、その間に立ち上がる。


「ハァハァハァハァ………。ま、だだ……。綾が…いるから……」


 猫騙しに気付いたオークはニヤリと下品な笑みを浮かべ、棍棒を振り上げる。


「ここで……終わりだぁ!」


 一番切れ味のある、総ミスリル製短剣を抜き去る。逆手で掴む。振りかぶって……。隙だらけの顔面に投げる。

 オークは棍棒を振り落とす。よろつく足でサイドステップをふむ。これで……。決まれ!

 投げた短剣はオークの顔に吸い込まれるように進んでいく。そして………。



 カラン




 それは簡単にオークの顔面に擦り傷をつけて落ちた。


「グォォォォォォォォォ!」


 棍棒は俺の肩を擦った。傷が付かない……だと?

 とにかく腰から短剣を抜き、上がらない腕をあげる。


「グラァァァァァ!」


 一瞬で間合いを詰めてくるオーク。拳は俺の構えた短剣に直撃し、吹っ飛ばされる。短剣は手からこぼれ落ち、腰に差していた予備の短剣らも全て落ちた。その短剣をオークは後ろに蹴っていく。


 触らせてくれないから雷操は使えない。

 オークの身体能力が高いから短剣では攻撃しにくい。

 オークの体が硬いから、投げるだけじゃ傷つかない。


 綾は、凄くうずうずした顔をしている。多分自分も戦いたいが、お荷物になるだけだから戦えないのがもどかしいのだろ……。

 そうだよ!俺が負けたら!綾も死ぬんだよ!俺は綾の命も背負ってんだ!どうせ死ぬなら全力出せよ!


「まだ!死ぬなよ!」


 立ち上がり、オークを睨む。腰に差した刀の鯉口を爪で切る。そして抜く。

 刃は非緋色に輝き、俺の鼓動に合わせて刃が煌めく。まるで、意思があるかのように。


「はぁぁぁぁっ!」


 オークの棍棒を刀で逸らす。そして近づいて袈裟懸けに振るう。

 バックステップで躱されても、体を動かし続ける。

 攻守が逆転した。オークの体の末端を狙い、刀を振るう。そして……。


 ギィン。


 オークの体に弾かれた。手が痺れる。まだ……。切れない。

 振り落とされる棍棒を倒れつつ避ける。刀はまだ輝いている。

 横転でオークから離れ、また立ち上がる。オークに向かって真正面に構える。


「グォォォォォォォッ!」

「ドリャァァァァ!」


 棍棒と刀が同時にそれぞれの体に当たる。

 傷はつけられないだろう。でも……。

 この刀は…

 綾の気持ちが詰まってる。

 綾の思いが詰まってる。

 綾が…綾がいる…。


 この刀は……


 生きている。


「雷操ォォォォォォッ!」


 俺の放つ電気は刀を通ってオークに流れる。電気を流すたびに刀が煌めく。


「グァっ!」


 俺は棍棒で吹っ飛ばされた。でも………。


 ドシン。


 オークの巨体が倒れる。地響きが辺りに散らばる。

 勝った………。ようやく…、勝った……。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます