4章 〜私の中に潜む闇〜

俺達はずっと一緒だろう。身内の悪も知らないまま。

 さぁ。いざ勝負!

 俺は目の前のプリントをめくって問題を見る。シャーペンは問題の下をミミズの様に走り、マークシートの正解の記号が黒く塗られていく。手は止まる事無く走り続け何時しか問題用紙の上を走らずマークシートからシャーペンは離れない。

 それが続く事20分。俺はペンを置き、フードを被って寝た。ここまではいいんだ。ここまでは……。


 後ろの席のやつに起こされ、回答用紙を前に回していく。テスト時間は80分だったみたいだ。後は社会、理科、国語で英語か……。

 萎える……。


「では1時間目数学終了です」


 監督教師は確認を終え、教室から去る。去れ去れ!途端に騒がしくなる教室。俺はリュックから救世主綾特性社会プリントを取り出し、赤シートで隠すと助詞と助動詞しか残らない。頭の片隅の記憶を呼び覚まし言っていく。


「赤十字キリストVSイスラムクレルモン会議サラディン英王リチャード………えっと、えっと………。ダァァァ!ルイ9世か!最初っからぁ!赤十字キリストVSイスラムクレル……」


 この1週間ずっと覚え続けたものだ。ああ。辛いよ……。一個でも間違えると最初から。ブツブツ…。


「ウワァァン!取らないで〜!」


 何時しか教師は教室に侵入し、我が救世主綾特性社会プリントを奪い去る。俺は救世主を奪われ、悲しんだがその教師は我が同胞数学科教師池ちんだったのでなんとも言えない……。


「英数理で満点ならなんとかしてやる」


 池ちんの頼り甲斐のありすぎるお言葉を頂いた!何としてもやらねば!

 始めの合図を見て、分かる問題だけ解いていく。ここは英王リチャード!そして会議は……。会議は……く、くくくくくく……。

 落ち着け……。選択肢は1:クレルモン、2:クレルメン、3:クラルモン、4:クレンモンだ。どれだ……?く、くく……。クレルメンだ!よし!ここは2だ!

 俺は迷わず2を塗る。日本史や地理もそうやって100問全てわかる所だけとく。選択肢が絞れた場合、絞って残った所を薄く塗った。

 ここからが本領発揮……。俺は試験前に綾に言われた事を思い出す…。


「いい?カイは分かるとこだけ埋めて。それで選択肢を絞るの……。その後、全ての選択肢が選ばれるのが、同じくらいになる様に適当に埋めて。マークシートはほぼ100%4問同じ回答が連続で選ばれないから…。決められないなら鉛筆転がしをしてね……」


 俺は1/3が埋まったマークシートを眺めた。残り10分だ。1132?23??13……。一個目が4!2個目3個目は4と2だ!


 ====


 私は後ろから聞こえる鉛筆転がしの音に顔がにやける。肩も若干震えているかも知れない。試験はとうの昔に終わって見直しの必要もなさそうだ。強いて言うなら記述問題が不安ではあるが……。


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 俺は背後の鉛筆を転がす音に苦笑が止まらない。綾の入れ知恵だろう。試験監督の池ちんは海斗を微笑ましそうに見ている。

 試験は見直し段階に入った。残り7分だ。


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 鉛筆を転がしてふと顔を上げると綾と亘の肩が震えていた。2人して風邪かな?っていかんいかん………。


 ーーーー


 まぁ試験は終了したわけだ。うん。中途半端に一片しか語らなかったな。まぁ許してくれ。英語と理科は無意識でも解けたし、国語は社会とまるっきし同じ解き方だしな。

 はてさて、試験が返されてかつ、林間学校の説明がされる今日………。


「はい。おはようございます。それでは試験と通知表を返しますので出席番号順に取りに来て下さい」


 自分の番が回って来たので受け取って教室の隅に移動する……。そして用心深く中を覗く。


「カイ……。どう…だった?」


 長時間無言な俺に心配そうな綾。単位が取れていない科目が2個で林間学校には行けないのだ。


「やった…。国語だけだ……。それ以外赤点じゃない……。計…383点だ……」

「やった!カイ!ん〜〜〜〜!」


 俺以上に喜ぶ綾。俺は衝撃だが嬉しいな…。


「海斗!俺は計392だった!お前は?」


 亘が興奮したように見せてくる。


「383だ……。社会が45点で国語が38点……」

「へぇ……ギリギリだったじゃ………ってそれ英数理満点!?」

「ああ。それは俺にとって当然なんだが…綾は?」


 亘の興奮がうざいので綾に話を振る。


「私……?私は……465……」


 俺は慌てて中から順位表を取り出す。1位から50位まで乗っているのだ。と言っても一年はこの前のサバイバルで50人辞めたので150人となっている。減りが早い……。っとどうでもよかった。えっと順位表順位表……。あった!


「1位……。計472。次が…465ダァァァァ!やった!二位じゃん!綾!」


 俺は手を叩いて喜ぶが、綾は聖母のような顔をしていた。


「どうした?」

「カイ……。見てこれ……。理系1位は300点よ。2位は293点…。英数理も1位……。もっと自分の事で喜んだら?」

「何言ってんだ?俺の好成績は綾が喜んでくれんだろ?じゃあその綾のは……お、王配の俺が…喜ばなきゃ行けないんじゃないのか?」


 言ってて恥ずかしくなり、尻すぼみになる。応答が無いので顔を上げてみると綾は嬉しそうな顔をする。


「カイ……。その……。もっ回言って……。その……それを……」


 綾が髪をかき分けてモジモジと言う。可愛すぎてちょっと俺にS魔が差した。


「何のことだ?「それ」って何だ?」

「ちょ……。カイ……。意地悪ぅ…しないでぇ……」


 最近綾が甘え体質になって来た気がするんだがそれは俺だけなのか?すっごく甘々だ。もしかしたらこの雰囲気がもう甘々かも知れんが…。


「わかったよ……。綾様の・王・配、ですよ……」

「きゅぅ……………」


 綾が膝からがくりと倒れる。結構今の効いたみたいだな……。俺は綾を抱きとめる。


「あっま!あっまあま!ゲェ」


 亘がヤケクソみたいに叫ぶ。


「綾ちゃん!私英語一位よ!私も褒めて!」


 奈々華。俺は今年頃の綾の胸を楽しんでいるんだ……。邪魔をするな……。


「ん…。えらいえらい」


 綾は俺の胸から顔を離し適当に言う。その後また俺の胸に顔を埋めた。


「何で?私頑張ったんだよ?私1位だよ?何で?何で何で?」

「おい……。須藤……。それは……ヤンデレと同じだぞ…」


 亘が引き気味に言う。同感だ。


「それは奈々ちゃんが…帰国子女だし……」

「で〜も!1位は1位なの!」

「奈々!凄いじゃん1位って!」


 あっ。来た。


「あっ!京ちゃん!ありがと!」


 京之助が我がクラスに乱入して来た。すぐに京之助の方に奈々華は向かった。が、担任がそれを遮る。


「さっさと自分の教室に帰りなさい。これから林間学校の班決めをするので、皆さんも座って下さい」


 京之助は担任に注意されて出て行った……。ははは。恋愛時間は10秒。遠距離恋愛か?

 教室のざわめきは徐々に収まり、皆席に座る。

 2分17秒!


「それでは林間学校の班決めをします」


 あっ、言わなかった。あるあるでは「2分17秒。これは貴方達が静かにするまでの……」とかになるんだけどそこまで脳筋じゃないか。


「行動班は男女問わず5か6人。クラスは関係ありません。行動班がそのまま野営班になります」


 教室がざわめきだす。お前達!もうボッチの選別は始まっているんだぞ!


「教卓から紙をとって勝手に書いて下さい。職員室に提出を。決まらなかったとしても自己責任です。栞は職員室の前に置いてあります。以上解散」


 どんだけ放任主義なんだか…….。まぁ俺たちはもう決まってるだろうが…。


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